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魔王の兄は転生者  作者: 民折功利
第二章 冒険者のお兄様

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ヘルアーク武闘大会-癒しの手

武術大会を武闘大会に変更

 

「いやーお疲れさん。ヘンテコ武器で勇者を倒すなんて笑えるな」


『マシタお疲れ〜』


「おう。プニエル。後おっさん、俺が正当法で戦うとも?」


「無いな。お主は外道じゃし」


「あぁん?」


 この駄竜。ガチでしばこうかな。

 現在、控室に戻ってニーファとプニエル、リョーマと試合後の談笑中。


「まぁ、これで決勝までの道が開いたかの?」


「………………さぁな。取り敢えず、俺行く所あるから」


「?………どこに?」


「……そりゃあ勿論」


 俺は悪戯を思い付いた様な笑顔で言う。


「敗北者の顔を拝みに」





 ◆勇者マサキ


「本っ当にゴメンッッッ!!!!」


 観客席に戻った僕は仲間達に……特にソフィアに向けて謝罪する。


「あ、頭なんて下げないでください!マサキ様は悪く無いですよ!」


「そ、そうよ!アンタも頑張ったんだから!」


「マサキ………お疲れ様。ゆっくり休もう?」


「マサキ様、元気出してっ!!」


 ソフィアとクレハ、シリシカにミュニクと全員に謝罪しても慰められる始末。

 情けないなぁ……


「そもそも、あのアレクって何よ!マサキと戦うのにあの武器は何!?」


「俺が作りたくて作ったシリーズだよ」


「そんな事は聴いてたわよ!て言うか、マサキが負けるってどういう事よ!」


「うーん……マサキの実力不足?」


 クレハは僕が彼に負けた事に相当憤っている。

 ………ん?今、何か違和感が………


「……そんなに怒っても何も変わらい」


「そうそう。短気は損気ー!ってね」


「逆にシリシカ!アンタは何で冷静なのよ!」


「いや、だって…………」


「ア、アハハ…クレハさん?そろそろ落ち着きましょ?ね?」


「落ち着かないとシワが増えるよ」


「どうしたのよ!ソフィアまで!マサキが負けて悲しく無いのっ!?」


「ねーークレハ姉様!」


「何よミュニク」


「後ろ、後ろ見て!」


「見なくていいよ」


「後ろがどうしって、誰よさっきから!って…」


 やっと気付いたクレハは背後に目を向ける。


 シリシカはジト目で、ミュニクは目を丸めて、ソフィアは焦る様に、クレハは目を極限にまで開けて。みんなの後ろにいた人物に目を向ける。


「やぁ、勇者パーティご機嫌いかが?」


「何で居るんですか………アレク、さん」


「敗北者の顔を拝みに来ました!」


「えぇ……」


 先程の対戦相手、死神アレクが僕達の会話にさり気無く混ざっていた。

 ………完全に気配が消えていて怖かったですよ…


「な、何で……」


「ほ、本物ですぅ……」


「途中まで気付かなかった…」


「え、えーと、アレクさん、でしたよね」


 四人が困惑しながらも、ソフィアがアレクさんに挨拶を始める。


「ソフィアです。こんな姿ですけど、宜しくお願いしますね」


「ミュニクって言うの!マサキ様の仲間です!」


「シリシカよ……宜しく」


「……ク、クレハ=ウィエル=バンフォーレよ」


 それで僕のパーティ全員が自己紹介を終え、次にアレクさんとその背後にいる少女の番になる。


「どうも一般人のアレクです。宜しく」


「…嘘はいかんぞ……何が一般人じゃ……あぁ、我はニーファと言う。宜しく頼む」


「おい、どうした駄竜。気分悪いのか」


「いや、何でもないから安心せい」


「で?本題は何なの?」


「ちょ、シリシカ!?」


 シリシカがズバリと彼等に本題を聴いてきた。

 流石にこれはヤバイよ、シリシカ…


「ん?いやーマサキの仲間に霊薬がいるって聴いたから、見に来た」


「我は暇だから付き添いに。後、此奴の本音は合法的に女子に触る為だ」


