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魔王の兄は転生者  作者: 民折功利
第四章 夏休みとお兄様
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平常運転と堕神復活

次回は登場人物紹介を入れて新章に入ります。

四堕神戦は個体別にブチブチします。


それと本編に入る前に。

『この物語は真面目な戦闘が続くはずがないんだ』


 ◆アレク視点


 面倒で厄介な事は前振り無く突然起こる。


 その日、世界は混沌に満ちた。

 三千年前に人類と敵対した神々《四堕神》が三千年の時を経て封印から復活し、世界再侵攻を開始したと、世界同盟と二大宗教が同時に発表し、各国の上層部が同じく発表したのだ。


 《四堕神》の知識が乏しい町村に、同盟の動ける職員や信頼のある冒険者たちが各地に派遣され、内容を説明。

 この件の危険性と重要性を伝えた。


 再び歴史に名を残すことになった《四堕神》と蔑まれている四柱の神々。

 ……俺の願望で悪いけど、静かにしていてくれませんかねぇ。


「……平和ってなんなのかのぉ」

「んー……俺が魔工学を極めて世界征服し終えたら平和になるかもなぁ」

「いやいや、俺が魔王になって外道なる恐怖政治して全てを従えれば平和になるかもなぁ」

「…どっちも発言がぶっとんでて着いてけないんだが」

「二人ともやりかねないから油断ならないんだよね……」


 ユグドラシル中央学園の特別生教室。

 ニーファが黄昏て、クロエラと俺が冗談を言い、フェメロナとミラノが引いている現状。

 収拾がつかない。


「……ミラノぉ、王族として今回の件の意見を我々一般市民にどうぞ」

「えっ……君もだよね?」

「む?……私もだぞ?」

「って……アレクくんは王族だったの?」

「そうだけど」

「「「「えっ」」」」


 クロエラの素朴な疑問に俺たちを遠目から見ていた傍観者たちが驚きの声を上げる。

 クロエラとフェメロナとフィリップ先輩とフリエラ先輩とティターニア先輩とマールが反応する。

 俺のことを知ってるミカエラやミラノ、ステラ嬢、リダ先生は我関せずと顔を逸らしている。


「えっと……王族?」

「ってことは……ユーメリア様の兄上、ですか?」

「ユメの兄ですが何か」

「「「「「…………………はぁ」」」」」


 なんか溜息つかれたんだけど。

 そんなに俺が王族なのがありえんのか。


「えっ……じゃあニーファさんは?」

「神竜」

「え?」

「神竜ニールファリスだよ。コイツは」

「「「「「…………………はぁ」」」」」

「お主ら何を納得しとるんじゃ!?」


 ここの特別生たち環境に慣れきってるんだけど。

 普通、近くに化け物がいる事に驚くと思うんですけど……きゃー、とか聞きたかったんだけど。


「……神竜、ってことは」


 ミカエラが何かを察したように俺を見て、意を決して話しかける。


「アレクさん……もしかして、龍泉霊峰を吹き飛ばしたのって……」

「「はい、やりました」」

「……あ、はい」


 これは正直に答えんとな。


「…え、なに聞きたたそうな目しとるんじゃ」

「お前が引き起こしたんだから話せよー…メリア、喉乾いた」

「はい。ちょっと待っててくださいね」

「逃げるなアレク!」


 無論、可哀想なので俺が主導で話した。


「ニーファが天父神っていう生みの親に俺を殺せって逆らえない強制命令が下って」

「あれは頭に来たのぅ……殺せん身を呪おうと思ったのぅ」

「んでニーファが意味深に仁王立ちで山で待ってて……」

「仁王立ちはしとらんぞ……?」

「んで殺し合いが始まって山を一つ潰して勝った」

「負けた」

「おーー……え、神獣に勝ったってアレク君って強い子?」

「いや、か弱い魔族だけど」

「「「「「嘘だ」」」」」


 やっぱり全否定されるんだよなぁ…

 あながち間違ってないと思うんだよなぁ…


「……《四堕神》ねぇ」

「………これって全員戦争に駆り出されるのかね?」

「力がある人は呼ばれると思うよ?それに、夜天神様や太陽神様が呼ぶ人もいるらしいし」


 あのポンコツそうな女神2人が選ぶのか……


「それってミラノ選ばれるよな」

「……え、私も?嫌だよ」

「どうせ俺が呼ばれるのは確定事項なんだよ!ここにいる戦闘員全員乗り込ませるからな!」

「………例えば?」

「……俺とニーファ、ミラノ、フェメロナ、ミカエラ嬢、マール、クロエラ」

「固めたねぇ……」

「待って!?俺が戦闘員ってどういう要件だい!?」

「「「え………違うの?」」」

「綺麗にハモった!?」


 クロエラは間違いなく戦闘要員だろ。


(わたくし)のところは……お父様がなんというか」

「……私は凍らせるだけ?」

「ふむ。殴れば倒せるのか?」


 脳筋思考はすぐ死ぬからやめろ。

 ……取り敢えず、知り合いが死ぬなんて展開は望んでないから……最近覚えた蘇生禁術でも使うか。

 ……敵の誰かで実験をしてからだな。


「宣戦布告とかされるんかね?」

「……しそうなのが一人居るな」

「「誰?」」


 メリアから貰った紅茶を飲みながらニーファの話を聞く。


「禁帝神じゃ。家臣が戦争好きの集まりでな。本人はただ禁術を極めた小娘じゃが、兵士レベルの神徒が大国レベルで居るから、準備できた瞬間全世界に戦争をふっかけると思うぞ」

「……それって本人より周りが厄介なやつ?」

「本人も厄介じゃし、周りも厄介じゃ」


 ふーん……禁術ねぇ。


「禁術勝負とかできないかな?」

「お主なら……ワンチャン戦えるじゃろ」

「おし、挑んでくる」

「「「待て待て待て待て待て…」」」


 例え相手が何だろうと、特別な生徒たちは動じた様子を見せずに楽しそうな声を上げるのだった。




 ◆???視点


「………さて。準備は出来ているか?」

「はっ。既に」


 暗闇に浮かぶ蝋燭に照らされる紅い煉瓦。

 そこに佇む五人の人影。


 その中に、アレクたちと対峙した『銀水の神徒』メノウが片膝をついて主に頭を垂れる。


「メノウ」

「戦争をする準備は既に」

「ガムサルム」

「はっはぁ!潰す準備は出来てるぜぇ!!」

「エインシア」

「…私からは何も。ただ剣を振るうのみです」

「バイオン」

「ヒッヒッヒッ……王の手筈通りですぞ」


 直属の四人の神徒の言葉を受けて、黒い鎧を身につけた魔族の男が目を細める。


「……落ちぶれた今代の魔族に、我ら旧世の誇りの鉄槌を!始めよ!」

「「「「はっ!」」」」


 彼は《魔統神》と呼ばれる神。

 《四堕神》が一柱、『魔統神』ダグロスが戦争の引鉄を手に取ったのだった。


「……許せ、我が子孫たちよ。だが、貴様らは軟弱すぎる……魔族失格だ」


 そう呟いて、魔統神ダグロスは、部下の神徒を置いて闇の中に消えていくのだった。



最初の敵は《魔統神ダグロス》です。


敢えて言わせてもらおう。

『この物語がアレクの楽しい(・・・)日常譚である事を』

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