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魔王の兄は転生者  作者: 民折功利
第五章 魔に挑むお兄様
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うちの子の実力

デミエルの能力名を変更しました。

効果的にこの名前があってますし。


 うちの子たちが進化した日の昼頃。

 俺は庭園空間にスライム組を呼び出して個々の力を測ることにした。

 プニエル、デミエル、ウェパル、エノムルも自己防衛ぐらいは出来て欲しいからね。


「ということで、技能検定はじめましょー!」

「しょー!」

「しょー!」


 プニエルとデミエルが俺に続いて可愛いらしい雄叫びを上げて右拳をあげる。


 庭園空間は、以前の懇親会で使用した場所だ。

 並べられていた机や椅子は撤去され、綺麗に整えた草花や命水を湧かせる噴水が陽の光に照らされている。

 薔薇のアーチを潜り抜けて、石畳の広場に出る。

 石畳の隙間からは草が伸び、少し古風な遺跡的雰囲気を醸し出している。

 俺は魔法でゴーレムを作り出し、それを的にして攻撃してもらうことにした。

 ゴーレムは、俺の意思で操作するので、万が一にも怪我なんて事は存在しない。


「よーし、じゃあ使える技を好きに発動してくれ」

「「「はーい」」」

「〜〜〜♪(肯定)」


 まず最初に動いたのが、ウェパル。

 ウェパルはスカートの下から水色の透明な触腕を出して、背中に触手を伸ばして空間の裂け目を七つ作る……空間の裂け目かぁ、びっくりぃ。

 異空間と接続したウェパルは七本の触手を使って異空間から武器となる色々なものを取り出す。


「《メイドの玩具箱》」


 包丁、フライパン、鉄鍋、フォーク、お玉、トング、ハサミの七つの調理器具を持った触手が異空間の穴から取り出し、それをゴーレムに叩きつける。


 哀れ、ゴーレムは勢いよく斬られたり凹んだり砕かれたりして動きを終了させた。

 うわぁ、メイドつよぉい。


「以上です」

「よし。流石だな、ウェパル」

「ありがとうございます」


 褒めてもらったのが嬉しいのか、目を細めて頬を赤らめるウェパル。

 うんうん。

 昔はスライム枕にしようとしたらプニエルと仲良くなって、魔力与えたらニーファの一撃を耐える頑丈なスライムだったのが、こうも賢くて頼りになるメイドになるとは……異世界すげぇ。


「じゃあ、つぎはデミやる!」

「いいぞ」


 俺は再びゴーレムを創造してデミエルと対峙させようと動かし始める。

 が、デミエルは俺の方を向いてねだり始める。


「あるじ、お人形さんちょーらい!」

「ん? あぁ、いいけど……ほい」

「ありがとー!」


 デミエルの要望通り、金色の糸で出来た髪とボタンの目、可愛いお姫様服を着た西洋人形を上げる。

 これは露天で買ったものだ。

 プニエルが欲しいと言ったのだが、買って数日後に床に置き去りにされていた。


「んんぅ〜〜! ぱぁっ!」


 デミエルは、人形を両手に持って力を込めると、人形に黒い魔力が集まって独りでに動き出す。

 人形の身体が大きく膨張し、腕の筋肉量が増えて服が破れ散り、上腕二頭筋が膨れ上がる。

 デミエルはそっと手を離すと、人形は独りでに宙に浮いてゴーレムに向き直る。

 ……ホラー始まったァ。


「《仮初の命》!」


 闇の魔力を纏って見た目が強くなった西洋人形は、空を飛んで一直線にゴーレムに突撃する。

 それはまるで銃弾のようで、一瞬でゴーレムの土手っ腹に穴を開ける。

 ……うわ、ようじょつよぉい。


「みてみてー!」

「お、おぉ……凄いなデミエル。頭を撫でてやる」

「あるじ〜♪」


 ゴスロリに怪しい人形か……良い感じに揃ってはいるんだな。

 俺が感傷に浸っていると、闇を纏っていた人形がはち切れて崩壊する。

 ……一回限りかぁ。


「うぅ〜〜〜!!」

「あ、後で壊れない人形作ってあげるから、な?」

「う〜……はぁーい」


 ふぅ……次はエノムルか。


「マシタ! プニエルは?」

「お姉ちゃんのプニエルは最後でいいかな?」

「んー……わかった!」

「いい子だ」


 プニエルを落ち着かせて、ゴーレムに空いた穴を直してエノムルと戦わせてみる。


「準備はいいか?」

「〜〜〜♪(肯定)」

「よし、じゃあ始め!」


 合図をして直ぐに、エノムルは両手を前に伸ばしてゴーレムに向ける。

 すると、エノムルの手に穴が空いて、そこから薄緑色の液体が真っ直ぐゴーレムに放水される。

 当たった液体は、瞬く間にゴーレムの身体を溶かし……地面すらも溶かしていく。


「おー……《溶解液》か」

「〜〜〜♪(肯定)」


 どうやらエノムルは、身体から抽出した酸性の粘液である溶解液を体外に放出して攻撃できるようだ。更に、本来の姿である5メートル級の巨女になって対象を押し潰す攻撃や捕獲も可能だった。

 ビッグスライムつよぉい。


「よし……お疲れさんエノムル」

「〜〜〜♪(歓喜)」


 不思議だよな。

 身体を震わせたり動かしたりするだけで、頭の中に自然とコイツのしてる意味がわかっちゃうんだ。

 これもエノムルの能力なのかな?


「じゃあ、最後にプニエル!」

「あい!」


 元気に返事をしたプニエルは、両手を空高くに上げる。

 すると手の平に光が集まり出す。

 同時に、プニエルの背に二枚の白い羽根が展開されて神々しさを醸し出す。


「ひかり〜!」


 やがてプニエルの手の光が大きくなり、空高く撃ち上がる。

 天に昇った光は、一度収束して、空に広がる。

 広がった光は点々とした物体を形作り、数十本の光の矢となってゴーレムに降り注ぐ。


 ドガガガガガガガ!!!


 頭上からの攻撃に呆気なく敗れ、頭も肩も光の矢で打ち砕かれた姿を醜態にさらす。


「やったー!」

「……」

「マシタ?」

「お、おう……凄いな、プニエル。流石、俺の最初のパートナーだ!」

「うん!」


 ここまで威力の高い光魔法を使うとは思ってもいなかった。

 嬉しい誤算だ。

 プニエルの翼は、技を放った後に消滅して元の可愛らしい姿に戻ってしまった。


「よーし! お前たちの為に何かしらの装備や武器を作ってやろう!」

「「はーい!」」

「わかりました」

「〜〜〜♪(肯定)」


 ということで……戦争が始まる日の朝まで手を掛けて装備や武器を手作りして時間を潰した。

 プニエルにはペンダントを。

 デミエルにはお人形さんを。

 ウェパルには専用の武器を。

 エノムルには特注耳飾りを。


 いやー……派手に凝ったから、楽しみだ。

 ……彼女達を戦争に参加させてみたら、戦場はどうなるかな?

 …やってみるか。


 思い至ったら即行動って事で、《魔界執行官》の権限で四人を俺の配属にして戦争に望む。

 ……幼児組を戦争に参加とか、結構鬼畜な考えだけど、自称《真の魔族》とか良い的にしかならなそうなんだよな。

 余裕余裕。うちの子を信じよう。


 ある一人の遊び心と邪心によって、戦争が掻き乱される事を今はまだ、誰も知らない。



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