冒険者登録
港街シーイールにやってきた俺達は、潮風香る朝を迎えた俺達は冒険者ギルドに足を運ぶ。
やはり、異世界の定番と言ったら、冒険者という言葉がまず出てくるだろう。
そんな定番に沿うために俺とニーファは冒険者登録を行う。
冒険者に登録しておく事で、大陸間や国同士の移動に活動が非常に楽になる。その分でも登録する事には得しかない。
「さて。ここか」
大通りの広場に面した所に建ち、冒険者とすぐにわかるような『剣と盾の会のマーク』が看板に付けられた大きな建物。
ひっきりなしに人が出入りして、活気を感じさせる。
「よし。それじゃあ行こうか」
「お主って物怖じってものを知らぬよな」
そして、俺達は若干ウキウキしながらも開けっ放しの扉を潜って室内に入る。
ーーー同時に包まれる、騒がしく、喧しく、心地よい喧騒の音。
……この雰囲気も悪くはない。
見た目が幼い俺とニーファ、不思議スライムなプニエルの姿を一瞥する先輩冒険者一同。しかし、すぐに興味を失ったように彼らは仲間との談笑を続け、酒らしき物をまた飲み始める。
そのままギルド内の受付カウンターの前に立ち止まる。
うけつけには、二十歳程の綺麗な人族女性が座っていた。冒険者ギルドの受付嬢は綺麗処が多いと有名だ。但し、デートに誘ってもほとんど乗ってくれないらしい。
「初めまして。シーイール支部へようこそ。今日はどのようなご用件で?」
丁寧に対応してくれる受付嬢。
「はい、冒険者登録をしに来ました」
「我も同じく」
「では、この用紙に必要事項を記入してください。代筆は入りますか?」
「大丈夫です」
「問題ない」
そう言って記入用紙と羽根ペンを丁寧に渡してくれる受付嬢。
子供にもきちんと対応してくれている。
名前を記入する際に王族の家名を記入して名乗っても仕方がない。
名前のところにはアレクと書き、特技に剣技と魔法と書く。剣技は魔王城で習った。対人戦も出来るし、実戦も経験済みだ。
年齢は勿論十一歳と書く。種族は魔族。最低限の事しか書かなくていいらしい。
ニーファも書いたらしい。
名前はニーファ、特技は拳術と魔法。年齢は十一歳。種族は竜人族。
年齢と種族はどう見ても詐欺ってる。
竜人族とは山間部に住み竜の血が流れている民だ。体の一部に竜の鱗を持っていたり、角や翼を持っていたりする者がいるため、名乗るには丁度良いのだろう。
「出来ました。お願いします」
「こっちもな」
「はい……大丈夫ですね。それでは、血を一滴この水晶につけてもらえますか?そうする事で、カードに魔力指紋が登録されるので」
俺とニーファは言われた通りに渡された針で指を切り、血を水晶に付着させる。水晶は淡い光を発して何事もなかったように元に戻った。
そして、水晶の下にあった装置からカードが二枚立て続けに出てきた。そのカードは鉄でできていた。
「これがギルドカードになります。魔力を込めると名前とランクが浮き上がります。ランクが上がることによって素材も変わってきますから頑張ってくださいね。最初はGからのスタートとなります。それでは冒険者についての説明は必要ですか」
「はい。お願いします」
「うむ」
「冒険者にはランクがあり、Gからスタートになります。そこから最後はSまでがランクになります。カードはGからFランクは鉄カード、EからDランクは銅カード、CからBランクは銀カード、Aランクは金カード、Sは白金カードになります。昇格についてはギルド独自で判断しておりますので公表はしておりません」
なるほどな。
「依頼については、通常依頼、指名依頼、緊急依頼の三種類があり一般的には通常依頼となります。但し、依頼者の指名がある場合ギルドで審査したあとに指名依頼としてだすこともあります。緊急依頼については、過去にあるのは魔物の氾濫などがあります。他国との戦争についてはギルドは中立になりますので各自の判断でお願いしています」
受付嬢は丁寧に教えてくれる。
「通常依頼については入口右手の掲示板にランク毎に張り出されておりますので、剥がして受付までお持ちください。但し、常時依頼と書かれているものについては、依頼を受注せずとも納品してもらえれば達成とみなします。ゴブリンの討伐とかが主になってますね。あとはソロで受けられる場合とパーティで受けられる方がおります。パーティを組む場合はギルドにて登録してください。そうすることにより、ギルドポイントの査定が両者に加算されることになります。なお、冒険者同士の争いに関しては、基本的にギルドは感知いたしません。重大な犯罪等が関わる場合は関与いたしますが。説明は以上ですね、わからないことがありましたらいつでもお聞きください」
「わかりました」
「では、これから頑張ってくださいね、アレクさん、ニーファさん」
「うむ!」
「はい!」
こうして、俺たちの冒険者生活が始まったのだった。




