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魔王の兄は転生者  作者: 民折功利
第四章 夏休みとお兄様
143/307

バカンス:甘い蔦

WARNING!WARNING!WARNING!


取り敢えずやってみただけです。はい。


 無人島でのバカンス二日目。

 昨日はバーベキューをやった後にプニエルがお眠になったので終了、片付けをして風呂入って寝た。

 勿論、風呂は目隠しした状態で入ったし、寝る時は雑魚寝だった。朝起きたらニーファがうつ伏せに俺の上に乗ってた。合掌。


「じゃあ、二日目は自由行動日とする。各々好き勝手遊び回るなりしてね」

「「はーい」」


 プニエルたちはメリアの手を引っ張って砂浜に走って行く。また水で遊ぶのかと思ったら、砂を掘り始めた。

 なるほど、砂遊びか。


 しかし場所が悪かったのか、波が掘った穴に流れ込んできて崩れてしまった。

 それでもめげずに掘り続けるスライム四体…健気だなぁ。

 あ、メリアが少し奥地に移動させた。ナイスメイド。


「ニーファはどうする?」

「我は……疲れたから寝て過ごすとしよう。ちょうど居心地良さそうな場所は見つけてあるしな」

「そうか。じゃあ、俺は森を散歩してくる」

「む。気をつけてな」

「大丈夫大丈夫。まぁ、歩くだけだし」


 そのままニーファと別れ、未だ惨劇の残る森に足を踏み入れる。

 今回通るルートは以前ニーファが通った道で、比較的被害が少ない場所だ。

 ニーファが空気圧縮とか爆裂パンチ(仮称)で比較的被害を少なく狩っていたから、森の見た目は普通だ。所々血痕が広がってるが。


 そのまま獣道……ニーファが歩いたであろう道を通っていく。

 そこは下り坂なのか、地下に向かって歩くような感覚で下っていく。

 深い深い森の中、ジメジメした空間が視界を埋め尽くす。

 やがてその視界も開けていき……


「ほぉ……」


 辿り着いたのは、広い窪地。

 真ん中に聳え立つ一本の大樹が存在感を放っていた。

 木を囲うように咲く色とりどりの花の影響と、漂う甘い匂いで、ここが楽園かのようにも思える。


「……ん?」


 大樹の根本に何かいる。

 木を背もたれに座っているのは、異色な者。

 薄い緑の髪に目元に包帯、さらに右目のある場所に花が咲いている人型の何か。

 絹のような材質の服を着ており、更に全身に絡むように蔦が張っていた。


「……人か?」


 植物に寄生された人間にしか見えないんだが。

 植物人間……見た目の問題だからこの例えで大丈夫かな?


「………んぅ」


 あ、寝息……生きてるんですね、はい。


「あのー……すいませーん。起きていただけますでしょうかー?」

「……んぅ?」


 使い慣れない敬語を使って……少し距離を置いて……話しかける。

 植物人間は身動ぎをし、欠伸をしながら手を上げて背を伸ばす。


「んーー……はふぅーー……ん?だぁれぇ?」


 目を覚ました?植物人間は俺に気づいて視線を向ける。包帯して俺から目が見えないから視線とは言えないけど……


「えーっと、暇潰しに森を歩いてた者です」

「そっかぁ。ボクはナチュレって言うんだー」


 あ、自己紹介しちゃうの。


「……アレクって言います。よろしく」

「よろしくね〜」


 ナチュレと名乗った……男?女?どっちだコイツ。訳分からん。


「単刀直入に言うけど、君はどうしてここに?ついでに何者?」

「ボクは、森がある場所にー、現れる精霊のようなものだよー。それで、最近は森を見回って……今日はここに来たんだー」


 なるほど、この子は精霊……のようなものなんだね。人とかじゃないのか。んで精霊でもないと……なるほどよくわからん。

 取り敢えず、コイツが森を移動できることは分かった。はー、すげー。


「アレク君はどうしてここにー?」

「海で遊ぶためと……散歩」

「へぇー」


 身を乗り出して話しかけるナチュレは、俺に蔦を伸ばしてくる。

 俺の腕に巻きついた蔦は、俺の頬にまで伝って撫でてくる。……少しくすぐったい。


「肌スベスベー」

「……あ、うん」


 ナチュレの行動原理がわからん。

 ……てか、コイツが敵だったら今の俺って危なくない?……まぁいいか。

 そのままナチュレは優しく俺を蔦で引っ張り、身体を引き寄せる。

 そして、また新たに蔦を出す。


「んぷ」


 ん……俺の口の中に蔦を入れないで欲しい。

 てか、あんま思考が働かんのだが……?

 蔦が口の中を撫で回し、頭がトロけるような感覚が広がっていく。

 ……蔦から甘いのが出てる…?

 更にナチュレは俺の頭を撫でるので、少し恥ずかしくなってくる。


「口の中あったかいねー」

「んちゅ……ぷは」


 口から蔦が離れる。

 ………てか、なにやってんだ、俺。

 マジで思考が……んぅ。

 目の前にナチュレの顔があり、間近で見ると白い肌に白い包帯、甘い匂いの出る大きな花が凄い印象的。

 やがて、ナチュレは俺から蔦を離し、立ち上がる。


「ゴメンねーこれがボクのスキンシップなんだぁー」

「ふぅ……変、な奴」

「アハハーこれからもヨロシクねーアレク君」

「……うん…………あれ?」


 瞬きをした瞬間には、ナチュレの姿は何処にもなかった。

 ついでに甘い匂いも無くなっていき………


「はぁっ!?」


 思考が通常回転する。

 え、マジでなんなの。アイツ。


 ……絶対さっきの甘いヤツってヤバい何かだよな。依存性とかありそうな……薬物とまでは言わないけど。

 普通に身体と思考が動かなかったし、敵だったらヤバいんじゃないかな……?


 考えていく内にナチュレの事は頭から離れて、俺は帰路についていくのだった。


はい、新キャラが追加されました。

健全要員です。ネタバレですけど、ナチュレに性別なんてありませんし、あのスキンシップも友人に教えて貰った方法だとかなんとか。

もう一度、健全要員です。

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