バカンス:残りはダイジェスト
本日二話目の投稿
森から帰ってきた俺は、ログハウスの屋根の上で寝転がっているニーファを見つけ、そこに飛び上がる。
黒翼の羽ばたく音が聞こえたのか、ニーファは目を開け俺を見つめる。
「なんじゃ、まだ昼前じゃぞ。もう散歩は終わったのか?」
「……まぁね」
少し記憶から抜け落ちかけたけど、ナチュレのことは言わんで良いだろ。アイツのことは忘れよ、うん。
……つか、眠い。俺も寝る。
ニーファの隣にゴロンと寝転がり、空を眺める。
「……ふわぁ」
「…お主、昨日早く寝たではないか」
「それお前もだろ……」
話しながらニーファは俺の腕に絡みつき、息が俺の頬に触れ、風を流れていく。
……こういう時間も良いよなぁ。
「……zzz」
「……zzz」
二人揃って無防備に眠り、時は流れていくのだった。
………すやぁ
◆三時間後
「ふわぁ……」
起きました。
「……ニーファ、おい、どいて」
「んぅ?」
片腕どころか足にまで巻きついたニーファは、寝起きの顔で胸に頭をスリスリする。
コイツは小動物か何かか?
ドラゴンなのに。
てか、尻尾も巻きついてるよ?動かさないで、くすぐったい。
「……む。……おはよう、アレク」
「おはよう。そして離れたまえ」
「…………ぎゅ」
「ぎゅ、じゃねぇ……はぁ。なんだ?甘え期?」
「いや…別に〜」
てかコイツ……息が酒くせぇ。
俺が寝てる間に酒飲んだな?
あまりに酒に強くない……てか弱い癖に。
「……まぁいいか」
そのままニーファの酔いが冷めるまで陽射しを浴び続けるのだった。
……日焼けしそうだな。
改めてフード被っとこう。
遅い気がするけど。
そんな感じに緩く無人島生活の時は流れていき、三日目の昼を過ぎた。
え?時間経ちすぎだって?気にすんな。
既に用のない無人島から去るために痕跡を全て片付けていく。ログハウスやらキャンプ跡とか、全部空間にしまっちゃいましょうねー。
「……焼けたのう、お主」
「そこまでだろ」
どうやら気付かぬ内に日焼けしてたので、魔法で何とかしようと思う。……できるか?
少しだけ茶色く焼けた肌に向かって言霊を向ける。
「《夏焼漂白》」
するとびっくり。肌がビリビリと破れ……
「痛い痛い痛い?!?!?!」
「おおっ!?大丈夫か、アレク!?」
「主様ァ!?」
「マシタ!?」
全身の焦げた肌が……一瞬にして真っ白に!
激痛が無ければ完璧なのになぁ!?
どうやら古い角質も取れたらしく、全身ツルッツルのキラキラになった。
うん、まぁいいや。肌は白くなったし。
「……じゃあ帰るか」
「だ、大丈夫なのか?」
「大丈夫だ、問題ない」
そのまま全員で手を繋ぎ、転移魔法で世界都市の寮に帰る。
いやー……魔獣狩りで魔法創作に必要な素材は一通り揃ったし、なんか森の精霊みたいのに出会ってセクハラされ……忘れよう、うん。
楽しかったなぁ!!
てか、夏季長期休暇もうすぐで終わりやん。
……世界都市でなんか祭りがあった気がするな。
後でメリアに聞こう。うん。
なんかもう、お腹いっぱいだけど。