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魔王の兄は転生者  作者: 民折功利
第八章 吸血鬼とお兄様

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鳴り止まぬ機械音

誤字報告、大変助かっております。

今後とも宜しくお願い致します!


 背後から、狂気の花が咲き乱れ、追ってくる。


「うおおおおお!?」

「すぅー、はぁ……よし!後ろを見て───ん〜!やっぱり幻覚じゃなかったぁぁぁぁ!?」

「南無妙法蓮華経……」

「トウマッちの実家って法華経の人?日蓮宗?」

「いえ、登練教でしたね」

「「「なにそれ……」」」


 蓮夜、茜、冬馬、夏鈴の四人は怪人を倒して、少し休憩してから合流して団体行動を……

 花と化け物に襲われながらしている。


「次、曲がったら動力室!」

「よっしゃあ!出血大サービス、手榴弾カーペットだ!美味しく頂きやがれぇ!!!」

「曲がっ、やった!黒いの居ないよ!」

「そっぽい!よぉーっし、とーつげーき!!」


 蓮夜がこれでもかと召喚した手榴弾は、既にピンが抜かれた状態の物で、ばら撒かれた瞬間に大爆発を引き起こして化け物達の足を止める事に成功。


 勢いよく四人が駆け込んだ動力室は、警備の影すらいない無人の最奥となっていた。

 開け放った扉を勢いよく閉め、夏鈴が打神鞭を大きく振るって金属扉を歪ませて外敵の侵入を不可能にする。

 それと同時に……


「……え、これ、私達も出れなく……?」

「あっ」


 茜の指摘に固まる夏鈴。


「おいそこの釣りギャル」

「な、なんとかなるだろ……?」


 ゴゴゴゴゴ……と効果音が聞こえそうな風貌で睨みつける冬馬と、少し怯えた様子の蓮夜に向けて、夏鈴は冷汗を垂らしながら懇親のサムズアップ。


「んん。死ぬ時は〜、いーっしょ♡!」

「「首をだせいぃ!!」」

「男子二人落ち着いて!? あぁもう喧嘩しないの!!」


 夏鈴と蓮夜の間で煙が出る程のボコし合いが始まり、意気揚々と勇んだ冬馬は早々に叩き出されて床にキスしている。

 茜が必死に止めるが、殴り合いは止まらず……


「いい加減にしないと………コロスヨ?」

「「はい、なんでもないです」」


 全武装展開して威圧しだした茜の勢いに二人は即負けして土下座を決め込んだ。

 住んでいた世界は違えどジャパニーズ土下座は共通なのである。


「はぁ……気を取り直して、動力炉を壊しますよ」

「「「はーい」」」


 喧嘩しても直ぐに仲良く行動できるのは、彼らの強みなのかもしれない。


 【蜘蛛の巣(ダレニェ・フロート)】の心臓部である動力炉は、スチームパンクの巨大装置。

 魔力を動力源にする魔導機械は、この浮島の存在を隠蔽する為の結界を張ったり、あらゆる光源を維持する為のもの。


 それを壊せば……


「戦車砲、照準よーしっ!撃てー!」

「《戦勝の槍(グン・ゲイラホズ)》!!」

「《戯れの打神鞭》《貫》!」


 中央にあるエネルギーコアに向けて、鉄の砲弾と勝利の槍、釣り竿の貫通攻撃が殺到する。鈍い音を上げながら、エネルギーコアを虐める。

 冬馬は金属を破壊するだけの攻撃手段を持たないので、今回の戦で手に入れた情報を精査していた。


「……破壊魔法、習得すべきですかねぇ」


 使用用途は暴走気味の姫を攻撃する為に。

 かなり前向きな検討を始めた冬馬を後目に、蓮夜達は動力炉の完全破壊に───


「「「壊れない……」」」

「はぁ?」


 成功していなかった。


「いや、結界みたいのがあってだなぁ!?」

「よく良く考えれば私の槍って対人とか生物用だから、ギミック破壊には向いてなかった……」

「そも、わたしのって釣り竿だし?」

「俺が言うのもなんだが言い訳するなぁ!!!」


 ハニカムが光る結界がエネルギーコアを守っていて、三人の攻撃を前にでも不動を貫いていた。


「ってことでさ、お前、分析とか得意だろ?」

「得意だな」

「お願い冬馬くん!やってくれる?」

