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魔王の兄は転生者  作者: 民折功利
第四章 夏休みとお兄様
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魔王一家の家族団欒


 《魔界執行官》の隊服の作成依頼をした日の夜。

 俺とニーファ、メリアやプニエル達は魔王城の奥に存在する王族居住区に来ていた。


 所謂、家族全員で集まりましょう的なヤツだ。


「へぇ〜……アレクちゃんの為の機関ってこと?」

「そうだよ」

「あらあら。これから戦争が起きるかもしれないから、身体には気おつけてね〜?」

「大丈夫だよ!兄様は生存率元から高いから!」

「まぁ、我の攻撃を受けても五体満足で走れる耐久力はあるぞ」


 謎に期待値が高い魔王一家の女性陣とニーファ。

 ……あれ?ニーファが俺の妻ってことは、ユメにとっては義姉になるのかな?

 ふーん……いや別に考えても意味ないけど。


「その言葉の羅列が俺の死亡フラグを建てているってことを理解してくれない?」

「大丈夫だ。魔王補正がある」

「なにそのパッシブ……いや、俺は魔王にならないからその補正つかん気がするんですが」

「……そんなこともないのではないか?」

「アレクちゃんもじゅーぶん魔王よ〜」

「どっちかと言うと私……?」

「お主に補正とかあるのか?(そもそも補正ってなんじゃ?)」


 ダメだ。話にならない。

 父さんと母さん……それにニーファが酒に酔ってて収拾がつかんぞ……

 てかニーファ、お前の心の声が聞こえてくるんだが。これってアレだよな?《契約魂陣》だよな。

 この術式に組み込まれている《魂の回廊》と呼ばれる契約者同士を繋ぐ不可視の生命線によって繋がれている俺とニーファは、お互いにあらゆる回線を切っている為、普段互いの思考などを読み取ることは出来ないのだが……


 こいつ、神竜形態だろうが人化してようが酒にあまり強くないのに、強がって呑む。

 そんで思考が上手く回っていないんだが、ふと気づいたら酔いが覚めてケロッとしている。


 恐らく今、酔った勢いでその回線を接続してやがる。だからコイツの思考がこっちにダダ漏れ。

 ……ま、まぁ、こっちから操作できるように術式組んだし?何の問題もないですし?

 ほら、直った。

 これでテレパシー(一方通行)状態では無くなる。


 はぁー……もうちょっとちゃんとしてくれませんかねぇ……貴女神竜でしょうに…


「ねぇねぇアレクちゃん。折角帰ってきたんだし、旅とか学園でのお話を聞かせてよ〜」

「そう言えば、そうゆう話は私も聞いてません!」

「そうだな。それは俺も気になる」


 あれれ?

 お父さんの一人称が「我」から「俺」になってるぅ……酒で酔ってるからか、王としてではなく父としているからか……大変だなやっぱり。


「えぇーっと……話すって言ってもねぇ?」

「我は話さんぞ〜……強いて言うなら、お主が捏造した所を訂正するぐらいじゃの」

「ちっ……めっちゃ横入りしてくるやつじゃん」


 実話を元に面白おかしく捏造しようと思ったのに……龍泉酒でも呑ませて黙らせるか。

 あれって一応、竜種が簡単に酔える酒で有名らしいし……源泉の山は潰れちゃったけど。

 俺が平然と龍泉酒の入った瓶をニーファにやると、彼女は中身を確認せずにガブ飲み。

 ……いやそれはまずいんじゃないの!?


「ゴックゴック……きゅう」


 あ、倒れた。

 ……まぁ、元から酒が強い訳でもないし……仕方ないよね。


 俺が龍泉酒を持っている理由は、ニーファと出会う前に採取したものと、ニーファと死闘を演じた際に、龍泉霊峰の地下に源泉の生き残りがあった。

 それを土魔法で根元から一気に引き抜いて異空間にしまってある。


 移動した先は『快適居住空間』だ。

 正確には更に空間の僻地だけど。


 驚くことに、龍泉酒の源泉は霊峰の地下に龍泉酒の湖があり、その中央に巨大な岩があった。

 白く濁った水晶が所々に刺さっていて、その水晶が刺さった隙間から龍泉酒が湧き出てでたのを確認した為、そいつを盗……天然記念物として保護しておいた。

 

 これはニーファでも知らなかったらしいが、取り敢えず手に入れてしまったので頂戴した。

 この岩にも取り敢えず安直な名前を付けた。

 《龍泉の湧き岩》。

 そのまんまである。


 取り敢えず邪魔者は寝たので話すか。


「その前に聞きたいんだけど〜。アレクちゃん、学園とか旅の途中で私が教えて上げたこと実践したのかしら〜?」

「流石に無理なのでお酒が飲める年齢になってからニーファにやる予定です」

「あらあら〜、そうなの〜」

「?……何の話ですか?」

「「気にしなくて構わん」」


 父さんとハモってユメの疑問を遮る。

 母さん、流石にその話題は不味いですよ!


 改めて言うが、母さんは女の子と○○○したいという大人の女性なのである。

 はっきり言って母さんの持つ伝説(百合物語)は多すぎて困る。

 数えるだけでも苦労しそうな程の伝説を残しているし、母さんの虜になってる婦人もいらっしゃる。

 ……てか、魔王城の宮廷メイドさんの中でも寮に住み込みの人達は母さんの手つきでもある。


 ……つまりだ。母さんの命令に忠実な下僕が城内をたくさん出歩いているのだ。

 多分、父さんが浮気でもした瞬間、報告が入ってくるんじゃないかな?

 まぁ、この世界は一夫多妻制もある。

 父さんは珍しく母さん一筋だが、跡継ぎで有能なのが産まれて良かったね。主にユメとか。

 俺は外の世界に逃げ出した親不孝者なので例外だろう。


「と、とにかく、話を戻そう。なぁ?アレク」

「えぇ、そうですね……どっから話すか」


 そっからは簡単に、自分の旅の記録を話したり、起き上がったニーファやメリア達を交ぜてカードゲームをして遊んだり………


 魔王城の楽しい夜は、少し騒がしく過ぎていくのだった……

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