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魔王の兄は転生者  作者: 民折功利
第一章 目覚めたお兄様

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兄様と天使と亀爺と

シリアスだと思った?

残念。神獣と戦うのはまた今度だよ!

↑強烈なネタバレ(笑)

 

「……ん…」


 俺は今、眠っていた、のか?

 そう思って、体を起こす。

 そこに広がっていたのは、一面の花畑。

 色とりどりの花が咲き、美しい景観を作っている。空も、澄み渡る程の快晴。

 俺の隣には、プニエルが気持ちよさそうに眠っている。


 ……ん?俺、こんなとこ知らないぞ?あれ?


 そのとき。


「ふむ。目覚めおったか」


 老人の声を聞いて、俺の思考はクリアになっていく。

 あー。俺は確か、こいつに呼ばれたんだっけな。

 目の前の老人。麻でできた古代の服を着て仙人のような出で立ちの男。


「あんた……神獣グラン・タラスクス、か?」


「いかにも。ようこそ我が空間へ。アレク」


 あー。つまり、この花畑はこの爺さんの空間だということね。ハイハイよくわからん。

 ってか、こいつ人型になれんの?もう突っ込まんよ?


「まぁ、理解出来なのもわかる。簡単に言えば神獣が持つ異空間だと思っとくれ」


「あー。ハイ」


 異空間ねー。俺もできるかな?

 まぁ、とりあえずなんか飲もう。


『……ふわぁ』


 どうやらプニエルが起きたらしい。


「おはようプニエル」


『んー。おはよマシタ』


 プルプルと震えながら返事を返してくる可愛い。


「さて。お主らだけを交えて話したいことがあると言ったな……」


「はい…何するんですか?」


『なになにー?』


「アレク=ルノワール。お主、転生者じゃな?」


「……ブフォっ」


 ……いやいや、いきなり何っ!?驚いて飲み物吹いちまったじゃねぇか!?


「…な、なんでわかったん?」


「お主から感じられる神気を見て判断したんじゃよ。転生者は大抵その神気を宿してこの世界に現れるからの」


「ほへー」


「……その反応じゃとお主、神と謁見しなかったのか?」


「神って、謁見も何も気づいたら五歳児でしたよ?」


「ふむ……そうか」


 タラスクスは少し黙り、何かを思案している。

 すると、


「ならば、尚の事やるべきかのう……」


「何を?」


 そして亀の爺ちゃんは俺に無理難題を押し付けた。


「お主、龍泉霊峰に修行に行ってくれんか?」


 なんか、魔境の中でもトップクラスにヤバイ所に行かせようとしてくるんだが。


 龍泉霊峰。

 天を貫く巨大な岩山で、その高さは雲の上まで続いている。

 そこには多種多様の災害級の魔物がウジャウジャ生息している、ウラバラの森以上のヤバイ魔境だ。


「えー。拒否しちゃダメ?」


「行くべきだと儂は勧めておくぞ?」


 あーー。なんか行った方が良さそうなやつ?


「今からですか?」


「いや。近いうち…明日以降かのぅ…」


「身内に説明しなきゃですしね」


『マシター。そのリューシェンレホーってナニー?』


「んーとね。プニエルを拾った森よりヤバイ場所」


『へー』


 あ、こいつよくわかってないな。まぁ、いいえど。


「そう言えば、何でプニエルも連れてきたんですか?」


「まぁ、そいつはエンジェルスライムじゃろ?つまりは……いや、言うのは止めておくか。まぁ、ともかく、そいつと共に龍泉霊峰に行って少し強くなった方が良い。今後のためにな」


 有無を言わさずゴリ押ししてくるジジイ。

 いつかブン殴ってやりたい。


「まぁ、ともかく頑張るんじゃぞ。じゃあのアレク=ルノワール。プニエル」


「え?あ、は………い……」


『プニュ?』


 神獣の声を聞いている途中で、俺とプニエルの視界は暗転したのだった。








「…………さん。……………いさん。」


 誰かの声が聞こえる。


「………兄さん起きて!」


 ユメの声だったらしい。


「……後五分……」


「…早く起きないと腹パンするよ」


「はい。起きました起きました」


 怖えわ。腹パンって、俺の腹の上で寝てるプニエルごと潰す気かよ。


「よかった…」


「うむ。起きたようだな」


「よかったわ〜」


 親二人も安心してこちらを見ている。


「あれ?あのデカイ化け亀は……?」


「化け亀言うなよ……あやつなら、先程光が収まった時にはまた無人島に戻っておった。そしてよく見れば、アレクが丘の上に倒れてたんだな」


「なるほどねー」


 つまり、光で俺が異空間に飛ばされた瞬間とあまり時間差はない、と。


「何を話したんだ?神獣グラン・タラスクスと」


 シルヴァトスが疑問を俺に投げ掛ける。


「あー。なんかプニエルと二人で龍泉霊峰行ってこい言われましたね」


「なっ……」


「嘘でしょ〜」


「うむ……神獣に言われたのだ。行かねばならぬだろうな」


「に、兄さん。行くとしてもいつ行くの?」


「んー。明後日かなー?」


 そんな感じで俺たちは何事も無かったかのように、というか、頭の片隅に追いやるために談笑を続けるのだった。


 さて。龍泉霊峰に修行、か。

 どんな面倒事が待ってるんだか。



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