「わかった」


 即答して、黒文字を発動する冬馬は、動力炉に黒文字を縛り付けて情報を吸い上げる。結界ごと動力炉が軋む音。黒文字は音を上げるほどにきつく絞め……呆気なく分析完了。


「なんかバラバラにできそうだよな」

「こうギュッと縛ってバーンってなりそう」


 各々の感想を述べる中、冬馬は眼鏡をクイッと上げて、彼らの発言に多少イラつきながらも言う。


「……蓮夜」

「ん?なんだ?」

「列車砲、あるか?」

「? あるぞ?ほれ」

「「なんで出せるの?」」


 動力室を埋め……否、壁を余裕で突き抜けた巨大な砲台を蓮夜に召喚させる。

 戦車砲の砲口は、動力炉のエネルギーコアを守る結界と密接した。ついでに、空いた壁の隙間から化け物が這いながら侵入を試み始めた。

 そして冬馬は、命令を下す。


「何も考えずに、撃て」

「ポチッとな」


 轟音。結界が割れる音、そして大破壊。


「……最大火力を超近距離でぶつける最良の作戦。やはり私の計算は間違ってなどいなかった」


 長い砲門が、先程の攻撃でダメージが蓄積され弱っていた結界を突き破って、エネルギーコア諸共貫通破壊、砲弾が内部で炸裂して酷いことになる。

 ガラクタの塊と化し始めた動力炉から、漫画の如く白い光が盛れ始めた。


「あれ、命の危険を感じる…!?」

「ぎゃー!?大☆爆☆発ってレベルじゃねぇ!?」

「にげ、逃げよ!?」

「ありり?な、なんか動力炉から光が漏れ……」


 動力室諸共、視界は白熱に染まった────…


 結論だけ言おう。

 四人は煤だらけになりながらも、五体満足で無事に生還した。






 同時刻。温室にて。

 転売用の草花を育てる目的の為に造られた温室。

 小さな擬似太陽が浮かんでいるのは、常に一定の商品を売りさばく為に魔術師が造ったとか。

 尚、この太陽には聖なる力はなく、吸血鬼を焼き殺し灰にする力は持ち合わせていない。魔術的に造った太陽如きには負けない種族なのだ。

 ミラノは例外。


 そんな小さな悪巧みの為に造られた施設は、今。


「タイムっ……タイムお願いします!」

「ぜぇ……ぜぇ……ぜぇ……え、えぇ。い、良いわよ? 休憩時間ね……ぜぇ……ぜぇ……」

「無心……無心……」


 混乱と恥辱と破壊が無秩序に跋扈し、正義も悪もない異質な戦場となっていた。

 いやもうどうなっているのだろう。


 メイドアーマーの大部分が溶けている為に、蹲って休憩を叫ぶメリアと、過呼吸で死にかけてうつ伏せに倒れているヌイ。遥か彼方へと顔を向けるユステルは現実を見ず、目を瞑っている。


 理由は明確。


 ヌイの緋液が引き起こした悲劇によるものである。

 この緋液はヌイの身体から分泌される特殊液。不思議なことに人体に悪影響を与える事は無いが、それ以外は溶かしてしまうという液体らしい。

 現に、メリアは何度も緋液の波に捕まっては脱出を繰り返したが、装備の布地と金属部が溶けただけで人体が溶けたり痒くなったりは無かった。

 世の中には不思議な液体があるものである。


 まぁ、そのせいで羞恥心との戦いに移行したのだが。

 絶賛、メリアは乳房も股も隠さなければ易々と見ることが出来てしまう状態であった。


 ヌイがバテてるのは単純にスタミナが足りず、緋液に易々と捕まってくれないメリアのせいで疲労したから。

 ユステルは肌面積が広くなった兎と元から全裸の友を、改めて極力視界から外す努力をしている。


 こうして仲良さそうな雰囲気なのも、お互いに時間稼ぎが名目であり、ガチの殺し合いをするつもりが無いからである。

 勿論、一から十まで手を抜いている訳では無い。

 至って真面目に頑張って、今『これ』だ。


「………」

「………」

「………」


 無言の刹那。

 三者は睨み合う事なく倒れ伏している。


「ふぅ……」


 その隙にメリアは身体に引っ付いた緋液を布で拭き払い、新しいメイドアーマーに着替えた事で、羞恥心を蚊帳の外に弾き飛ばす。未だ顔が朱を帯びているが、それをわざわざ指摘する英雄(馬鹿)はいなかった。

