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魔王の兄は転生者  作者: 民折功利
第四章 夏休みとお兄様
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天災と天才の野望と神髄


 ロボット。


 それは男の夢と希望が詰まった叡智の結晶。

 その中でも憧れを持つのは、戦隊モノの巨大合体ロボだろう。

 仲間同士で力を合わせ、機体を合体、融合させて誕生する巨体は人の胸を踊らせる。

 人々の希望の為、闇を打ち払う正義の為、大地に立ち上がる巨大兵器に夢を見る。


 これは、普通なら到底できない領域に軽く足を踏み入れている二人の少年の浪漫譚であり……


 歴史に残せないレベルの大事件を引き起こす引金になる………かも知れない予測不能の物語。





 ◆魔法学総合研究所の巨大地下空間


「さぁ見たまえ!これが俺の創りし魔の領域!」

「…ん、凄い」


 両手を上げて叫ぶクロエラと、楽しそうにポーズをとるマールと、朝一で呼び出された俺。


 バカンスから帰ってきた翌日、コイツは俺を通信魔導具で叩き起しやがった………んで連行された。

 メリアには異空間内に放置した物の片付けを頼み、ニーファには一言告げてから来た。


 連れてかれた場所はクロエラの巣である『魔法学総合研究所』の彼の自室……の地下。


 以前、俺とニーファとマールで解こうとして無駄足となったあの四角い魔術迷路。

 実はそれがクロエラが隠し持ってる秘密の研究所の鍵だったらしく、それの力でベッドが横にスライド……同時に鉄の残骸を派手に吹き飛ばし…地下への階段を見せつけられた。

 俺達が下手に組み替えて遊んだ為、鍵としての力が使えなくて小一時間無駄になったと怒られたが……無視無視。


 マールもこれについては最近知ったらしく……というか知りながらも驚いているのがわかる。

 感情の起伏が薄いからなんとなくだけど。


 てか、マールは夏休みずっとクロエラと一緒にいたのかな?距離感が近いよ?あと、揃いも揃って白衣を着てやがる。

 マールの萌え袖白衣はいいね。うん。


 で、だ。

 クロエラとマールに連れられて、長く狭い階段を下りた先に広がってたのは巨大な地下空間。

 研究所と同じ材質の金属が壁や床、天井を埋めつくし、真っ白な空間が出来ていた。

 床に散らばる部品や道具、よく分からん魔導具などが散乱しているが……その中でも目を引く物が俺の目に映る。


 中央に聳える鉄骨と存在。


 工事現場でよく見かける鉄骨の囲いとその中に収まるように君臨する巨大な上半身。


 鋼線を束ねた、はためく外套式の外部装甲。

 鏡の如く磨き上げられた流線型の機体。

 虫の複眼にも見える網目状の頭部の目が紅く虚空を見つめている。

 しかし、腕と身体はあれど、その姿に足となる部位は存在しなかった。


「これは……」


 その全容に俺は声を失う。


「そう!これこそ、ボクの全叡智を片っ端から詰め込んだ男のロマン!その名も───────」


 クロエラは息を吸い込み───マールは何故か手にクラッカーを持って───名を発表する。


「『銀嶺ユースティア』」


 名前を叫んだ瞬間、マールがクラッカーの紐を引き……なんか凄い音が弾け飛んで、マールが耳を抑えて悶え転がる。

 それを意にも返さず高らかに声を上げるクロエラ。


「はっはっはっ!どうだアレクくん!凄いだろ!?」

「凄いけどその前にクラッカー何とかしろ!!」

「ん?……何を言ってるか聞こえんぞ?」

「鼓膜やられてるぅー!?」


 手遅れだった。


「まぁ……《鼓膜修復》」

「お、聞こえる」


 チートで治せるんですけどね。

 至近距離で音響兵器を食らったマールの鼓膜も治し、起き上がらせる。


「…酷い目にあった」

「あのクラッカーは?」

「…研究所から見つけた」

「それダメなやつ」


 てか、あの小さなクラッカーの何処から空間を揺らすほどの大音量が出るんだよ。

 おかしいだろ常識的に考えて。


「……まぁ、とんだハプニングはあったが……これは?なにこれ凄いね」

「ふっふっ……そうだろ?ボクが先月から造り続け、試行錯誤を繰り返した人型兵器だ!」

「先月……やばコイツ」


 頭おかしいわ。

 こんな短時間に作れんの?


「あ、中は空っぽ?……それなら説明がつく」

「いや、機械でいっぱいだぞ?」

「……あー、うん」


 クロエラも充分チート持ちだったわ。


「塚の事を聞くけど、下半身は無いの?」

「まぁな。無くても行けるし」

「ふーん……」

「試作段階ではあるが……実用可能レベルには達してるぞ!」

「…何に使うの?」

「さあ?」

「考えてから作ろ?な?」

「ボクは怖い……自分のこの力が!」

「ダメだこりゃ。末期だ末期」

「…うん」


 さて、馬鹿(言動的な意味)は置いといて、改めてこの機体……『銀嶺ユースティア』を見る。


 正義の女神、ね。


「これの性能は?」

「異空間内での実験では……」

「異空間?」

「ん?あー……外でやると面倒いから造った」

「あ、はあ。続きはよ」


 もう突っ込まん。


「空中での高速機動、魔力弾による遠距離射撃、宙に浮いた状態での白兵戦、禁術級の光線を受け流した上に防ぐ防御能力……全てにおいて好成績を叩きだしているな」

「すごいな」

「それと、異空間にセットされた専用武器を用いての戦闘方法も確立してある」

「……デッカイ剣とかか?」

「あぁ。後で見せよう」


 コレはやべぇ。

 男のありあらゆるロマンが詰め込まれてやがる……あ、そうだ。


「合体とかできる?」

「ん?合体ってのは?」

「えーっとだな……」


 ふむどうするか……まぁ、適当に話すか。


「複数の機体が合体してもっと凄いロボになる」


 通じるか?


「ほぅ……やってみる価値はあるな!」


 通じた。


「よし、俺にいい案がある……耳を貸せ」

「………ふっ、面白そうだ!我が技術と君の魔法さえあれば、出来ないことなどないのだよ!」

「そうだな!よし、やるぞ!」

「「おー!!」」


「…疎外感」


 あ、マールが可哀想。仲間に入れてあげなきゃ。


 新たな玩具(兵器)を目の前に、俺とクロエラと話を聞くだけのマールの三人で一日中この件について話し続け、試行錯誤を繰り返すのだった。


 無論、銀嶺の真価をその目に焼き付けたのは言うまでもない。


 これの性能は後後伝えるとして……俺の力とクロエラの力が合わさった時……どんな怪物が生まれるか、少し……いや、結構楽しみだな。



さて、なんか凄い機械でましたね。

気が向いたらロボの設定画をTwitterにあげる……かもしれなくもないかもしれない。

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[一言] ガン○厶? ファンネルはついていますか?
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