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魔王の兄は転生者  作者: 民折功利
第九章 掌の上のお兄様

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賢者の魔法


「七箇所同時襲撃。かなりヤバいんじゃいかな」

「でも動かんのじゃな」

「信頼だよ信頼。学園長にクロエラのお師匠さん、聖騎士団はあまり知らないけど」


 世界樹の枝の上。

 俺ことアレクはニーファと一緒に並んで、眼下の世界都市の様子を見ていた。

 うーん、やっぱり吸血鬼だから夜ら辺に来るだろうとは思ってたけど、意外と早かったな。まだ夕暮れ時って時間帯なんだけど。


 それに、プニエル達を襲ったあの貴族令嬢みたいな女はナチュレが早々に捕縛して放置してた様子。

 殺すなり意識を奪うなりして欲しいんだけど……

 まぁ他人の主義とかに口を出すのは野暮ってものなので。

 でも何もしない訳にも行かない。

 無駄に灰が降ってる商業地区に魔法をかけよう。


「《無害侵食》……これでただの灰!うちの子を襲ったバカはただ縛られててくださーい!!」


 灰を止ますのはあの神徒を殺すなりしなきゃだから、取り敢えず俺の神気を全ての灰と神徒に無理矢理流し込んで制御。肉体を侵食する毒素を無害化。

 ……あら、魔法のせいで神徒さん気絶したわ。

 いきなり肉体に神気が通ったらそりゃ痛いか。かなり乱暴に流し込んだし……まぁ敵だからいっか。


「ニーファ、先に言っておく」

「……なんじゃ?」

「大好き」

「…………………な、なんじゃいきなり……」


 はい、一テレ頂きました〜


 尻尾を巻き付けてくるニーファとちょっとイチャイチャして、今後の俺の行き先構成を練る。

 ちょっとニーファ達には、かなり寂しい思いをさせるんだけど……


「で、何を企んどるんじゃ?」

「うえっ?」

「なんの脈絡もなくお主が惚気話しないじゃろ?」

「………妻に嘘は言わないよ」

「ほれ嘘ついた」

「えへっ」


 妻が察し良すぎて辛い。


「別に悪いことは考えてない。うんうん。色んな人がちょっとナイーブになるかもしれないだけで」

「……………………」

「……そ、そんな顔すんなよ」


 ちょっと俺があーなってこうなるだけだから!

 強くなる為って言うか、今は頭打ちでかなり際どいから仕方ないんだってばよ!!

 方法があるなら、綱渡りでも何でもしてやらぁの精神で行ってるの!大丈夫!ニーファに迷惑かけ……ちょっとしかかけないからさ!

 嘘じゃないよ!


