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魔王の兄は転生者  作者: 民折功利
第六章 大迷宮とお兄様

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201/307

ダンジョンに挑むらしい

待ちに待ったダンジョン編。

作者はダンジョンを攻略するより造って鑑賞できるダンジョンマスター側に立ちたい人種です。

みんなはどう?


 メリアのお陰でアヴァロン大迷宮に魔統神と神徒二人が隠れている事が判明した次の日。

 つまり、魔都エーテルハイトを奪還し戦争が終結した後日。

 龍泉霊峰作戦会議室に、主要メンバーが集って今後の方針を話し合っている。


 そして、粗方決まった方針に口出す人が。


「居場所が分かったのは良いですけど、これってダンジョンを攻略しながら探す話になってません?」

「勇者の言う通りかと」

「……勘のいいヤツら」

「アレクさん!?」


 一晩である程度……というか全回復した勇者の疑問に、未だ後遺症の残るグロリアスが言葉を添える。

 そして舌打ちする俺。


 提示された作戦はこれ。


 ダンジョンの最奥に魔統神がいると仮定。

 そしてユメとの戦闘で失った魔力等を回復する為にそこに居座り続けるのでは、と。

 更に強化期間とも言える。

 魔統神が更なる力を身につけて俺達を潰しに来るとも限らない。

 そう考察して、結果選ばれた案はダンジョンに突入して最奥のラスボスを倒そうって話。


「ダンジョン攻略なんて時間、私達にあるんですか……?」


 一日経って目も冷めたユメが背後にハワードを連れて聞いてくる。

 いやまぁ、疑問に思うのは仕方ないか。


「お前らなら分かるだろ? こういう時にダンジョンに逃げたって事は……」


 異世界人である正樹、蓮夜、茜の三人を見て尋ねる。


「まぁ……オタクとして言うなら想像出来ないことはないですね」

「テンプレだわな」

「えっ……ごめん、私よく分からない」


 三者三様の反応をしてくれたな。

 まぁ、正樹と蓮夜がわかってくれて何より。


「えっと……?」

「ユメ達に分かりやすく言うなら……アヴァロン大迷宮のダンジョンマスター(・・・・・・・・・)って誰かって仮定する」

「ダンジョンマスター?」


 ダンジョンマスター。

 迷宮という異空間を管理する存在。

 その生態系は謎に包まれているが、俺達の価値観とか偏見で話を進めると、ダンジョンの最奥に簡単に行けるような奴は限られている。

 まぁ、これはこの世界にもダンジョンマスターという概念が存在すればの話だが……そこはクリアしてるので問題ない。

 その姿は多種多様で確認できている存在でも人型や獣型、無機物だったりとマスターのレパートリーが凄く多い。

 故に、この仮説は確実性が高い。

 だって神がダンジョンマスターになれないわけがないのだから。


「じゃあ、魔統神は地下迷宮の支配者でもある?」

「……まぁ、多分」


 そう言えば、地下迷宮の上に魔都が建ったのは初代魔王が神になった後か……偶然なのか?

