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魔王の兄は転生者  作者: 民折功利
第四章 夏休みとお兄様
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天界図書館


 『天界の世界樹』の頂上部に位置する『フォルタジア神殿』から外に出て、空を飛んで地上に降りたウルキナさん先導の俺達一行。

 『神の国(カテドラル)』の入口の反対側に降りた俺達は、白い街並みを横目に道を行く。

 そこに暮らす天使や神々が俺達の姿を興味深げに見つめてくる。


「……好奇の視線にさらされるのぉ」

「まぁ、下界からの客なんて珍しいだろうから……仕方ないだろ」

「むぅ……」


 どうやらニーファはあまり視線を受けたくないようだ。

 まぁ、俺もそうだけど。

 わざわざ視線に晒されるのならフードを被って身を隠……あ、俺の黒衣ってフードつきやった。


「……よいしょ」

「あ、お主狡いぞ」

「ふ!カースト下位者の特権秘技だ」

「言ってて悲しくならぬのか?」

「言うなよ……(悲壮感)」


 前世の記憶が蘇った昔の俺は、堂々のスクールカースト最下位の無表情無言人間だったから、マジで他人の視線とか無理だったなぁ……今世では吹っ切れて暴れまくってるけど。


「ほら、ニーファは美人さんだから。皆の視線も独り占めだぞ。良かったな」

「……んぅ」


 よし。丸く込めれたぜ。

 流石我が嫁。


「ウルキナさん、後どんぐらいですか?」

「そうですね………あ、屋根が見えたのでもう近いですよ」

「へぇ…おー」


 家々の平べったい白屋根の隙間から除く真っ白な幾つもの尖塔。

 恐らくアレが『天界図書館』の屋根かな?


 暫く歩くと、他の家や店と同じ真っ白な壁と屋根を持つ巨大な施設。

 丸っこい大きな屋根や無数の尖塔が立ち並んでおり、視界いっぱいに見える真っ白な大施設。


 これが世界一の大図書館。

 『天界図書館』。

 俺達の天界での目的地だ。


「私の案内はここまでです。図書館内に此処を住処とする上級神が居ますので、詳しくは其方でお聞き下さい」

「はい、ありがとうございました」

「助かった」

「はい、では…」


 ウルキナさんはそのまま立ち去り、それを見送った俺達は図書館の大きな両扉を開く。

 館内には開いた扉の音が響き渡るが、その静寂に潰されて無音が広がる。


「………静かに行くか」

「……じゃな」


 空気を読んで口を閉ざし、騒がしいスライム勢を閉まったまま、静かに館内の入口を潜り抜ける。

 入ってすぐに受付のようなものがあり、そこにメガネを掛けた司書の女性。

 本を読むのに集中して扉から入ってきた俺達に目向きもせずに座っている。


「……………」

「あのー……すいませーん」

「……………」

「………えっとぉ……」

「………?……あ、なんでしょうか」


 やっと気づいてくれたよ。

 本を読むのに集中しすぎですねぇ……文学系女子だな。


「えーっとですねぇ、夜天神アンテラに行けって言われて此処に来たんですけど」

「あぁ……確かに言われてましたね」


 司書は読んでいた本に栞を挟んで卓上に置き、俺達に向き直る。


「私の名は書庫神ライリア。この『天界図書館』の館長を務めています」

「どうもよろしく」

「よろしくなのじゃ」


 書庫神……どっかで聞いたことありますねぇ。

 ライリアはメガネを指でかけ直し、図書館の説明を始める。


「この図書館では基本的に静かにしてれば問題ありません。また、本を破ったり盗んだりした場合神の天罰を食らわせるのでお気おつけください」

「はい」

「うむ」

「では、静かにお使いください」


 そう言うとライリアは本を再び手に取って本の世界に入り込んだ。

 恐らく話しかけても反応されないだろな。


「行こう」

「うむ」


 2人で並んで受付を通り過ぎ、比喩表現無しで空高く立ち並ぶ本棚の壁。

 数えるのも億劫になるほど存在する蔵書。

 奥に行けば行くほどなんか凄そうな本がちらほら見え始める。


「ふむ……『黒魔術初級編』『大罪全書』『禁攻土神(きんこうとしん)』『神獣禁書』……うへぇ」


 ニーファが読んだ題名は全て禍々しいなんかしらヤバい本ばっかだなぁ……

 興味深いのばっかなんですけど。

 ちょっと持ってくか……ん?


「『神獣禁書』ってお前のじゃね?」

「……確かに」


 机のある場所に移動して座り、本を読み開く。


『神獣


 神々の父であり秩序の創造主たる天父神が産み出した世界最古の神獣


 六体の神獣が産み出され、その内の五体が下界に移され、世界の秩序を守る王として現れる


 後に《五神獣》と呼ばれし神獣たちを記す


《神虎》

 獣種の祖にして闘争と勇気を司る万獣の帝王


《神鳥》

 鳥類の祖にして破壊と再生を司る不死の鳳凰


《神亀》

 爬類の祖にして大地と繁栄を司る智慧の仙亀


《神蛇》

 魚類の祖にして海洋と時空を司る大海の怪蛇


《神竜》

 龍種の祖にして起源と終焉を司る原初の古龍


 全ての神獣は世界を闊歩し、我が物顔で神の秩序を守る為の番人として君臨するのである…』


 ふーん。

 …………『六体の神獣が産み出され』、か。

 この書にも記されてないが、6体目の神獣が居るということか?


「うーむ……種族進化の方法は書いとらんの〜」

「そーだな〜」


 そこは自分で見つけないとダメなんだなぁ…

 気ままに探さないとダメなんだってわかった。


「まぁ、時間は無限にあるし、ゆっくりやろう」

「………うむ」


 一段落した所で他に見つけたヤバそうな本を読み始める。


 黒魔術と呼ばれるやぁばめ〜な古代魔術を学んでみるかな……うわ、読んだら呪われそうな文面で造られてんな……まぁ、呪われたら誰かに頼も。


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