駄竜と寝た
ユメが次期魔王と発表された日の夜に城で盛大な晩餐会が開かれることになった。
ぶっちゃけると、俺は最初の挨拶にだけ出て後は部屋でゴロゴロしたいのだが……
そうしたくても、美味い飯やユメへの祝福を授けなければいけないので参加する。
まぁ、一応王族だから出なきゃなんだけどね…
「とりあえず寝よう」
まだ昼過ぎだしね。寝るべきだよ。
俺は自室へ向かい、ニーファは庭園に向かって散歩に行った。
そして自室に入り、背伸びしてからベッドに潜り込み、俺の意識が落ちたのだった。
「ん………」
おはようございます。
現在、私はベッドで惰眠を貪っていたわけですが……何か隣に温もりを感じます。
「………?」
左に振り返ってみると。
「……スゥ……スゥ」
駄竜ニーファがスヤスヤと寝てました。
……いつのまに。
普段のこいつの顔も整っていて、道を歩けば十人中十三人が振り向くレベルの美少女だが、寝ている姿は一層可愛い。
……いかんな。考えないようにしよう。こいつ、俺に抱きつくように寝てるんだが、微妙に胸が当たってるんだよな……着痩せするタイプか。なるほどなるほど。
……意識すると二度寝できねぇ!
「ん………」
あ、起きた?
ゆっくりと瞼を上げるニーファ。
眠そうにこちらをボーと見ているが……氷を背中に入れてやろうか。そうすれば覚醒するぞ。
そして数秒後。何かこちらをボーと見ていた顔から、一気にボッと顔が真っ赤になった。
「……おはよう」
「……おはようなのじゃ」
「顔真っ赤にしてどしたん?」
「な、なんでもない!」
何か、恥ずかしいことがあったのか?
……いや、神竜としての威厳があるのかな?
ゼロに等しいのに?
ま、まぁともかく、こいつが何故ここにいるか問い正そう。
「どしてここにいるん?」
「いや、なに。お主が寂しがってないかと思っての。…まぁ、大丈夫だと思うがな?一応、一緒にいてやろうかと思ってな?」
…………ハァ〜。
「わざわざご苦労なこって………ありがとな」
「!……お主、感謝の言葉言えたのだな」
「いや、普通に言ってるよねっ!?俺そんなに冷たくないよ?感謝ぐらい伝えられるからね!?」
「……ククク」
「な、なんだよ……」
「お主といると面白くて良いな、と思ってな」
「……あっそ」
いらん世話をかけてくれるとは……優しいな。
そんな言葉、絶対に口には出さぬがな。
いつのまにか、俺の眠気は無くなっていた。
残るのは、俺とニーファの笑い声だけだった。




