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魔王の兄は転生者  作者: 民折功利
第二章 冒険者のお兄様

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ヒリング草探し

 

 クエストを受注して王都フリードゥン近郊の森へヒリング草を採取する為に徒歩で出向いている。


 これは初級のGランク冒険者がいつでも受けられる常時依頼なので、今日もなったばかりの冒険者が足を運ぶ、比較的安全な森だ。

 出る魔物と言えば、ゴブリンやコボルトぐらいだが、稀に上位種が出現するらしい。


「ヒリング草……不味いんじゃよな……」


「……そのまま食べたの…?」


「うむ……ちとヤラかした時にヒリング草の群生地を見つけての。まとめて食ったんだが、渋い苦味やらで不味かった……」


「一緒に土も食べたよね、絶対」


「思い返せば土の味がしたな……」


 ニーファの苦い思い出話を聴きながら、ヒリング草の姿を思い浮かべる。


 形は表面がツルツルで、裏面はザラザラの草だ。探せば見つかるぐらい生えている一般的な薬草で葉と茎がポーションの材料になる。


 採取する時は根元の土をほぐしてから、引っこ抜く。簡単に言えば雑草抜きだ。


 それ専用の器具も貸し出されており、俺とニーファは二つそれを借りた。


 プニエルは森に行くと知って喜び、目の前に広がる葉緑の森に今でも駆け出しそうである。

 何でも、森に生えている草はどれも美味しいらしい。プニエルは人間の料理も好きだが、自然物…野生のスライムが食べる物も好きらしい。

 ……実は、ご飯食べたいと強請られても、そこらへんの草を与えとくと静かになる。単純とか考えてはいけない。


 安全と認定される森に入り、ヒリング草を採取する為に道なき道を歩く。

 探知系の魔法を常時張り、魔物の位置とヒリング草の群生地を捜索する。


「お、発見、今日の晩御飯」


「え……?ま、マジか?」


「ヘルシー料理だぞ。喜べ」


『わーい!』


「肉は…肉は無いのか……?」


「コボルトの肉」


「あれは不味い!食べもんでは無いっ!」


 食ったことあるんかい。


 言いながらヒリング草の群生地に向かい、器具を使って引っこ抜く。

 形はホームセンターで販売されてる姿をよく見るような形だ。土に差し込んで捻り出すことができる。


「はい、ゲット」


「おぉー。意外と簡単に採れるんだな」


『モグモグ〜』


「こら、プニエル。無差別に草食うな!」


『大丈夫〜』


 エンジェルスライムは状態異常無効化できるけどさぁ………って、ヒリング草まで食べてるっ!


「プニエル、その草は…」


「あーあ。綺麗に無くなったの」


『苦いけど何かスーッとする〜』


 一悶着ありながらも探知でヒリング草を探す。

 見つけては掘り出し異空間に収納。見つけて掘り出し異空間に収納。見つけて掘り出し異空間に収納。見つけて掘り出し………


「あぁ、もうメンドくさい!」


 はい。もう俺飽きました。疲れたよ。肉体的にも精神的にも。同じ作業を続けるだけじゃないか!


「んあー……魔法使えばいいんじゃ無いのか?」


「……………」


 ……………………………………………………。


「そぉの手ェがあったかぁぁぁぁぁっ!」


 俺は森の中で腹から叫び声を出したのだった。


 そうだよ。そうすればいいんだよ。魔法だよ!今の時代は魔法なんですよ!そこの奥さん!なんと今なら広域掘削魔法を、お値段6,000ロール!


「あー。何か変な世界に入り込んどる……」


『マシタ喜んでるー』


「はっ!」


 ヤバイ深夜テンション並みにトリップしてた。


「よっし、行くぞー」


 俺は言霊魔法で新たに創作し、魔法を詠唱する。植物自身をサイコキネシスにより念力で地面から滑らかに動かして集める魔法。


「《植物念動》」


 瞬間、目の前のヒリング草の群生地全体に緑色の淡い光が発生し、ヒリング草達がウニョウニョ揺れ出し、ニョキと生え出す。


 ニョキ。ニョキ。ニョキニョキニョキニョキ……


「おおぅ…」


「想像とは違う生物らしさ……」


『葉っぱが動いてるー』


 少しひくレベルの動きを見せてくれたヒリング草の集団をアイテムボックスに投入する。


 その数、103株。


 …………採り過ぎた気がしなくも無い。


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