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魔王の兄は転生者  作者: 民折功利
第四章 夏休みとお兄様
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断捨離は不可能

本日は二話投稿しました。


 ◆現実時間1ヶ月ぶりの主人公視点


 どうもアレクです。


 平和記念祭が終わったので長い長い学園の夏季長期休暇も残り僅か。

 やっぱり、夏休みとなるとやるべき事が最後に残るんじゃないかな?

 量は人それぞれだと思うが。


「さぁーて、断捨離、断捨離〜♪」

「しゃりしゃり〜!」


 今日は異空間にたくさん入ってる「もの」を断捨離する日だ。

 今まで何度も仕分けとかしてきたけど、捨ててはいなかったんだよな。

 ぶっちゃけ異空間なんて空間魔法極めれば作りたい放題だし。

(さも当然のように言ってますが空間魔法なんて現代では希少価値なので普通じゃないです)


「……って、当たり前のようにいるけどダメだよ?帰りなさい?」

「うぅぅ〜〜〜!!!」


 なんか隣にプニエルが居たが、メリアを呼んで回収。メリアに連れ去られまいと足を踏ん張る健気な姿も可愛いが、危険物が多い為参加は見送りとさせていただきます。ごめんね。


「さぁーてと」


 俺が持つ中でも一番大きくて、暇があれば増築されている『素材置場空間』に入って整理する。

 この後に、『魔導倉庫空間』にも行く予定だ。


 早速、自分の寮の部屋に空間の裂け目を作って異空間に侵入する。

 そこに広がっていたのは赤レンガで統一された床と壁と天井。

 無数に立ち並ぶ3m程の扉。


 これは倉庫異空間に改造を加えた結果だ。

 今までは中に入ることは出来なかったが、不便だった為に改造、整理。壁や床、天井を張って見栄えを重視した構造にもなっている。

 俺すげー。一人でやったんだぜ?


 さて。始めますか。

 まず目を向けた扉の上には『食料倉庫(肉)』と看板が掛けられている。


「まずは食料倉庫」


 食料関係では、野菜、穀類、肉類、魚類、発酵食品、調味料(ほぼメリア用)、酒類(来客&二ーファ用)、菓子類などがある。

 どれもこれも重要だし、ここにある総量を考えるとここのだけで数年は生活できる。

 しかも高難易度の禁術《時間凍結(コフィン)》によって保存してある。

 時間経過が存在しない世界(異空間)なので、腐ることも色が変質することも無い。


 ぶっちゃけ酒は今いらないんだが…この世界では15からは飲んでも良いらしいからな。

 あと三年、三年待てばいいんだ。


 てか、俺たち金銭感覚狂ってるから迷惑にならない分だけまとめ買いして貯蓄している為、増える増える。


「……これを断捨離は無理だな。次!」


 肉類の倉庫から出て、他の食料倉庫の扉を横目に……でも扉を開けて移動する。


「《生物探知》……よし大丈夫」


 ネズミとかいたら排除しようと思ったんだが……まぁ、居るわけないか。入荷する度に確認&駆除してるからな。定期的に《聖浄飛沫》っていう聖水を霧状にして空間内に噴出させる魔導具を自作してるため菌やウイルスの繁殖も防いでいる。

 あ、発酵食品の倉庫は例外。別の対策は取ってある。


「さてさてさーて?……獣皮倉庫か」

 

 狩猟した魔物魔獣を生息地別に分けて保管。ここの素材が必要な場合は引き出しから毎回出している。

 無論、四足歩行の獣から人型の魔物の皮や死骸もある為、偶にグロテスクに感じるが、この世界に来てからか感覚が麻痺しているのか慣れてしまった。


「んー……ゴブリンの皮とかいらないだろ…」


 品質も味も価値も全てにおいて劣等品のゴブリン。上位種であるソルジャーやキングに価値はあるが、MOBゴブリンは嵩張るだけ。


「……これ今まで狩ってきた奴ほとんど入ってんじゃね?」


 一応冒険者でもあるので、素材を一部換金するのだが観賞用や実験用に取っておいてあるのが今の現象を引き起こしてるんだな。


「ゴブリン嵩張り問題は……他のとこでもそうか」


 魔物や魔獣関係の倉庫は、他にもある。

 獣皮、骨、体液類、ホルマリン漬けされた内臓、扱いが危険な部位etc…などの倉庫がある。

 見て聞いても分かる通り、危険物だらけだ。

 はっきり言って後者の二つは酷い。

 片方は異臭が凄いし、片方は「接触禁止」レベルの部位がガラスケースの中に収納されている。


 取り敢えず骨と体液、内臓の所からMOBゴブリンの素材を全て出して集める。

 う〜ん。ゴブリンの残骸ってホントに役に立たないかな?

