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魔王の兄は転生者  作者: 民折功利
第十章 非日常とお兄様

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真実

早速ネタばらし


 どうも〜。

 もうネタばらししていいよね?いい?やったー! 

 どうもアレクです。死にました。


「はぇ〜。幽体ってこんな気分なのか」


 半透明の身体になって復活したよ。

 え?どうなってんだって?


 今の俺の身体は魔力で構築されてるの。つまり、魔法そのもの。

 いつの日か作った神霊再臨儀式法陣。すっごい名前長くてアレなんだけど、簡単に言えば俺みたいな神性を持ってる魂を呼び寄せる魔法陣な。

 ついでに言うと禁術。


 で、俺の魂を魔法陣に呼び寄せて、中央に置いた透明な立方体《秘封の魂納箱》っていう魂を保護する古代呪具で俺の基礎を作り、日輪の国で買った呪符(周囲から魔力を奪うタイプ)によって身体を構築する為の魔力を掻き集めて俺が完成。

 あ、そうだ。

 そんで愛用してるこの黒衣……《常闇の黒衣》によって魔力体を維持している。


 常闇の黒衣。

 正式名称《魔神衣ガミュール》で……うん。魔神器だったんです。この黒衣。びっくりしたわ最初。

 魔神杖カドケウス調べた時にへー、魔神器っていうのかー、へーとほんの少し動揺して、ふと着てた黒衣にも鑑定してみたら結果は魔神器。

 びっくりしてアンテラに喧嘩売りに行ったわ。


 あの神、君を最低限支援する為だから!とか言ってたんだけどさ……

 転生者とはいえ、故人……故神の遺した神器を二つも寄越すのは違うと思うんだよね。

 まぁ有難いから使うんだけど。

 感謝はすれど信仰はしません。だってお前はアンテラだから。駄女神だから。行動を慎め。


「あー、ふわふわする……これ、現世にいちゃダメな奴ですね。さっさと天界行こう」


 すっごい脱力感。眠い。意識を手放したら空気に溶け込んじゃいそう。

 なんとか意識を保って、天界に行く……前に、ちょっと覗き見する。


 儀式して荒れた俺の部屋から転移して中央学園に行ってみたんだが、どうやら俺の姿は視認できない様子。まぁ半透明……ぶっちゃけ言うなら幽霊に似たようでそうじゃないよく分かんない物体だならね今の俺って。……何言ってんだろ俺。

 あ、魔神衣も見えなくなってるみたいよ。


 は〜、父さん?

 期待値上げんのやめてくんろ?ユメと母さんの元気を取り戻す為とは言えさ?てか言ったんたら発言に責任もてよ後悔すんな。あんた魔王やめてから頭がお花畑になる魔法でもかけられたの?

 まぁ、立ち直ってるというか、俺がいなくても家族は大丈夫ってことはわかった。

 あと、早く戻って来ないと父さんの頑張りも無駄になるんだ。俺も頑張って蘇ろう。


「んんん。よし、《転移》──────あ?」


 決意を新たに天界に到来。

 取り敢えずアンテラの執務室に直でやって来たんだけど……


 アンテラの奴、部屋の中でシャボン玉してる。


「………………………………………なにしてんの?」

「!? うぇっ、アレクくん!?」


 現実逃避かな?

