航海1日目
危ねぇ……
間違えて完結押してアタフタして削除しちまった。
つまり、これ再投稿や。
果てなく続く大海原を進む一隻の巨船。
青く輝く海水の上を我が道と行く巨船は力強く勇ましく突き進む。
道を遮る海洋の魔物達も、乗船した冒険者に駆逐され、またその巨体で押し潰し、ただ真っ直ぐに航海図通りに船は進む。
多種族が叡智を振り翳し造り上げた巨船の数々。その中の一つである、カイオウ号。
俺ことアレクとニーファ、プニエルは甲板の上で戦う冒険者や船員の姿を眺めながら紅茶を啜っていた。
……俺達は戦わずに観戦しているが、乗客は守られるべき立場なのだ。問題ない。
「にしても、強いな船員達」
「まぁ、海の魔物は謎に満ちとるし、我も知らぬ魔物がウヨウヨいるからのー。海の屈強な男衆でないと収まらない仕事じゃからな」
そう、カイオウ号の船員だけでなく、漁師などは地球の奴等より強い。サメに襲われようが反撃し難を乗り越えるし、遭難してもまず泳ぎ出すからな。
航海1日目の今日は、いきなり海の魔物、ソードフィッシュの群れやダンガンザメの群れに襲われた。まぁ、船長のザニック曰く、海に出れば良くあることらしい。
ダンガンザメとは、弾丸の如く海から空に飛び出して船上にいる生物に噛み付きながら海に戻るという狩を行う獰猛な小型の鮫だ。
小型と言っても、軽自動車より小さいぐらいで、大きい物だと大型自動車並みの大きさらしい。
……この世界の魔物共はでかければ良いと思ってるんだろうか?小型とか言って軽自動車並みの大きさとか頭おかしいから。
いきなり甲板に飛び出たダンガンザメを槍で串刺しにし始める船員と護衛を務める冒険者達は勇姿溢れるものだった。動揺せずに無言で殺しに行くのだから、手慣れているのだろう。
……手慣れる程、この海は危ないのだろうか。よくこの巨船は海の藻屑にならないものである。
あー。どっかにデカイ氷塊浮いてないかなー。ぶつからないかなー。
文句を言ってる間に群れの殲滅は終わったらしい。うわー。返り血を浴びたむさ苦しい男達が控え目な笑顔で拳を合わせ合う姿を見てみるに、戦いで友情が芽生えたらしい。
「ふむ……どうやらもう危険はなさそうじゃな」
神竜のニーファが言うのならそうなのだろう。
「航海1日目からこれって幸先怪しいな」
「我が乗ってるから大丈夫じゃろ」
『大丈夫大丈夫ー♪』
「余計に心配になるんだけど……」
結局、そこからは何の問題もなく、航海1日目は無事に終わったのだった。




