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魔王の兄は転生者  作者: 民折功利
第二章 冒険者のお兄様

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王都フリードゥン

 

 先輩冒険者を脅して気分爽快な朝を迎えた俺たちは、昼前に黒馬車に乗ってシーイールを出発した。


「なぁ、お主。次は何処に行くのじゃ?」


 ニーファの当然の疑問に俺は答える。


「行き先はねー………」


 行き先は、このヒューマンド大陸で最も大きな都市。


 港街シーイールを含めた大陸の七割を占める国土を持つ大国。永き栄華の誇る太陽の国の王都。


 ヘルアーク王国。

 世界全体の歴史を紐解いても、必ずその名が出てくる世界で最初に建国された国。

 太陽神の寵愛を受けた王族が末永く現代まで統治している。


 そして、俺たちが向かうのは王都フリードゥン。王国の中でも最も潤っている国の首都。世界最大の国の首都であるから、世界一の都と言われている。


 そんな王都に向けて俺達は黒馬車を進めるのだった。






 時間にして二日。

 途中でいくつかの町や村を経由して、昼前に王都に到着した。

 この国は他国の情勢を見ても、五百年間、飢餓や紛争などが起こっておらず、平和を維持している。しかし、その平和の裏にも闇は存在するが、必要悪として最低限度の抑止力だけで闇市などは放置しているらしい。


 実際に、人気の無い街道を通ってみれば、子供二人とスライムだけしかいない俺達を奴隷にしようと襲って来たり、売れば破格の値段がつきそうなプニエルを盗もうとする下郎がいたりした。


 無論、そいつら全員に言いようの無い恐怖を与えて旅立ってもらった。何処かは言うまい。



 王都に入る為に冒険者や商人、出稼ぎに来る人々や馬車が城門前に順番待ちをしている。


 実際には2つに分かれており、徒歩の者達が平民門(正式名称など知らんから俺が適当に付けた)。貴族や特別な人など専用の貴族門(正式名称など知らんから俺が適当に付けた)。

 貴族門の方並んでいる人、というか馬車が少ない。


 俺達は平民門その列の最後尾に並ぶ。

 馬車に乗った商人達は門を守る衛兵にカード…身分証を見せ、馬車の荷台のチェックを受けて通っている。徒歩の者達は商人と同じようにカードを見せる者も居れば、銅貨を払って木の札…仮身分証を受け取っている者がいる。


「次の者」


 遂に俺たちの順番が回ってくる。

 衛兵の若い男性がこちらに人の良い顔を向けてくる。


「これが俺と隣の奴の身分証です。後、こいつは使い魔のスライムです」


 俺とニーファの身分証を提示し、使い魔のプニエルの存在を伝える。

 それを確認し終わった衛兵は、プニエルの珍しさに少し見ていたが、見た目子供だけが馬車に乗っていることにハッと疑問を覚えたのか、


「子供二人で旅を?いや、冒険者だからか?」


 と、質問しながら勝手に納得している。確かに、比較的安全な国でも、魔物が闊歩しているし、盗賊なども存在している。


「はい。撃退できる力はあるので」


 と、軽く言った俺に、衛兵は少し不安気な顔をしながらも、「そうか」と発して入門の許可を出してくれた。


 俺はそれに感謝しながらも、初めて他国の首都に訪れたのだった。


 ヘルアーク王国の王都フリードゥン。

 面積的に言うと東京23区より大きいぐらいだ。つまり魔都エーテルハイトよりも大きい。

 しかし、中央大陸の世界都市ユグドラシルの方が広いので、都市的には第2位の広さを持つ。


 まぁ、世界都市は中央大陸全土に広がっているので、比べようも無いのだが。


 門をくぐれば見える王都の街並み。


 美しく統一された石造りの民家。立ち並ぶ活気ある露店。教会や大きな図書館なども見ることができた。


「おー!遠くから見てもデカイな!……さすがヒトといったところか」


 一番目を惹くのは、遠くに見える王城だろう。遠くからもその大きさがよくわかる。魔王城よりも規模がデカイと思う。王城は王都の中心にある為、遠目なのに大きいと感じるということは、滅茶苦茶デカイということだ。


 最古の時から栄える王国の城は、神竜のニーファすらも感嘆する程だ。


「王都に来たことあんの?」


「えっと……あれは七百年程前か。まだあの時代では我を討伐しようとする愚者で溢れておっての。当時の王国もイキっておって、我に歯向かったので攻撃したのだが、当時の国王に苦戦しての。まぁ、本気を出す前に勝つことができたのは奇跡じゃな」


「ふーん」


 やっぱり、どの国もアホがいるのか。とゆうか、ニーファが本気を出すと王都一帯が更地になるので、その前に国王が負けて良かった。

 ……いや、ニーファに本気を出させかけた時の国王はどれだけヤバイ奴だったのだろう。攻撃力とか耐久力とか平均値をグンッと超えてたんだろな。


 そんな下らない事を考えながら、黒馬車は王都滞在時の宿を決めるために前に進むのだった。


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