「あ、そろそろ禁帝神が動くから行こうぜ」

「なんでわかるんじゃ!」

「勘?」




───時計塔


「《限定転身》!!《獣牙》!!!」

「俺っちの!速さに!ついてこれてる!?君ってヤバいね想像以上!ちょっとナメてたわ!!?」

「うるさいぞ道化師!」


 四肢を獣に変えたフェメロナが、道外の神徒ハーレクインに向けて高速連打。拳や蹴りを素早く胴体や関節に当てていくが、敵は素早くそれを避ける。

 そのスピードに追いつくフェメロナは、徐々に徐々にハーレクインの関節を折っていた。


 だが、相手は古くから生きる吸血鬼。

 ハーレクインはすぐさま再生して関節部を治し、フェメロナに向けて爆弾を投げつける。

 爆弾の中身は燃焼結晶化。

 被爆すれば全身が緑の結晶によって覆われ、結晶の中で焼き殺されるという仕様。


 その爆弾が爆発する寸前に、フェメロナは殴って爆弾を横に吹き飛ばしてどかしてしまう。

 触れた時点でアウトな武器を、フェメロナの獅子の腕は……王の血族の力はそれを跳ね除ける。


「あぁもう!すこぶる相手が悪い!俺っちこんなとこ来るんじゃなかった!」

「なら死ね!私の欲求を満たせるこの街を壊す前になぁ!!」

「ついでに聞くけどその欲求って何?」

「? いっぱい戦いた…」

「オーケーわかった。それ以上は言わんでいいよ」


 やべー戦闘狂と当たっちまったと思いながら、ハーレクインは冷や汗をかくと同時に、笑う。

 これに勝ったら、自分はどれだけ気持ちよくなれるんだろうか。


「落ちろ道化師!」

「! 塔ごと……!?」


 フェメロナは、時計塔の屋根に拳を打ち付け、勢いよく粉砕。

 時計塔の上半分が崩れ落ち、瓦礫と共に落下しながら二人は殴り合う。爆弾も意味を成さない故に。


「イイネイイネ!俺っちこういうの大好き!!」

「その余裕ごと、殴り壊してくれるわ!!」


 瓦礫を足場に、時計塔が完全に倒壊するまでの僅かな時間を殴り合いにする二人。

 未だ余力を見せる道化師は、獅子の乱舞を華麗に受け止め、倍に返して殴り返す。


「「ヒャッハー!!!」」


 意外と気が合うのかもしれない。




───魔法学総合研究所


「素晴らしい……これが叡智……!」

「はぁ……気持ち悪い。早く帰ってくれませんかね」


 アルトテリスの憂鬱そうな呟きは、ゴリゴリと機械兵が削れる音で遮られる。

 怪人の一体が、作品の一つを葬ったようだ。


 ディアジムは怪人作りの第一人者。

 主が面白半分に言い出したとある世界の怪人の話について興味を持ち、紆余曲折を経てこうなった。

 最後は爆発しない、巨大化しない、夢の詰まってない見た目が悪いだけの怪人達。


 彼から見ても、怪人達はまだまだな存在。

 もっと長い時間をかけて、研究に研究を重ね、開発を続ければきっと完成すると信じている。

 その過程で失う命の数など、目にもくれない。


「………やはり、本番では数を増やすべきか……」


 戦場でこれを使う時、もっと機械兵の数が必要だ。

 人間の兵士の代わりではない。彼らを支える兵士として共に戦う為に。


 色とりどりの怪人達を見ながら、鉄一色の機械兵を見てアルトテリスは呟いた。


「着色するか」




───青の港


「ひぃぃぃぃ!!?」

「待ちなさいよーん♡」

「む、無理よぉ!?」


 神徒ヌイは恐怖した。

 もうオカマとは関わらないと。


 ……緋液に触れながら追いかけてくるラトゥールは、既に服の何割かは溶けてその筋肉を見せ……

 胸元のブラも見せていた。

 どピンクの。


 それを見た瞬間、謎の強迫観念に追われたヌイは逃げ出した。

 攻撃や反撃すらせず、ただ逃げる。


 もう戦意は折られていた。




───太陽教大聖堂


「くっ……なんだアイツは……!」


 フィリップは、自分達の不利を悟っていた。

 鍛えられた聖騎士団が、たった一人の異形を前に苦戦を強いられ……時が進む度に、数を減らす。

 異形の怪人モスダートは、笑っていた。