「駄竜ちゃんの本音は鉄剣から逃げる為だけどね」


「黙れ小僧!お主に我の何が分かる!」


「その発言は白い狼専用だよ?君はワンワンなのかな?竜じゃなくて」


 そう言えば、ニーファさんはあの鉄剣に勝った人なんだよなぁ……なんか、ただもんじゃない感があるし……


「まぁ、って事で見せて」


「え、あ、はい……」


 ソフィアに今は無き左腕の部分を見させようと迫るアレクさん。ソフィアは逆らえずに垂れる服を巻き上げ、左腕の関節より上部分から無い姿を見せる。アレクさんはそれを眠そうな目でジロジロ見て、


「はーん。なるほどねぇ…」


「な、何かわかったのですかっ?」


「うん。君に霊薬は要らないね」


「「「「「えっ」」」」」


 アレクさんの言葉に目が点になってしまう。

 え、えっと……ソフィアに霊薬が要らない?どう言う事?


「ど、どういう事です、か?」


「いやーソフィアさん。君の腕は霊薬無しでも治るよ」


 何か凄いどんでも無いことを言ってくる。


「えっ………え?」


「……どういうこと?」


「あー……治さない方が良いかな?」


「い、いえ!治せるなら、どうか治してください!何でもしますから!」


「そ、ソフィア、その言葉は……」


「ok。何でもするって言ったよね?」


「はいっ!!マサキさん達にこれ以上迷惑掛けたく無いですし…でも、どうやって…?」


 いや、その前に、何でもするはダメだよ、ソフィア……言質取られたら余計ダメだよ……


「こうやって。《神意治癒(エクストラヒール)》」


 眩い光がアレクさんの手から放たれ、ソフィアの体を……特に左半身を包む。

 そして、光が止み、ソフィアを見れば……


 そこには、左腕が。綺麗な色白の腕が。


「えっ……嘘…」


 涙をポロポロと落とすソフィアに、僕達四人が彼女に抱き着き、祝福する。


「よかった!よかったですぅ!!」


「……本当に治った……凄い…」


「良かったわ!本当に!治りましたわ!」


「み、みなさん……」


「おめでとう!ソフィア、もうこれで…安心、かな?」


 僕は彼女を祝福し、彼女の容態を考えて問う。


「はい!これからも、お願いします!」


「「「「はい!」」」」


 こうして、僕達の悩みが解消され、元気なソフィアが戻ってきたのだった。



 ◆次期魔王の兄アレク


 いやー。素晴らしいなー。

 このマサキ……否、勇者君は頭おかしい程の美少女に囲まれてハーレムしやがって……羨まけしからん。


 まぁ、霊薬なんてのは確かに貴重だけど、俺が居たから必要なくなったね。


 良かった、良かった。めでたしめでたし。


 さて、ソフィアちゃんに何でもするって言われたし、何させようかな……するにしてもマサキを呼ぶのを忘れちゃいけないし……


「ありがとうございます!アレクさん!何てお礼を言えば良いか……」


「んー……今は気にするなって」


 勇者パーティ全員からお礼を言われ、そのまま踵を返して控室に戻る俺とニーファ。


「先程の回復魔法……レベルおかしく無いか?」


「禁書庫の奥にあった神の魔法だって」


「ほぉう」


「ま、治って良かったじゃん?」


「うむ」


 暫く無言で石畳の上を歩いていたが、


「あのクレハと言ったか……バンフォーレの名は聴いたことがあったな」


 突然ニーファがあの復興を目指す没落令嬢について語り出す。


「六百年ほど前に我の首を狙った伯爵家の名前だった気がするのだが……」


「六百年も前だと、人間世界では変わり行く物なんだよ」


「……そう、か」


 なんだかしっくりこない顔で目を瞑るが、そこまで気になることだろうか。


「まぁ、次のお主の相手は王子じゃろ?」


「お前は『血塗れ剣』とか言う殺人鬼が」


 そう。俺の次の対戦相手はヘルアーク王国第一王子ミラノ=ルーベル=ヘルアーク。


 太陽神に愛された美男子との戦い。


 さて、取り敢えずその王子様とやらはどんな奴なのか……


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