バカンス:甘い蔦
WARNING!WARNING!WARNING!
取り敢えずやってみただけです。はい。
無人島でのバカンス二日目。
昨日はバーベキューをやった後にプニエルがお眠になったので終了、片付けをして風呂入って寝た。
勿論、風呂は目隠しした状態で入ったし、寝る時は雑魚寝だった。朝起きたらニーファがうつ伏せに俺の上に乗ってた。合掌。
「じゃあ、二日目は自由行動日とする。各々好き勝手遊び回るなりしてね」
「「はーい」」
プニエルたちはメリアの手を引っ張って砂浜に走って行く。また水で遊ぶのかと思ったら、砂を掘り始めた。
なるほど、砂遊びか。
しかし場所が悪かったのか、波が掘った穴に流れ込んできて崩れてしまった。
それでもめげずに掘り続けるスライム四体…健気だなぁ。
あ、メリアが少し奥地に移動させた。ナイスメイド。
「ニーファはどうする?」
「我は……疲れたから寝て過ごすとしよう。ちょうど居心地良さそうな場所は見つけてあるしな」
「そうか。じゃあ、俺は森を散歩してくる」
「む。気をつけてな」
「大丈夫大丈夫。まぁ、歩くだけだし」
そのままニーファと別れ、未だ惨劇の残る森に足を踏み入れる。
今回通るルートは以前ニーファが通った道で、比較的被害が少ない場所だ。
ニーファが空気圧縮とか爆裂パンチ(仮称)で比較的被害を少なく狩っていたから、森の見た目は普通だ。所々血痕が広がってるが。
そのまま獣道……ニーファが歩いたであろう道を通っていく。
そこは下り坂なのか、地下に向かって歩くような感覚で下っていく。
深い深い森の中、ジメジメした空間が視界を埋め尽くす。
やがてその視界も開けていき……
「ほぉ……」
辿り着いたのは、広い窪地。
真ん中に聳え立つ一本の大樹が存在感を放っていた。
木を囲うように咲く色とりどりの花の影響と、漂う甘い匂いで、ここが楽園かのようにも思える。
「……ん?」
大樹の根本に何かいる。
木を背もたれに座っているのは、異色な者。
薄い緑の髪に目元に包帯、さらに右目のある場所に花が咲いている人型の何か。
絹のような材質の服を着ており、更に全身に絡むように蔦が張っていた。
「……人か?」
植物に寄生された人間にしか見えないんだが。
植物人間……見た目の問題だからこの例えで大丈夫かな?
「………んぅ」
あ、寝息……生きてるんですね、はい。
「あのー……すいませーん。起きていただけますでしょうかー?」
「……んぅ?」
使い慣れない敬語を使って……少し距離を置いて……話しかける。
植物人間は身動ぎをし、欠伸をしながら手を上げて背を伸ばす。
「んーー……はふぅーー……ん?だぁれぇ?」
目を覚ました?植物人間は俺に気づいて視線を向ける。包帯して俺から目が見えないから視線とは言えないけど……
「えーっと、暇潰しに森を歩いてた者です」
「そっかぁ。ボクはナチュレって言うんだー」
あ、自己紹介しちゃうの。
「……アレクって言います。よろしく」
「よろしくね〜」
ナチュレと名乗った……男?女?どっちだコイツ。訳分からん。
「単刀直入に言うけど、君はどうしてここに?ついでに何者?」
「ボクは、森がある場所にー、現れる精霊のようなものだよー。それで、最近は森を見回って……今日はここに来たんだー」
なるほど、この子は精霊……のようなものなんだね。人とかじゃないのか。んで精霊でもないと……なるほどよくわからん。
取り敢えず、コイツが森を移動できることは分かった。はー、すげー。
「アレク君はどうしてここにー?」
「海で遊ぶためと……散歩」
「へぇー」
身を乗り出して話しかけるナチュレは、俺に蔦を伸ばしてくる。
俺の腕に巻きついた蔦は、俺の頬にまで伝って撫でてくる。……少しくすぐったい。
「肌スベスベー」
「……あ、うん」
ナチュレの行動原理がわからん。
……てか、コイツが敵だったら今の俺って危なくない?……まぁいいか。
そのままナチュレは優しく俺を蔦で引っ張り、身体を引き寄せる。
そして、また新たに蔦を出す。
「んぷ」
ん……俺の口の中に蔦を入れないで欲しい。
てか、あんま思考が働かんのだが……?
蔦が口の中を撫で回し、頭がトロけるような感覚が広がっていく。
……蔦から甘いのが出てる…?
更にナチュレは俺の頭を撫でるので、少し恥ずかしくなってくる。
「口の中あったかいねー」
「んちゅ……ぷは」
口から蔦が離れる。
………てか、なにやってんだ、俺。
マジで思考が……んぅ。
目の前にナチュレの顔があり、間近で見ると白い肌に白い包帯、甘い匂いの出る大きな花が凄い印象的。
やがて、ナチュレは俺から蔦を離し、立ち上がる。
「ゴメンねーこれがボクのスキンシップなんだぁー」
「ふぅ……変、な奴」
「アハハーこれからもヨロシクねーアレク君」
「……うん…………あれ?」
瞬きをした瞬間には、ナチュレの姿は何処にもなかった。
ついでに甘い匂いも無くなっていき………
「はぁっ!?」
思考が通常回転する。
え、マジでなんなの。アイツ。
……絶対さっきの甘いヤツってヤバい何かだよな。依存性とかありそうな……薬物とまでは言わないけど。
普通に身体と思考が動かなかったし、敵だったらヤバいんじゃないかな……?
考えていく内にナチュレの事は頭から離れて、俺は帰路についていくのだった。
はい、新キャラが追加されました。
健全要員です。ネタバレですけど、ナチュレに性別なんてありませんし、あのスキンシップも友人に教えて貰った方法だとかなんとか。
もう一度、健全要員です。