神竜と目が逢う瞬間
「…ん………」
俺は目が覚めた。どうやら眠っていたらしい。
そして今、とにかくツライ状態になっている。
二日酔いのような状態だ。ツライ。
っというか、あの龍泉酒とかいうアルコール度数の高い奴が湧き出るなんて可笑しいから。
「あっ、そうだ。良いこと思いついた」
酔った時もそうだけど、俺の言霊魔法を使えば良いんじゃね?
「《酔い覚まし》……」
ネーミングはできれば四文字の漢字にしたかったが、思考がまとまらなくて無理。
しかし、俺の状態異常は回復された。おかげで反復横跳びも千回できそうだ。
……いや、嘘です。サーせん。
『プニュ〜マシタ、おはよー』
「おはよう」
舌ったらずなプニエルの声が聞こえる。どうやらコイツは二日酔いがないらしい。というか、スライムが酔うのかわからんが。
「って……ここどこ?」
よくよく考えたら、ここは何処だ?
洞窟の中で、青白い植物が生い茂っており、見渡すと光る水晶が目に入る。
天井が高く、巨獣が二体以上入っても問題なさそうな広さを持っている。
いや、まじでここ何処っすか?
すると、背後から、
『うむ……どうやら起きたようだな…』
なんか声が聞こえてくる。頭に直接響く的な感じで。凄みのある声なのだが……なんか女っぽい。
「誰だ?」
俺が相手を確認するために振り返った。
そこにいたのは、
「なんだ……銀色の竜か」
『いや、その反応は可笑しくないかっ!?』
俺は竜と目が合った。
銀色の光沢を持つ鱗、背に広がる一対の翼。紅色に輝く双眸を持つ一体のドラゴン。
神々しさと畏敬の念を普通の者は払うのだろう。
しかし、俺は…
「あー。アンタがここまで運んだん?ありがとな」
超軽く適当に言った。
いや、前世の記憶が蘇った時に、初めて竜を見たときは色々と感情が渦巻いたのだが、なんか慣れた。
『お前、魔族のくせに我にその態度とは…。初めて見るタイプだな』
「いや、俺は普通の一般人だが?」
『マシタはすごいんだよー!』
『この山を駆け回った挙句、酒の匂いで酔って我に見つけられて連れてこられたお主は普通の一般人では無いと思うぞ?』
「まぁ、それは良いとして、アンタ誰?あ、俺の名前はアレク。こいつはプニエル。よろしく」
『よろしくー!』
純粋な疑問。コイツ、ドラゴンの中でも上位種なのだろうが……まじコイツ誰?
『まぁ、名乗るぐらい良かろう…我が名は神竜二ールファリス。よろしく頼む』
あー。神竜さんでしたか。
目と目が合っても何も感じない俺はクズなのだろうか?