 そして、此方に視線を飛ばしていたヌイと顔を見合わせて。


「「……再戦、する空気じゃないですよね」」


 溜息を飛ばす。


「無心……無心……」

「あ、ユステル。もう裸の人はいませんよ?」

「は?え……?……?」

「兎ちゃん、秘部は緋液で隠せば全裸じゃないんですよ」

「「意味わかんないです」」


 ユステルとメリアの言葉が重なったその瞬間。


ブチッ。シーーーン……


「「「!?」」」


 明かりが消えた。太陽は黒い塊へと堕ちた。

 温室に流れていた水も、流れが止まって植物の成長を妨げる。非常電源という存在がないこの拠点には、もう二度と魔法と科学の光は灯らない。


「……トウマ様達が上手くやったようですね」


 いいえ、やけくそ気味に爆発させました。


「成程。これはアナタの仲間が……ならば我々がこの場に佇む必要性は、もうありません」

「そうね。名残惜しいけど退却……ねぇ?これ、どっちが勝ったことになるのかしら?」


 まるで何事もなかったかのように、私達初対面ですよ的な感を出して立ち上がった三人。

 しかし、首を傾げたヌイの疑問に全員が黙って……

 三人は踵を返す。互いに反対の方向を向いて。


「……引き分けで。次は勝ちます」

「羞恥心は最大の敵って言うのよー?兎ちゃん、覚えときなさい?」

「我が剣の錆にならぬよう精進することです」


 温室の従者闘争は引き分けに幕を下ろし。

 互いの心に置き土産を残して主の元へと散っていった。


「「「(時間稼ぎとか二度とやらない……)」」」






 【蜘蛛の巣(ダレニェ・フロート)】の上空。


 黒い化け物たちに飛翔能力はない。ただ空に向かって唸るか、吠える事しか出来ずに、天を睨む。

 その場に浮く金の巨神と、沈みゆく銀の機人を。


 銀嶺ユースティアのコクピットから、プスプスと際限なく立ち昇る爆煙と、酷く焼き焦げた何かの匂い。迸る紫の雷光と崩れる部品が、かの機体の破壊具合を伝えていた。


「……熱反応、無シ」


 機甲神マナ・ジスタ。

 堕ちた四柱の神《四堕神》の一柱が放った赤と青の入り混じるエネルギー砲は、かの銀を貫いた。

 鋼の空から偽りの大地へ、重力に身を任せて静かに落ちていくその姿は、敗者そのもの。


 コクピットに、クロエラとマールの影はない。


「────あれれ?もしかして……しぃ〜んだと思っているのかな!?」

「…心外。これでも冒険者」


 プロペラの駆動音。パキパキと空気が凍る音。


「!?」


 機甲神が振り向いたその先に、二つの影が空を飛んでいた。

 煤だらけで一部が焦げた白衣に、背負い鞄からプロペラを出して空を浮かぶモノクルの青年。

 身体の至る所に氷が張り付いている、冷気を浮力に変える大傘で空を揺蕩う青色の魔女っ子。


「くくくくく……その目に焼き付けたまえ!これぞアレクくん直伝の脱出術《楽々・ク○ヒゲ危機一髪》!!」

「…んん。普通に転移しただけ」


 無事に脱出していたクロエラとマールだった。

 脱出方法はその名の通り、コクピットのメインモニターが貫かれる寸前に魔導具で二人仲良く外に転移したのだ。


 命を無事に拾ったクロエラは、二の腕を顔に当てて泣いているような動きをする。


「機甲神マナ・ジスタ、君の勝ち、ボクの負けだ! 君の力は想像以上に凄まじかった……今のボクでは逆立ちしても勝てやしないだろう。でも!これから強くなる!ボクの魔工学で君を……超える!」


