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魔王の兄は転生者  作者: 民折功利
第一章 目覚めたお兄様
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ピクニックへ

 

 プニエルを仲間にしてから数週間。

 こいつについてわかったことがいくつかあるので紹介しようと思う。


 一つ目は回復能力の万能さ。

 軽傷から瀕死の重傷者、部位欠損の激しい者、精神疾患などの患者などを、一瞬で癒すことが可能であるとわかった。

 現に、今のプニエルは治癒した兵達に天使として崇められている。


 二つ目は戦闘力。

 光魔法を駆使して戦うのだが、高密度の光線や目潰しの閃光、光源を作ることができる。

 あまり戦闘向きではなく、ポジション的にはヒーラーだと思う。


 三つ目は純粋さ。というか、優しさ。

 これはもう、アレである。悪意などに気付かずにただ純真な子供の如く行動するんだよこの子。拷問で死にかけの奴とか、何も言ってないのに勝手に癒しちゃうの。ダメだ、って言っとんのに、『ダメ?』って甘えるように震えるんだよ。そんな風にやられたら困るじゃないか……。


 四つ目は性別。

 え?スライムに性別は無いやろって?

 俺も最初はそう思ってた。しかし、ふと気になって《性別鑑定》なる魔法を作って見てみたら……

 女の子だとわかりました。

 ハイ。

 性別が分かるまで、何の疑問も持たずに風呂に入ってました。一緒に。スライム相手でも考えみるとキツイです。まぁ、この体はまだ十歳児だけども。


 五つ目は意思疎通。

 プニエルとは最初はプルプル度から見て俺が感情を読み取ってたんだが、ふと気になって使い魔なら念話を使えばいいんじゃね?と思い至った。


 念話とは、使い魔や喋る器官の無い物と脳内会話ができる凄い会話術である。


 これによって、プニエルとの脳内会話が可能となり、他者とも会話の輪が広がるように、新魔法、《念話通信》を作り、最大六人まで同時に会話できるようになった。俺凄い。

 会話の具体的な内容は、


『マシタ!マシタ!遊ぼ!遊ぼ!』


『マシタ!ありぇ何!何!』


 舌ったらずな口調で喋るプニエル。ほんとマジ天使です。可愛いです。


 そんな感じでプニエルについてわかったことをまとめるが……まだまだ謎が多い。

 例えば、こいつがどっから来たのか。出会った時に何故、瀕死状態だったのか。何故性別があるのか……等々。


 そうやってまた思考の海に沈んでいたら、


「兄さん!早く行こう!」


 うちの可愛い妹さんが部屋の扉をぶち上げてご入室。おいおいユメさんや。ちゃんとノックしてから入ってね。後、扉壊すな。


 あ、ユメが俺を呼ぶときの固有名詞が、

「お兄ちゃん」から、「兄さん」に変化しているのは、魔王国の帝王学なのか、思春期なのか、よくわからない。少し寂しい気分だ。


「あーはいはい。行きます行きます」


 まぁ、それはさておき。今日は家族全員でピクニックである。

 場所は魔王国の最南端にあるセイレーン海にある無人島だ。


 え?無人島までピクニックはどうかだって?大丈夫大丈夫。空飛んで行って、一時間で着くから大丈夫。


 ついでに行き先を無人島に決めたのは我が妹のユメである。


「よし。今行くよー」


「はやくー!」


 プニエルを肩に乗せて部屋を出る。


「あっ……《家具修復》」


 ついでに原形を留めていない装飾があって高そうな扉を木魔法の応用で修復しておく。一瞬にして元の姿に戻ってゆく扉を横目に流しながら、俺は城のエントランスに向けて歩いて行った。



「あら〜。来たのね〜」


「よし。それでは行くとするか」


 既にエントランスには旅支度をした父と母が。


「それじゃあ、しゅっぱーつ!」


 ユメの合図と共に、俺たちは城を後にするのだった。



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