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魔王の兄は転生者  作者: 民折功利
第一章 目覚めたお兄様
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俺は心配されている

 

「うむ。体調は良くなったようだな」


「よかったわ〜。アレクちゃんったら突然倒れちゃうんだもの…」


  目を覚ました俺に安堵の声を上げる夫婦。

  魔王シルヴァトスと王妃エリザベートは破顔して俺の頭を撫でてくる。


 …少しくすぐったい。


「もう大丈夫だから安心していいよ」


  そう言うと、二人は安心したように、ホッと息を吐いた。


  前世の記憶が蘇って、色々と曖昧で忌避的な部分が出てくるのではと思っていたが、そんなことは無く二人を自分の親として接することができる。


  ラノベ系の親とのすれ違いが無くて良かった。


「よし、アレクが起きたし、もう夕飯の時間だ。三日ぶりの家族全員で夕飯といこうか!」


  シルヴァトスはそう言って俺を食事に誘ってくる。

  しかし…


「あらあら、アレクちゃんは起きたばかりだし、普段の夕食はきついんじゃないかしら?」


  エリザベートはそんな風にやんわりと父の言葉を却下する。

  うむ。今は普段の夕飯を食べることを少し避けたい。

  普段の家の食事は、王族らしく豪勢で膨大な数の食事…という訳でも無く、美と味の調和を追求し、食べられる量だけの、いわば日本の普通の夕飯を少しグレードアップしたものだ。

  しかし、病み上がりの今は、それも食べるのがきついと感じてしまう。


「食べるならお粥が良いです。父さん」


  さりげなく要求する俺氏。さすが。


「うむ…そうだな。すまんなアレク。お前の体調を考えておらず…」


  この人…魔族の頂点に立つ魔王なんだが、家族には滅茶苦茶優しい。親バカである。


「大丈夫ですよ。父さんが僕のことを心配してくれているのはわかってますから」


「………うむ。なら良かった」


  少し嬉しそうに微笑む父。


「それじゃ、行きましょうか?」


「はい、母さん」


「うむ。アンデュラーには粥を頼んでおこう」


  アンデュラー。魔王城の総料理長だ。

  彼の腕に右に出るものはいないと俺は思う。


 そうして俺は親子三人で、三日ぶりに自室の扉を抜けて食堂に向かった。



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