晩餐会
夜。
我が妹ユーメリアが次期魔王に選ばれたことを祝う晩餐会が行われる。
今回は立食形式のパーティーで、俺は上座に位置する場所で先に待機している。俺の隣には玉座に座るシルヴァトス父さんとエリザベート母さんの二人が仲良く談笑している。
俺はニーファとプニエルと一緒に勝手に食べ始めているが、誰も注意しない。というか、俺に接触して面倒なことになりたくないのだろう。
以前、俺は注意された時に、ニーファが巻き添いを喰らい、大激怒。城と注意した大臣が破滅の道を辿ったことがあるからだ。
その大臣数名は殉職している。
アイツらは影でコソコソうるさかったからな。いい気味だ。その時だけニーファを大切に扱って差し上げた。俺優しい。
まぁ、苦い思い出(笑)は置いといて、ユメは主役として登場するため、後数分後にやってくるだろう。
そう思考している間にユメが会場に入場する。
「「「「おぉ……」」」」
ユメの姿を見た瞬間、多くの者が声を上げる。
美しい漆黒のゴシックドレスに身を纏い、夜を刈り取った様な黒髪に真紅に染まった眼を持つ。
身長も伸びており、九歳にして平均身長を超えているが、俺の方が身長高いな。
そしてユメが専用の席の位置に立ち父に礼をし、それを合図に魔王シルヴァトスが立ち上がる。
会場に集まる貴族や俺達は魔王に跪く。
「面を上げよ。ここは我が娘ユーメリアの祝いの席である。では、これより晩餐会を始める!全員、杯を持て!」
サッと全員が飲み物を持つ。
「それでは……乾杯っ!」
「「「「「「「「乾杯っ!」」」」」」」」
そして晩餐会は始まった。
「本日はおめでとうございます」
「これで我が国は安泰ですな!」
「ありがとうございます。誠心誠意頑張らせて頂きます」
ユメは初っ端から貴族達と挨拶をしている。
……いやー。あんな面倒なこと俺にはできんな。貴族と挨拶する以前に礼儀など捨て去ってしまうがな!ハッハッハッ。
「おい、そんな不気味な顔をするな。死んだ目と合わさってヤバいぞ」
「なにそれイジメ?俺に対する宣戦布告?」
「なんでそうなるんじゃ……」
『あ、マシタ!これ食べたい!』
「ん?あーはいはい。どうぞ」
俺はプニエルとニーファと楽しくやらさせて貰うからね。あんな面倒な会話をするのはめんどくさい。
にしてもこのステーキ美味いな……
さすがアンデュラーのお手製晩餐料理は最高だな。
「おお!この海老フライは美味じゃな!」
『マシタ、このケーキ美味しよ!』
「お、マジでちょうだい?」
『はーい』
「む?お主、このハンバーグ食べたか?」
「いや、食ってない。プリーズ」
「ほれ」
俺達は純粋に食事を楽しみ、晩餐会を終えた。