「ソレガシを倒すなど!不可能なり!!!わはははははははははは!!!!!」


 両腕を鞭のように振るい、聖騎士団を薙ぎ払う。

 フィリップの鏡の防壁である程度の攻撃を防げるはずだったが、モスダートが変化した事で防壁を打ち破られた。


「わはははははははははは!!力が漲る!同志がまた死んだのか!いや、次々と死んでいく!!」


 怪人の神徒モスダート。

 他の怪人が死ぬと、死んだ怪人の力が、空間を超越して身体に流れ込んでくる。怪人が死ねば死ぬほど、彼は力を手にし、強くなる。


 研究所の前で機械兵と戦う怪人の数が減るほど、彼は強くなっていく。

 不死身であるが故に、彼の成長、進化を止められるものはいない。


「さぁ来い!強くなるソレガシの力!見せてくれるなり!!わはははははははははは!!!!」


 怪人の猛攻は止まらない。


「────《聖刻の大天》!!」


 彼が現れるまでは。

 聖なる大剣がモスダートの首を刺突してくるのを、彼は首を変形させて回避した。


 彼の背後には……


「っ!なんだ!?」

「不意打ち失敗、と……フィリップさん!ご無事ですか!?」

「勇者殿!!」

「助太刀に参りました!!」


 聖剣の勇者マサキ。

 仲間を引き連れて、教会を助ける為に駆けつけた。


「フィリップお義兄様!」

「ソフィア……聖騎士の皆さんを頼む!」

「はい!」


 聖女の治療魔法は最高位に位置する。

 倒れ伏す騎士たちに近付くソフィアと、怪人に立ち塞がるマサキを見て、聖騎士達の戦意は好調する。


「聖女様……ありがとうございます……」

「勇者様だ!勇者様が来てくれたぞ!」


 喜びの声を上げ、聖槍を天に掲げた。

 俺達もまだまだ戦えると。


 死んでいない聖騎士達を次々と回復させるソフィアと、意気揚々と吠える聖騎士達を横目に、フィリップはホッと息を吐いてから、モスダートを睨む。


 怪人は、現れた乱入者を静かに見定めていた。


「………ソレガシよりも強いなりか。面白い」

「アナタは……なんですか?」

「《怪人の神徒モスダート》!!冥土の土産に教えてやるなり!勇者よ!!」

「そうですか……土産はいりませんね」


 マサキの聖剣が、怪人の鞭を切り飛ばした。




───中央公園


「はっ!」

「ふっ…!」


 交わる剣閃。

 静かに鳴り響く剣の音と、燃える落葉の音。足を踏み込む音も、風を切る音も最小限の世界。


 ただ静かに、二人の剣士は斬りあっていた。


「やりますね。流石は太陽の子」

「剣だけが取り柄だからね」

「それはどうだか……」


 ミラノの神剣を真っ向から迎え撃つユステルの神剣。

 二つの神剣がぶつかり合うと、空気は鳴動する。

 誰も近寄れない二人の間合い。


 永遠と続くと思えるその戦いを、二人は楽しんでいる。


「切っても戻る……凄いね、吸血鬼って」

「血を吸わねば生きていけませんがね」


 その時が来るまで、二人は斬り合った。




───ユグドラシル中央学園


「はぁっ!!」

「《■■■》《■■■■》───《炎帝》!」


 無明の神徒アイルが、学園長ジェイドに向けて蹴りかかる。それに対して、聞きなれない呪文を紡いで魔法を発動し、牽制するジェイド。

 牽制というにはあまりに大きな炎弾を、アイルは蹴りで真っ二つに割り、更に追撃する。


「そんなものアルか!賢者とやらは!!」

「早めの決めつけは良くないと思うぞ」


 魔法陣を多重展開し、更に《炎帝》を放つ。

 多方向から同時に来た火球を、文字通り身を捻って回避するアイル。人間ではない故に、肉体をありえない方向に曲げてもダメージにはならないのだ。


「《虚心空手・奥義》《断抹掌》!!!」

「! むむ……障壁が足りんか…ぐっ!!」


 アイルが腰を低くし、瞬間移動をしながらジェイドの腹に拳を決め込む。腹の位置に障壁を展開して防ごうとするジェイドだったが、五枚張った障壁は二秒と耐えずに砕け散り、吹き飛ばされてしまう。

