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魔王の兄は転生者  作者: 民折功利
第五章 魔に挑むお兄様
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選ばれし者の懇親会:前半


 ◆聖剣の勇者マサキ


 ………この世界にいる異世界人を集めて親交会をするって、女神様から直接天啓が下ったのはいいものの……


『どうもどうも。夜天神アンテラです』

『え……あ、はい。マサキです』

『うんうん。挨拶できて勇者くんは偉いなぁ〜……突然で悪いんだげど〜、明後日に異世界人をみーんな集めて懇親会的なのを開くから、ここに来てね』

『えっ』

『そんじゃ、そゆことで。バイバイ〜』

『えっ、ちょ、まっ』


 太陽神ソレイユ様は女神らしい神だったのに、夜天神アンテラ様はこんなにも違うのか……

 ……神へのイメージがたった一柱の最高神のせいで崩れそうなんだけど。


 そんなわけで、今僕は会場に指定されている場所に来てるんだけど……


「ホントにここでやるんですか?」

「そう思う気持ちもよく分かるが……なぁ?」


 僕の隣にはSランク冒険者《鉄剣》のリョーマさんがいて、僕と一緒に()に立っている。

 リョーマさんは僕よりも早く来ていた。


 そして皆疑問を持つだろう。

 指定先は世界同盟本部の入口手前の道。

 何故かここに集まるように言われたんだけど……こんな所で懇親会するの?


「あっ!マサキさーん、リョーマさーん!」

「おはようございまーす!」


 おっと。誰か来たようだ。


「レンヤさんにアカネさん」

「おー…お似合いカップルが三番手か」

「「お似合いじゃないです!!」」


 この2人は結構な有名人。

 男の子が星宮(ほしみや)蓮夜(れんや)さんで、黒い短髪に少しキリッとした眼を持つ青年。

 背中に特殊な装飾を持つ銃剣……三八式歩兵銃みたいな銃剣を背負っている。

 ついた異名は《魔弾の射手》。


 女の子が舞並(まいなみ)(あかね)さんで、ウェーブのかかった茶髪と白い軽装の騎士鎧で抑え込んだ胸が強調されている女子。

 そして、極めつけに天使を表現する純白の槍と盾を軽く持っているのが凄い。

 ついた異名は《戦乙女》。


 彼等はAランク冒険者パーティ『蒼穹の戦線』のリーダーと副リーダーの他者公認カップルだ。

 早く告白して付き合えって思うんだけど、一向に進まずに平行線を辿っているみたい。

 しかも幼馴染で一緒に転生したとか。

 姿形は前世の姿と同じらしいけど、二人共顔立ち良いよね。美形。


「おーっす。マサキさん、勇者の仕事どうです?」

「お約束は存在するって身に染みたよ」

「……そう考えると勇者じゃなくて良かったかも」


 酷いなー、まるで僕に全責任があるみたいだよ。

 銃剣を持った勇者レンヤ、カッコイイと思うんだけど。


「ねぇねぇ、ここで懇親会というものをするの?」

「いや……多分移動とかあるだろうけど…?」


 アカネさんの疑問通り、四人集まった所で集合場所以外の説明が無いからわからない。

 もう少し説明してくれても良かったのに……

 神様って気が利かないのかな?


「まったく……懇親会など開いている時間があったら、他にもやることあるでしょうに……」


 次に現れたのは、眼鏡を掛けた真面目くん。

 整えられた黒髪、全体的に綺麗な印象を受ける姿を持つ背広の眼鏡青年。


「あ、トウマさん。お久です」

「!……お久しぶりです、マサキさん。他の皆さんは始めましてですね。冬馬と申します」

「よろしくな」

「俺は蓮夜だ!よろしく!」

「茜って言います」


 さっきまでは文句言ってたけど、会話中は笑顔を見せてくれるトウマさん。

 この神経質そうで不器用そうな人も転生者。

 獣王国グランヒッツに所属している政治家で高橋(たかはし)冬馬(とうま)さん。

 就いている役職はまさかの外務大臣。

 僕が知ってる転生者の中でも一番出世してるんじゃないかな?


 そして、集合時間が残り僅かと近づいて来る中。


「あれ?此処が集合場所であってるのかなぁ〜?」


 次に現れたのは、スタイルの良い体を改造された高校制服に包みバッチリ化粧してるのがわかる少女。

 大きく印象的な瞳を瞬かせ、サイドで結わえたブロンズ色に染めた髪が跳ねている色白女子。


「あげぽよ〜。長谷川(はせがわ)夏鈴(かりん)でぇ〜す!よろ〜!」


 ギャル系の人来たー!

 なんか異世界に順応してるギャル来たー!