 びっくりしたアンテラは、俺が来てたことに驚きながらシャボン玉をしまって……

 二度見で俺をもっかい見た。

 そして顔を青染めて……


「オバケーーーーーー!!!!!?」

「否定しずらいけどさ……何、苦手な感じ?」

「ぎゃああああああああ!?!?!?」

「おいこら!暴れんな!」


 幽霊苦手だったのか夜天神。

 お前、夜の神だろ?夜って言ったらオバケ出てくんだろうが。なんで苦手なんだよ。管轄だろ。


 暴れ泣くアンテラを慰め、かくかくしかじかと懇切丁寧に説明してやったら泣き止んだ。

 まったく、年齢万歳オーバーを慰めるってどういうことよ。


「今、僕の年齢を予想したね……?」

「いやわかりきってるこ……痛い痛い痛い!?肉体のない俺にダメージだと!?はぁ!?」

「はっ!僕を誰だと思ってん!?夜天神だよ!?幽霊を握り潰して除霊できるんだよ!!!」

「脳筋かな!?」


 ダメだこの女神。テンパってて変なこと言ってる。


「……………………ふぅ、ごめん取り乱した」

「いやまぁ気持ちはわかるし」

「そうだよ何死んでのさ。理由はわかるけど」

「じゃあ良いじゃん」

「良くないよアホなの?」


 正論ブレード振り回さないでください。


 俺が死ぬ。

 その為にルーシィ……ひいてはゼシアを利用させてもらったんだが。

 あ、ゼシアとの契約というか会話の内容は、新しい神を作って世界を混沌の渦に落としませんか?的な内容を話したらすっごい興奮した様子で承諾してくれました。あの神、やっぱ危険やな。

 まぁ、新しい神っていうか俺の新生なんだけど。


「吸血鬼……凛音だっけ?大丈夫なの?」

「なんか心閉ざしちゃったんだよね……想像以上にメンタルボロボロで申し訳なく思ってる。アフターフォローはしっかりするさ。これでも兄だからな」


 そう、そうなのだ。

 ルーシィが俺の想像以上にダメになってたのだ。おかげであの子は現在心の奥底に引きこもり中。ゼシアが大手を振って活動できる状況になっている。

 あの子のメンタルをしっかり考えておけば……いや、もう遅い。今更考えても無駄だ。

 ただ、凛音を……ルーシィの為にも、俺はこの死を受け入れなければならなかった。


 救う手立てが無かったから。


 だが、停滞したこの身体ではそれは不可能。ゼシアとルーシィの精神を引き剥がすとどちらも死ぬ。片方だけを生かして解決するというご都合的な成功は望めない。それだけの御業を俺はもってない。


 その為に、いや、その為にも。


 俺は神になることを決意した。


「で、本物の神になるんだっけ?いいの?本当に」

「ここまで行ったら退けないだろ」

「まぁ確かに。じゃあ準備進めとくか……」


 俺には成長限界が来てた。神化のな。

 魔王ベースの魔族の身体だと、これ以上神化できないってのがわかった。経緯は今まで神気を使った魔法とかしたら神化スピードがグンと上がったのに対して、最近はそれがない。

 完全に肉体が神になって、半神じゃなくなったからからかなって思ったけけど違った。


 純粋に肉体が神化に耐えられてなかった。

 これにはアンテラも予想外だったらしく、俺の神化許容量が成長と共に異常なレベルで発達したのが一番の原因らしい。

 魔王系譜の身体でも耐えきれない神気ってどういうことだって思ったけど。

 あ、ユメの身体だと無事に神化できるらしい。

 真の魔王だからか?よくわからんが。


 取り敢えず簡潔に言うと。

 一回死んで、魔族の身体じゃなくて、神の身体を手にしてみようって話だ。


「必要な神気はこっちで用意しとくよ」

「あい。……あ、そうだ。1つ聞きたいんだけど」

「ん?何?」

「神に転生するじゃん?その時に身体の構成に神器入れていい?」

「……融合でもする気?」

「YES」

「バカかな?」


 具体的に言うと持ってる魔神器二つを身体の一部にしちゃおうぜって話。

 神になるんだからそれぐらいしようよ。

 魔神目指そうぜ。……あ、それだといつか倒されることになる。ダメだ魔神を目指すのはやめよう。

 ボクは悪い神じゃないヨ!


 そして、話は終わりとばかりに俺は転移魔法を発動する。

 転移先の情報───“悪魔公爵の招待状”という曰く付きの物品を手に持って。


「で、何処に出かけようとしてんの?」

「地獄」

「………………バカかな???」


 戦力増やしに行くんだよバカじゃねぇ。


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