 空中で反転し、ダメージを受けたお腹を擦るジェイドは、先程の攻撃の付与効果を察した。


「これは厄介じゃな……魔力が乱れとる」


 体内を循環する魔力が乱れ、魔法を展開する為の必要魔力が無駄に多くなる。通常以上の魔力を込めながら、新たに魔法陣を展開し直す。


「何をしようと!ウチが全部壊してやるアルヨ!」

「ほっほっほっ……なら、壊される前に頑張らねばなぁ……儂の老骨なら、幾らでも砕いてやろう」

「老害の骨なんざ興味無いアルネ」


 そう言って、アイルは権能を使った。


「《無明世界》」

「! 何を……」


 アイルを中心に、中庭が白黒の世界に変わる。

 若々しい緑が生い茂る木も、枯らされて茶色に変色した草も、白く綺麗な校舎の壁も。

 彼女の範囲に入る全てのものが、モノクロのセガに閉じ込められる。

 それは、ジェイドも例外でなく。


 アイルを除いた全てがモノクロの世界に。


「……何じゃこれは……」


 生まれてこの方、見たことも無い術を前に、怪訝な顔を浮かべるジェイド。知的好奇心を抑えて、白黒の世界からの脱出を試みる。


 だが、アイルは鼻で笑った。


「安心するとイイネ……すぐに出してやるアル」

「なに?」


 そう言うやいなや、世界は色を取り戻す。

 代わりに……


「!? これは………まさか」

「そのまさかアルネ。どうアルカ?“視”を奪われた気分は」


 その空間内にいた人物の、視界を消す。

 ジェイドの目から……光が消えた。


 無明の神徒。彼女はモノクロの世界を作り、抗う者と敵対する者から視力を奪う。

 奪われた視力は、戻らない。


「参ったの……何も見えん」

「アハハ♪目が目なきゃ何もできない。人間は脆くて弱い生き物アルヨ。さっさと死ぬヨロシ!!」


 賢者であるジェイドにとって、目が見えないのは死活問題。本を読むことは愚か、生徒達にしっかりと物事を教えることすら難しくなる。

 慣れれば早いだろうが、彼にそれだけの時間が残されているのか否か。


「《虚心空手・奥義》《武神羅貫》!!!」

「ぐっ……あがっ!?」


 目が見えない中、避けるのもままならずアイルの刺突を腹に受けてしまうジェイド。拳が腹を貫通して、老齢の彼に瀕死の傷を負わせてしまう。


 そして、間が悪いことに。

 彼の血縁者が、そこに居合わせてしまった。学園が襲われていると知り、祖父を少しでもサポートしようと思ってやって来た、一人の生徒が。


「お爺様……!?」

「! フリエラか……!来るでない!」


 その時、ジェイドの孫であるフリエラ……特別生の委員長的な立場にいる彼女が、その姿を見た。

 尊敬する祖父が、腹を貫かれた姿を。


「っ、そんな……貴様っ……よくも…!」

「アハハ♪孫アルカ……お前も老害と一緒に死ぬアルカ?んん?」

「ぐっ……逃げなさい、フリエラ!」


 アイルはジェイドの腹から手を抜いて、血に染った腕をフリエラに向ける。

 眼鏡越しに見える恐怖に染った目。ジェイドの頼みの声も届かず、フリエラは腰を抜かす。

 それを楽しみながら、アイルはジェイドと共に孫にも手をかけようと踏み込んだ。


「死ぬアル!!」

「あっ……」


 恐怖で膝を着くフリエラ。

 その顔に向けて、慈悲なき一撃が入ろうとした、その時。


「させぬ!」


 目の見えぬジェイドが、アイルをタックルで、フリエラから遠ざけて……地面に倒れる。

 ハッと気を取り戻して、倒れたジェイドにフリエラは駆け寄った。


「お爺様!」

「無事か、フリエラ……」

「はい、私は平気です!早く、手当を……!」

「安心せい……死にはせんよ…」


 駆け寄る孫を手で制し、自力で立ち上がる。


「まだ動けるとは……しぶとい老人アルネ……」

「生憎と……儂はまだ死ねんのじゃよ……曾孫の顔を見れてないのでなぁ……」

「っ!お爺様!?」


 生きる理由に目をひんむくフリエラを横に、ジェイドは確殺の魔法を唱え始める。

 目が見えねども、何処に誰がいるかは魔力の流れで簡単にわかる。偽装すらもしていない故に、高密度の魔力の塊が、アイルを指すことも。


「死ね!《虚心空手・奥義》《祟蘭》!!」

「《■■■》《■■■■》《■・■■》《■─…」


 アイルの両腕が、ジェイドの胴体を切り裂かんと振り下ろされそうになったその時。


 ジェイドの魔法が発動する。


「《賢者の星杯》」


 その瞬間。


「───フリエラよ、よく感じるとるのじゃ。この魔法が……儂が賢者たる由縁じゃ」


 時が、止まった─────













 ────そして、時は動き出す。


「───終わりじゃ」

「? 何を……………………………は?」

「えっ……」


 アイルが、何本もの光の槍に貫けれていた。

 身動きすら取れぬように、地面に縫い付けられる形で槍が突き刺さっている。

 吸血鬼を殺す、光の槍を。

 高密度の魔力と、高純度の聖水を混ぜたそれは、吸血鬼であるアイルの命を………


 容易く奪う。


「儂は時間を操る。故に賢者と呼ばれ……儂の時を停めることで、生き長らえて来た。生憎と、自身の時間停止をしたのが年老いてからでの。若々しい姿は手に入らんかったわい」

「時間、操作……!?」

「お爺様……あっ、傷が…!!」


 そう言うジェイドの腹に、もう穴はない。


「時間を巻き戻せば、儂の傷はなかった事になる」


 光を取り戻した瞳で、串刺しになったアイルに、好々爺じみた微笑みを向けた。


「無明と言ったな。安心せい。お主の時代では一生目が見えぬ生活を送ることになるじゃろうが……」


 ジェイドは己の頭脳が入った頭を指でつついて。


「魔法の叡智は、時に神を超えるんじゃよ」


 灰になって消えていくアイルに、そう告げた。


「貴様……貴様貴様貴様貴様貴様ァァァ……!!ふざけるな!ウチの無明が無意味だと!?ウチの権能を無に返すなど、なってはあらぬこと!いずれ天罰が下るアルヨ、老骨ぅ……!!」


 彼女にとって、己の力が無にされること。それはあってはならぬことであり、理解の及ばぬこと。

 死が確定したその時を、怒りに費やす吸血鬼。


 それを憐れむように、ジェイドは呟いた。


「今更何を言われても……のぉ?敗北者殿」

「ッ!ジェイド=グリモワール!!貴様!必ず殺す!ウチの呪いが貴様を殺す!逃がさぬアル!!地獄に落ちようと、冥界で濁ろうと、必ず貴様をウチの手で呪い殺してやるアル!」


 ほっほっほっ……軽快に笑うジェイドは、頭以外が灰となったアイルに、追加の光槍を刺し。

 彼女の頭の札付き帽子を手に取った。


「これは記念に貰っておこう。灰も後で大事に使わせてもらうとしよう。さらばじゃ、無明よ」

「貴様ァァァァ……………………………………」


 憤怒の表情を浮かべて、灰となったアイルは世界から消滅した。


「お爺様!お怪我は……!」

「見ての通り無事じゃよ。心配をかけてすまぬかったの」

「い、いえ……お爺様を失うのは、世界の損失ですから……!」

「ほっほっほっ。そんなに言われると、鼻が高くなってしまうわい」


 フリエラの頭を撫でてから、時の賢者は灰となった吸血鬼に、手を合わせたのだった。


役割が終わった敵キャラは切り捨てる

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