ヘルアーク武闘大会-鉄剣と駄弁る
武術大会を武闘大会に変更
ニーファとリョーマの怒涛の戦いが終わり、次の試合の為にステージの修復もし終わり、次試合を観戦している最中。
「で?なんでいんの?」
「いや?なんとなく」
控室で菓子を食べていた俺とニーファとプニエルの隣に、『鉄剣』のリョーマが座ってきた。
『ムシャムシャ』
「んまー?このクッキー美味いなぁ……」
「む?この菓子の美味さがわかるか!お前とは話せるかもしれんのぉ!」
「基準がおかしいぞ……」
「まあ、お前ら二人を見ておきたいってのもあるし……」
「小学生を見て喜ぶ近所のおっさんか」
「おいっ!そのツッコミはやめ………って」
「あ、やべ」
「地雷かの?」
ヤバイ、ヤバイぞぉ!前世でしか通じないジョーク言っちゃった。取り敢えず防音結界発動。
「まさか……お前って…」
「おい中年。知らない事で救われる人も居るんだぞ?わかったな?」
「お、おう……そうだな、そうだよな。うんうん。あ、俺は勿論、転生者だ」
「かの最強が簡単に丸められたのぉ」
面倒なんだ。他人に自分が転生者だとバレると厄介事に巻き込まれるテンプレが起きるかもしれん!という事で、俺の正体を知っているのは今のところ、ニーファとあの…………名前忘れた。あの亀爺さん。んで追加で察したリョーマのおっさん。
「そう言えばおっさん。なんで冒険者やってんの?」
「露骨な話の変え方じゃのぉ〜」
『おっさん!おっさん!』
「おっさん言うな!まだ30だぞ!」
「前世と換算して?」
「ん?俺はそのまま人生を続けたぞ?」
「「え?」」
んー?ってことはつまり?
コイツは死んでも赤子からリスタートじゃなかった?
「つか、何歳で死んだんだよお前……」
「いやーそりゃもう…………………………アレ?」
アレ?どう言う事だ?死んだ時の年齢を覚えてないぞ?あれか?記憶が身体に引っ張られて記憶保存量が欠落してるのかっ!?
よくわからんが俺は何歳で死んだんだっけ?
「………忘れたっぽい」
「「おいおいおい」」
「まぁ………仕方ないよね。十一年経ってるし」
とにかく、俺の記憶残量が少ないことは置いといて、さっきから機嫌良さそうに揺れてる尻尾が気になる。
ギュッ
「んひゃぁっ!?」
あ。ニーファさんの竜尻尾は敏感なんですね。
なーるーほーどー。
「お、お主……ふ、ふざけてるのか!?」
「僕じゅっしゃい。お姉ちゃんどうちたの?」
「突然の幼児化やめぃ!後、一歳若返っとるぞ!」
「ま、兎も角。おっさんが冒険者の理由は?」
「お、おう。そう言えば話そうとしてたんだったよな………」
話を戻して。
「まぁ、俺はまず女神に出会って、試練を言い渡されたんだ」
「転生から始まる最強秘話」
「……おい。まぁ兎も角、そこで『混沌』って奴と戦って死んで変わって戦って死んで……を繰り返した。まぁ、最後には勝ったが」
「どゆこと?魂の状態で戦ったってこと?てか、変わったって何?」
「あぁ…女神さんの部下の天使に肉体改造……いや、霊体改造か?それを続けて、敗北を繰り返して、強くなって。そして……勝った」
なんか重い話だなー。
「んでまぁ、試練を乗り越えて何とか転生したんだけど……そこで奴隷を見つけてなぁ………」
「ふむふむ。性癖は奴隷愛好、と」
「おい。何メモったんだ?おい、止めろ!」
ちっ。さり気無くメモしてたのを邪魔された。
「んまぁ、それでその娘達を養うためには色々頑張らなきゃでなぁ……」
「転生して直ぐに一家の大黒柱だね!やったね社畜!頑張って情報社会の軸に、歯車になれ!」
「もうサラリーマンじゃねぇから!嵐の日に出社しちゃいけないって学んだからな!」
さり気無く、自分の死因を悟らせようとしてきた。なんだよ。雷に命中したか?
「まぁ、ぶっちゃけ俺の力は魂の改造で実質的な名前は無いんだけどよ。これで、この座まで上り詰めたんだよ」
「さっすがー」
「優しいのー」
「で?その奴隷ちゃん達は?」
「世界都市の屋敷で留守番だ」
「「ふーん」」
「どうでも良さそうに返事すんなよ…」
そのまま俺達が喋っていたら、
「アレク選手、アレク選手。次の試合準備が整いましたので、リングへどうぞ」
控室に入ってきた案内人さんが話しかけてくる。
「はい。わかりました。すぐに」
「よーし!頑張れよー!」
『頑張れマシタ!』
「負けたら針万本だからなー!」
「恐っ!」
そして俺は歩き出す。
俺の本戦最初の相手………
勇者マサキとの、一騎打ち。
さぁ!楽しく暴れようか!