 ………あ、この考えが断捨離を不可能にするんだな。

 ……いやでも、嫌がらせ用に……絶対使えるよなぁ。

 頭の上にどしゃどしゃ落としたり口に入れて悶絶させたり……前世でやったことないけどわかるぞ。これ友達いなくなるやつだ。


「……と、取り敢えず《異壊屑篭(ゴミ箱)》に入れて…」


 《異壊屑篭》。空間系の魔法で分かりやすく言えば、『ぼくがかんがえたさいきょうのBlackHole』である。改めて言おう。ブラックホールである。

 説明以上。取り敢えず消滅させる。売っても足しにならんし、売られた側も困るだろうしな。


 手の平に漆黒の球体を召喚する。

 それを山盛りにしたゴブリン残骸類に向けて投げる。

 やがて山の上に静かに止まった暗黒球体から重力が発生してゴミを吸収して圧縮し、異次元に葬り去る。

 異次元に葬ったら存在を保てずに消失する……とかいう理論があるが、真実は定かである。


「さぁーて次は?」


 そんな感じで他の素材置場や倉庫も回っていき、要らないものを消失させていくのだが……


「なんか言うほど断捨離してない」


 そもそも断捨離ってヨガの思想とかなんだよね。


 不要な物を減らし、生活に調和をもたらそうとする思想。

 断捨離は、「もったいない」という固定観念に凝り固まってしまった心を、ヨガの行法である断行(だんぎょう)捨行(しゃぎょう)離行(りぎょう)を応用し、『断』が入ってくるいらない物を断つこと、『捨』が家にずっとあるいらない物を捨てる、『離』が物への執着から離れるである。

 不要な物を断ち、捨てることで、物への執着から離れ、自身で作り出している重荷からの解放を図り、身軽で快適な生活と人生を手に入れることが目的らしい。ヨガの行法が元になっている為、単なる片付けとは異なるものとされているが……ねぇ?

 こんな長ったらしく説明しているけど、今では物だけでなく仕事と人間関係にも使われているため、応用はよく効くみたいだね。


 ……うん。なんか難易度高いな。

 『魔導倉庫空間』に行こう。


 『魔導倉庫空間』。

 俺が作った魔導具や武器、または収集物が博物館のように展示されている。説明付きで。

 言ってしまえば自己満足を深める空間。


 もちろん区画整理をしており、魔導具、武器、防具、装飾品、鉱石類、呪物、禁書などがある。


「クロエラから貰った魔工学の作品も多いな……」


 無駄にあるから上げると言われてなすがままに手渡された大小様々な機械も展示されている。

 説明付きで。

 ここにはエノムルを小さくしている魔導具なども置いてあるし、使用説明書も書いてあるので有事の際は便利である。まじ最高。


「……アイツ要らないとか言って凄いの捨てるんだよなぁ……これとか外部に流出した瞬間終わるぞ」


 錬金術で金貨を無限に錬成する魔法陣機械とか、毎朝決まった時間にハムエッグを作る永久機関、相手の思考を読み取る頭に被る機械等々……世界に出た瞬間、人と場合によっては力関係が逆転、崩壊する代物ばかりである。


「……不用意に壊したら…あ、でも消失は可能か……でも放置で」


 こちらの世界では魔工学、地球でいう科学の結晶を潔く捨てる気は無い。断捨離できねー。


「武器とか防具……ふへー」


 どれもこれも希少価値とか見た目とか良いから捨てられないよう……正確にいうと錬金術で素材に戻せるものは戻して、無理なものは他のものに流用するってのが正しいけど。


「…俺に断捨離は無理だぁ」


 今日の結論。

 断捨離は高難易度にして不可能。

 精々、ゴブリンの掃除ぐらいだった。



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