銀の翼と祭の噂
武術大会を武闘大会に変更
「はぁ、何の用?」
明くる日。冒険者ギルドに暇潰しでやって来た俺達は、待っていたかのように立つギルマスのギエラに呼び止められた。
「いやな。お前らって二人一組だろぅ?」
「まぁ……そうなのか?」
「そうなんじゃろうな。多分」
「何で疑問形なんだよ……」
仕方ないだろ。そういうのは考えた事無かったし。
「お前ら二人……とその頭に乗っけてるスライム含めてパーティ登録してくれねぇか?」
「「パーティ登録?」」
冒険者のパーティとは、その字の如く数人体制で徒党を組んで戦う為の集団の事だ。
「おう。一応、お前らに登録してもらいたくてな」
「なんで?」
「いやよ?お前ら単独じゃねぇし、二人一組ならパーティ登録しとく方がな?」
「まぁ、よくわからんが、すれば良いんじゃろ?」
「おう。理解が早くて助かる……ってことで、この紙、パーティ申請用紙にパーティ名とか書いてくれ。名前は自由だ」
渡されたパーティ申請用紙をニーファとプニエルと一緒に眺める。
「名前だって。何にする?」
『なにー?』
「見た目…から取るか?」
見た目……と言うことは、銀色?
「ふーむ。『銀の翼』ってのはどうだ?」
銀の翼……良いんじゃね?
「良いんじゃね?」
「よし。じゃぁ書け」
「俺がかよ…」
と言うことで、パーティ申請用紙の記入欄に、パーティ名『銀の翼』、アレク、ニーファ、プニエルの名前を書いて、問題ないか確認してから、ギエラに渡す。
「よし。これで何とかなるか」
「んー?なんかあったの?」
「まぁ……お前らを自分のパーティに入れようとする奴等が多くてな。先に対処させてもらったって訳だ。まぁ、面倒事は嫌いだろ?」
ニヤリと笑みを浮かべるギエラ。
うん。気遣いありがとう。お前、良いやつだな。
「あと、ついでに大会参加者に名前を入れといたからな」
「はーい…………は?大会?」
「何じゃそれ?」
「何だ、知らなかったのか?一週間後にあるぞ」
そう言って、ギルド内に貼ってある張り紙を指す。
『ヘルアーク武闘大会』
ほー。
「強制参加?」
「おう」
「どんな感じじゃ?」
「まぁ、今回の大会は個人戦だな」
「「つまり、コイツと殺り合う可能性があると」」
「お、おう」
へー。つまりは………
俺とニーファは互いを見合い、
「「日々の鬱憤を晴らせられると」」
よーし。良いもの見せてやるよ。コテンパンにしてやる。
その黒い笑みをぶち壊してやんよ。
「あー。誘わん方が良かったか……?」
半端ない威圧感を出しながら笑う二人を見て、ギエラは冷や汗をかきながら頭を掻くのだった。
「まぁ、楽しく殺ろうや」
「良いだろう。山での借りを返してやろう」
あぁ、楽しみだよ、一週間後が。