「夏鈴ちゃん、やっほー」

「あ、アカネっち〜!レンヤっちとの進展は〜?」

「べ、別に何も無いけど!?」

「あちゃ〜……気長に待つしかないかぁ〜」


 関係は良好そうだ。


「あ、もしかしてぇ、勇者さんですか〜?」

「はい、初めまして。正樹って言います」

「夏鈴で〜す。シーレーナ王国の水守ってのを、やらせてもらぁってまぁ〜す!」

「うん。よろしく」


 シーレーナの人ですか。

 人魚……こっちでは海精族って言うんだけど、海底の楽園に自分は行ったことないんだよね。


「えーっと、全員揃ったんじゃね?」


 六人が集まり、初対面の人は自己紹介を済ませた所でリョーマさんが言う。


「えっ……彼は?」


 頭に浮かぶのは、銀髪紅瞳の魔族の少年。


「なんかアイツは除いて良いって言われたぞ?」

「ハブですか?」

「いや、集合場所には来ないってだけだと思う」

「なるほど」


 またしばらく談笑して、集合時間ピッタリになったら、鐘の音が鳴り響く。


 そして。


「……よいしょ」


 世界同盟本部の壁に空間の裂け目が出来て、そこから桃髪にウサギ耳の生えたメイドさん……メリアさんが登場する。


「ウサ耳……」


 獣耳に反応するトウマさん。

 眼光が凄いし、手がウズウズしてるのは何でなんだろうね?気にしない気にしない。


「えーっと、転生者の方々で間違いないですか?」

「「はい」」

「……その通りです」

「ピンぽぉーん」


 メリアさんは、確認するように僕達に問う。


「これから、懇親会会場にご案内します。メリアと申します。以後お見知りおきを」


 恭しくお辞儀をして空間の裂け目に足を踏み入れるメリアさん。

 ………もしかして。


「会議は主様の異空間の一つなので、この門を通ってください。ついてきて下さい」


 言われるがままに、僕が最初に恐る恐る空間の裂け目に足を踏み入れる。

 みんな懐疑的だけど、空間に足を突っ込んだらその姿は見えなくなるけど、感覚は確かにある。

 大丈夫だと確認してから僕は中に入る。

 それを見て他の五人も続々と中に入る。


 入った先に広がっていたのは。


「「「「「「おぉー…」」」」」」


 見る者を圧倒させる、純白の神殿の内部。

 天使や女神の神像や美しい彫刻の施された石柱、七色に照らされたステンドグラス。


「ここは来客を通す為の入口ですね。特に深い意味はないらしいです」


 メリアさんの後ろをついて行きながら、色々と皆が質問する。


「この世界の人も呼ばれてるって聞いたんですけど……」

「はい。現地民の皆さんは別地集合で既に会場に集まっていただいてます」

「んー、メリアっちって巫女か何かかなー?わたしって水守っていう巫女やってるからさ〜」

「元です。昔は夜天神様の巫女でした」


 一つ一つ丁寧に答えてくれるメリアさんに、みんな好印象を抱いたようだ。

 やがて神殿の奥にある大扉の前に着き、メリアさんは扉に触れると、独りでに扉が開く。

 扉の先には、庭園が広がっている。

 美しく華やかな庭園には、白い布が掛けられたテーブルがいくつかあり、そこに料理や飲み物が置いてある。

 そこには、既に来ていたこの世界の現地民の皆さんが集まっていた。


「此処が会場です。お好きに過ごして構わないので。では」


 メリアさんはそう言った後に頭を下げ、庭園の奥に消えるように進んでいく。

 残された僕達は、会場である庭園を見回しながら、現地民の人達と顔を合わせる。


「やぁ。久しいね、マサキくん」

「ミラノさん、お久しぶりです」


 ヘルアーク王国の聖王子ミラノと会話をする。

 相変わらず、THE王子様って感じだよね。

 溢れ出る気品とか英雄オーラが凄い。


「ん?……トウマじゃねぇか!おせぇぞ!」

「……いらしたのですか、フェメロナ姫様」


 骨付き肉を頬張りながら、トウマさんと話しているのは獣王国グランヒッツの王女フェメロナ様。

 トウマさんは凄い悲しい目で彼女を見ている。


 今ここにいる参加者は以下の通り。


 転生者陣は、

 《聖剣の勇者》天堂正樹。

 《鉄剣》菅原竜馬。

 《魔弾の射手》星宮蓮夜。

 《戦乙女》舞並茜。

 《政帝》高橋冬馬。

 《水守》長谷川夏鈴。


 現地民陣からは、

 《聖王子》ミラノ=ヘルアーク。

 《獣王国王女》フェメロナ=ライオンハート。

 《孤高の魔工学師》クロエラ。

 《氷心の魔女》マール。

 《紅焔の魔女》ミカエラ=リル=ヘイドゥン。

 《黒薔薇の魔王姫》ユーメリア=ルノワール。


 結構な有名人が集まったようだけど……

 アンテラ様とかアレクさんとかは何処にいるの?


 錚々たる顔ぶれの中、僕たちの懇親会は始まったのだった。


人生を一からやり直してるのがアレクしかいない件

更に現地民陣営は全員がアレクの知り合いっていう

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