 そこも追追調べる必要があるな。

 何故迷宮の上に魔都があるのか。

 何故アヴァロン(・・・・・)という名前を冠しているのか。

 知識欲を掘り下げたらキリがない。


 だから……


「ちょっと自信なくなってきたから証拠揃えてくるわ」

「む?どこに行く気じゃアレク」

「ちょっとそこまで」


 そして転移魔法発動。




 視界が変わり、霊峰の作戦会議室から白い神殿の廊下へと転移する。

 そこは見覚えのある扉の前。


 トントンと軽やかに音を立てて扉を叩く。


 ………………。


 トントンと再び音を立てて扉を叩くが、先程と同じように返答はなかった。


「………はぁ」


 強行突破。

 扉のドアノブを掴んで勢いよく開ける。


 そこには……


「……よしっ、よっ、おっし、()った!」


 アンテラが新型ゲーム機を片手にモンスターハントしている所だった。


 俺を転生させた張本()、夜天神アンテラを尋ねてフォルタジア神殿に来たのだが…


 机の上にある書類の山を放り出してゲームしてるのかコイツ。

 しかも手に持ってるゲーム機って地球のじゃんこの世界に無いやつじゃん。


「ねぇ」

「待って、今報酬取ってて忙し……ん?」


 画面に釘付けになっていたアンテラが疑問を抱いて俺を見る。

 目と鼻の先まで近づいていた俺の姿を見て、目を何度も瞬かせ、擦り、頭を横に震って空を見る。

 そしてもう一回俺を見る。


「……なんでいるの?」

「なんでゲームしてるの?」

「いやそれは…」


 言い訳しそうなので必殺技。


「すぅぅ~……ウルキ、もごっ!?」

「まぁ待って?話を聞こうじゃないか?ね?」


 大声でアンテラの神徒であり保護者っぽい印象を持ってるウルキナさんを呼ぼうとしたら口を塞がれた。


 んまぁ話を聞いてくれるならそれで良し。


「で、何の用? てかよく転移できたね」

「そこは余裕。それよりもお前の前に突如現れずに扉の前に来たっていうプライバシー保護の観点を評価して欲しいんだけど」

「普通じゃない?」

「ゲームしてたからそんな思いやり要らなかったけどな」

「楽しいじゃん?」

「俺も欲しい」

「えー」


 さり気なく異世界物を要求する。

 異世界……それも天界で使えるのなら地上でも使えんじゃねって勝手に解釈。

 いいなーゲーム機。欲しいなー。


「まぁいいけど……条件付きね?」

「はぁ?」


 無条件でお願いします。


「そうは行かないよ……まぁ、ほら。魔統神倒したら新品を讓渡するよ」

「乗った」

「即答か」


 話が脱線しちゃったな。

 まぁ、ゲーム機が貰えるのは嬉しい。良い褒美だと俺は思うよ?


「じゃあ本題に入るけど……」

「うんなになに?」

「魔統神ってダンジョンマスターだったりする?」

「……あぁー。そゆこと?」


 話の流れに納得したアンテラは机の引き出しをゴソゴソと漁って、目当ての物を引き出す。

 それは青い表紙の本で「ダンジョン全図」と書かれている。

 つまり……?


「えーっと、状況的にアヴァロン大迷宮かな?」

「おう。お前がTレックス倒してる間にユメが追い込んだけど逃げられた」

「いや、一日中やってる訳じゃないし……君達が戦ってる姿はちゃんと観戦してたし」

「そうなん」


 まぁ、世界の管理者としては見ていなきゃなのか。かつて敵対した神と今は贔屓にしてる奴等の殺し合いを。


「あ、このページだね」

「つか何その本」

「この世界に存在するダンジョンのあれこれ。……うん、アヴァロン大迷宮のダンジョンマスターは君が思ってる通りの神だよ」

「…そうか」


 夜天神の言葉通りなら問題ないな。


「じゃあ、報酬期待しとくよ」

「うん頑張ってね~」

「じゃあウルキナさん後はよろしく」

「はい」

「え?」


 実は扉の隙間から中を覗いていたウルキナさんの存在に気づいていた俺は彼女を中に迎い入れる。

 うんうん。やっぱサボりは罪だよね!


「アレク君……!」


 裏切り者を見る目で俺を睨むアンテラ。

 その顔には女神の様な美しい美貌ではなく、冷や汗だらだら顔面蒼白となっている。

 いやまぁ、俺との会話を一から十まで盗み見されてたから呼ばなくても説教時間は来たぞ?