 武力で強くなる気はないらしい。


 超越宣言は両手を広げて機甲神を迎えるようなポーズをとった、決めゼリフのように吐かれた。

 魔族の王子が認めるマッドサイエンティストが言うもんだから狂気の沙汰にも見える。


「あ、銀嶺回収しとこ。また盗まれたくないし」


 思い出したかのように、煙を吐きながら眼下に落ちていく銀嶺に向けて、指パッチンした瞬間。

 銀の機人は異空間に転送される。


「…結局あれ、どうやって盗まれたの……?」

「実験で外に出してただけなんだけどなぁ……あんな大きいのが一瞬で消えるって、凄いよね」


 機甲神は、その光景と、生還した二人を無言で見つめていて……おもむろに口を開く。


「ヤハリ……酷似シテイル」

「ん?何が?」


 その顔も、その声も、その口調も。マナ・ジスタの記憶に刻まれている創造主が重なってしまう。

 生き写しを見ている様な気がして……何故か、頭にインプットされている最後の命令に雑音(ノイズ)が走る。

 理由も原因もわからないが、音を掻き消す様に首を振って、仮初の正常に戻す。


 その言動に疑問は持つものの、対して興味を抱かなかったクロエラは再び決めゼリフを叫ぶ。


「ま、いいや。……ボクは再び君の前に立ちはだかる!今回のデータをもとに改造され、復活する銀嶺と共に!ボク達、いや三人と一機(・・・・・)で君を倒す!」


 クロエラは宣言すると同時に、マール共々空高く舞い上がる。これ以上の会話は不要だと。ここから先はまた今度と叫びながら。

 プロペラの駆動音と空気が凍る音のみを響かせて。


「じゃあね!必ず君を手に入れる!!ボクの技術力の進歩の為!ボクの発展の為に!アハハハハハハァ〜↑」

「…ばいばい」


 そのまま、潔く、遠くの空へと消えていった。


「………」


 それを見送ったマナ・ジスタは、自分の腕に付着している小さな機械を取り敢えず指で押し潰した。


 瞬間、集う機械音。

 眼下の浮島に建ち並ぶ建物がひとつ残らず崩壊していく様を横目に、地上に何故か現れた小さな太陽の姿を横目に、敵との共闘を終えた者達が来た。

 遥か下から勇者と魔王の別れの声が響いてきた気がするがきっと気の所為だろう。


「……あら?アナタも結構やられたみたいね?」

「集合完了。撤退命令・急募」

「イロイロ アッタ ガ マケタゾ!」

「堂々と言うんじゃないわよ!!この単細胞!」


 機械に細胞はない。あ、君は例外だった。


 やってきたのは機械神徒の三人。

 マナ・ジスタの眼前に、ソルト、ゲルヴェーア、ツァラートが並んで……彼の目を覗き込む。


「……どうしたの?」


 機械仕掛けの神の瞳に、何が映っていたのだろうか。人間にも魔族にもわからぬ微細な揺れを、三人は感知して聞いてみる。


 心配したその言葉に、機甲神は首を振り、


「昔ヲ思イ出シテイタ、ダケダ……帰還スルゾ」


 神が撤退する。

 機械人形の神は水平線の彼方へと飛んでいく。結果、生き残ったのは彼らを含み数十機程度。彼を救出しに来た殆どの機械兵は、禁帝神によって無惨に酷く壊されてしまったから。


「───形態変化(モードチェンジ)《シュトラール・イェーガー》」


 ワードと共に己の姿を戦闘機に組み替え、背に仲間を乗せる。煩わしいエンジン音と歯車が軋む音を奏でながら、鋭利な一筋の雷光は飛翔する。

 遠い遠い、空の上へ。


 最期の命令《人類掃討》を胸に掲げ。世界の壁を超えた殺戮の機械兵団。玉石混交の彼らは、数を減らし、力を持つ者だけが残ってしまった。


 その中でも、

 神徒化した《兵装》《機銃》《歯車》の三名。

 準神徒とも言える力を持つ《戦車》《鏃》《羅針盤》《音》《燃料庫》《要塞》。そして神格を得ている《大兵長》……機甲神マナ・ジスタを入れた総勢十機の選ばれた機械兵の集まり。

 それを選んだのは今は亡き異世界の魔工学師。


 《鋭機兵団(アインダート)


 彼らを筆頭に、再び機械による叛逆は活発化するだろう。彼らの出身の世界が壊れた様に────この楽園を、選び抜かれた、並行のない神の世界も。


 機軍戦争は、まだ幕を上げたばかりであった。

 





「うーん、発信機バレちゃったか〜」

「…付けてたの?」

「どさくさに紛れてね」


 気流をものともせずに雲の上を悠々と飛ぶクロエラとマール。その行先は、世界同盟の本部がある世界都市ではなく、そこから離れるような方向。


 懐をまさぐり、互いに存在隠蔽の魔導具を発動。

 気配も魔力も体温も、呼吸音すら、自身を証明する全ての要素を外界から消した二人は、見学する。


 雲の上に浮かぶ巨大な鉄の庭を。


「アレが機甲神の基地……どうやって浮いてるんだろ? 浮遊系の魔導具、いや機械なのかな?」

「…ワクワク、する?」

「勿論!可能なら今すぐ正面から堂々と見学したい!」

「…無理、不可能」

「やっぱり?」


 存在を隠している二人の近くを、金色の戦闘機が飛んでいく。

 此方を感知していない事に安堵しながら、マールは思ったことを口に出す。


「…ねぇ。ひとついい?」

「ん?いいよ?好きなだけ聞いてくれたまえ」


 キョトンとした顔の持ち主に、冷たく鋭利な刃物を匂わせる目を持つ彼女は聞いてみた。


「…あの神、クロエラの姿に誰かを幻視してた気がしたから……そっちはどうなのかなって」

「……あー!確かにボヤいてたね」


 空中で今日に胡座をかき、クロエラは頭を捻る。


「ボク、何も知らないんだよなぁ……」

「…そうだと思ってた」


 安堵の声を吐きながら、鉄の庭……聳え立つゲートへと姿を眩ませていく戦闘機型の神を睨む。

 一通り睨み終えたマールは、呑気な顔で欠伸をしながら鉄の庭を眺めていたクロエラに向く。


「…帰る?」

「そうだね。概ねわかったし……アレクくんに報告しにいこうか!!」

「…う、うん!」


 ぎこちないながらも大きく返事をしたマールに対して、優しく笑いながら。二人は雲を下って眼下の海へと降りていくのだった。

次話で第八章は終幕となります

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