買い物
「なあー?遊びに行かぬかー?」
「どこにー?」
「魔都に行かぬかー?」
「歩くの面倒い、涼しい部屋で寝てたい」
「ほら、行くぞ!」
「あ、足つった」
「男じゃろ!何とかせいっ!」
「理不尽っ!」
はい。現在ベットから降りようとして足首を挫いたり、つったりしたアレク君です。
居候の神竜が俺を外に出そうとしてくる……
何とか逃げる方法は無いのか?
「ほら、行かぬと火口に突き落とすぞ」
「脅迫の仕方がエグいねー」
仕方なく、暇すぎて死にそうな駄竜さんの為に出かけますかね。
魔都エーテルハイトへ。
「おぉ!アレは何だ!」
「AIM力が上がる麻薬。副作用は飲むと四方八方にナイフを投げないと気が済まなくなる」
「いや、それこんな広場で売っていいのか?」
「俺が売り捌いてる」
「お巡りさーん!ここに犯罪者がーー」
「おい!止めろよ。結構稼いだんだぜ?」
「え?マジ?マジなんかっ!?」
「嘘に決まってんじゃん?」
「嘘つきは殺すって言葉知ってる?」
「初耳だよ?あ、本当は飲むと知力が上昇する薬。副作用は一日十五時間寝ないと気が済まなくなる」
「それもダメじゃろっ!?」
そんな感じで遊びながら話歩く俺とニーファとプニエル。
プニエルは頭に乗っけて歩く事で常時体力回復を図る事ができる為、疲れなくなるので重用している。
ついでにプニエルは寝てます。スヤァ……
魔都エーテルハイトの商業区の店を冷やかしながら歩く。
相変わらず様々な物が売り出されている。
先程話題にした薬は只の解毒ポーションである。
勘違いしないように。
「まーともかく、何か美味しい物は無いのか?」
「探せば見つかる。さぁ、行こう!」
「食べ物の話になると元気になるのー」
食材が売られている場所に向かう。
そこには、水々しい赤いリンゴ。南国のフルーツ。ウーシー(牛の魔物)の肉。ソードフィッシュの串焼き、などが売られている。
どれも、見るだけで涎が出そうである。
「んー?お!このソードボアのサーロイン、美味そうだな」
「あー確かにあの突っ込むことしか知らぬ奴は美味かった記憶があるのー」
ソードボア。体表の所々に鋭い刃のような毛が生え揃える豚の魔物で、強くて美味い。
こいつのステーキやハンバーグ、カツなどは最高である。
そして、俺たちは市販のカツや串焼き等を買い漁る。
「お主、そんなに金を使っても良いのか?」
「国を一つ買えるだけあるから大丈夫」
「ファッ!?」
「いやー冗談冗談」
「冗談に聞こえんぞ……」
ともかく、金は湯水の如く消費しても問題ないレベルで貯金してあるからな。
『マシタ、玩具買って!』
いつのまにか起きていたプニエルが俺に頼み込んでくる。
そういうことなので、俺たちは玩具を販売する店に入る。
「よーし。何が良い?」
『えっとねー。えっとねー』
「相変わらずお主はプニエルに優しいのー。我にもそれぐらい優しくしてくれても良いのだぞ?」
「ごめん。俺竜言語わかんない」
「ちゃんと共通語使っとるじゃろがっ!」
この世界の言語はほぼ全て共通である。場所によって訛りなど変化があるが、違いは少ない。
古代世界では、皆違う言葉を使っていたらしいが……
多分、神様が考えるのを諦めたのだろう。おかげで覚えるものが少なくて済む。
竜言語とは、ドラゴンが魔法や魔術で天災を起こす際に使われる古代の言語だ。
俺も本を読んで学習したが、使う機会がほぼない。ただの一撃必殺技である。しかも人的被害がパナい。ヤバい。オワタの3コンボである。
そんな感じで、俺たち三人は日が暮れるまで魔都で買い物を続けたのだった。