「ふふふ……この監視の神徒の目を欺けると思ったのですか……?」

「えっと………まぁ、ねぇ?」


 監視の神徒だったねアナタ。


「じゃあ、俺はこれで」

「はい、頑張って来てくださいね」

「助けて~!?」


 背後から感じる神の威圧感を背に俺は転移する。

 ……達者でな、アンテラ。




「ただいま」

「あ、帰ってきた」


 転移して再び作戦会議室に戻ると、ユメが呆れ顔で俺を迎え入れる。

 まだ会議は続いてるみたいだな。


「アンテラに確認しに言ってた」

「えっ……夜天神ですか?」

「うん」


 俺の言葉に耳を疑う連中諸君、慣れろ。


「コンビニ感覚で神と会うのやめてくれます?」


 正樹がジト目で俺を見つめて、慣れたようにツッコミを入れる。

 まぁ、コンビニ感覚なのは事実だから否定できないよなぁ……。


「取り敢えず結論。魔統神はアヴァロン大迷宮のダンマスだってさ」

「じゃあ決まりじゃの」


 ニーファがエノムルの膝に……膝?に座った状態で答える。

 くつろいでんな相変わらず。


「……ところでだが、攻略する前提としても、誰が行くのだ?」


 父さんが当然の疑問を聞いてくる。

 まぁ構成としては……


「懇親会で呼ばれたメンバーで良くね?」

「ふむ、だとすると……呼ぶのか?」

「戦闘力高い奴らを特にね」


 取り敢えず全員呼ぶか。

 拒否られたら無理強いはしないけれども。

 多分世界都市にまだ居ると思うし。


「……ユメとマサキはダンジョン行けるか?」

「えっと……どうです?」

「今の君の状態なら問題ない」

「だそうです」


 ユメはハワードに聞いて自身の状態を確認する。

 完全に主従関係出来てるじゃん。

 まぁ、神がバックに着くほど安心出来る物はないな。良い事だ。

 てか俺に何故私がとか聞かないで素直に行ってくれる事を言ってくれて兄は嬉しいよ。


「僕は大丈夫ですよ。てか、無理してでも行く」

「何故?」

「勇者が行かない理由がありますか?」

「……それもそうだな!」


 雑な理由だが、まぁいいだろう。

 身体を見るに傷は完治してるし……腰に差した見覚えのある神剣もあるし、なんとかなるか。

 ……受け継いだのね、あの女の剣を。

 まぁ、俺の知らないやり取りが……後で編集された動画を見ればいいか。


「取り敢えず絶対に攻略メンバーになってもらいたいのは、ユメとマサキと……メリア、お前も」

「はい……あれ、主様は?」

「俺はちょっと……ね?」


 含みのある笑いを見せて微笑む俺に懐疑的な視線を向けるメリア筆頭諸君。

 まぁ、納得してくれると嬉しいな!


「ニーファと一緒に別ルートから攻めるよ」

「む?……まぁ構わんが」

「……わかりました」


 メリアは納得してくれたようだ。

 俺が突然奇行を冒すのはいつもの事なので、渋々理解してくれたんだろう。

 ごめんーね!


「他のメンバーは……取り敢えず俺から聞いてみるよ」


 フェメロナ辺りは即答で来そうだな。

 取り敢えず納得してない連中もいるが、世界都市にいる連中も呼びつけて今日は終わったのだった。


 さーて、俺とニーファはどうすっかな!


「その発言からして無策にしか聞こえんぞ…」

「そんなことないで」

「我はお主の指示に従うがの」

「頼んだぜニーファ」


 俺とニーファが小声で雑談する。


「それでは、ダンジョン攻略する日時を決めましょう」


 ユメが主体となって計画は進んでいく。

 隣には勇者が立っている。魔王と勇者が隣にいるのは何処か不思議な感じがするな。

 後ろにハワードとグロリアスが控えてるけど。



 まぁともかく。

 さーて、俺とニーファはどうすっかな!(二回目)


 あ、予定が決まってないなんて冗談だぞ?

 冗談だからね?

 ホントだよ?

 ………ホントだよ?


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