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魔王の兄は転生者  作者: 民折功利
第四章 夏休みとお兄様
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加護剥奪と魂の契約

投稿が遅れた理由は3つあります。


1.来週木曜と1ヶ月後の中間テスト勉強

2.ゲームの期間限定イベントのやり込み

3.ようつべ動画のマイクラ肝試しの鑑賞


まだまだ終わってないんですよー…故に遅れます


「いや〜、待たせちゃってゴメンね〜」

「本当にゴメンなさい……それと初めまして、ソレイユと申します」


 駄女神たちの準備が整ったらしく、俺達はクシナダと別れて女神の執務室に入った。

 案内役のウルキナは執務室の扉の横で静かに佇み、俺達の様子を伺っている。


 夜天神アンテラは薄い黒と紫のグラデーションを持つ天の羽衣を纏い、月や星を象った天の光輪を頭に浮かばせ、背に黒い三対の羽を持つ。

 太陽神ソレイユはアンテラとは相対的で純白のヴェールを纏い、太陽を模した金色の輪が背後に浮かび、紅と白のグラデーションを持つ三対の羽を背に展開している。


 これが2人の神としての姿ということか。

 まぁ、神殿とかの像でよく見る姿である。


「どうぞ宜しく。アレクです。………いやホント。これ以上遅かったら勝手に図書館に穴開けて入るところだったぞ」

「そんなこと考えとったのかお主……」

「やめてね〜?」

「私たちの仕事が増えます…やめてください…」


 夜天神アンテラと太陽神ソレイユはソファに座り謝罪をしてくる。

 俺とニーファはスライム達を室内に出して好きにさせ、二人仲良くソファに座っていた。


 2つのソファを対面させて座っている状態だ。


 ウルキナがお菓子を持ってきてくれて、机に並べてくれるので、遠慮なくそれを食べる。


「んにゅう?……クッキー!」


 お菓子の匂いに反応したプニエルが先陣を切り、デミエルが爆走。エノムルとうぇパルゆっくりと、移動してくる。


「もきゅもきゅ……うまぁー!」


 かわいい。


 その場の全員が和んだところで本題に入る。


「オレ、図書館に来た。呼ばれた理由、なに?」

「まずその喋り方が謎なんだけど」


 アレクの身体の八割が『自由』で構成されています。

 ノリと悪戯心は世界一ぃと自負している。多分。


「……まぁ、天界図書館に入館する前に君たちを呼んだ理由を言うとするなら……」

「………なんででしたっけ?」

「え?」

「おい」


 ダメだこいつら。使いもんにならん。


「……ソレイユ姉さん?忘れたの?え?」

「…そもそも聞いてませんけど…」

「言ったよ!?僕言いましたよ!?一昨日ぐらいに言ったよね!?」

「???」


 神に天然属性が付与されると厄介な事にしかならない気がするのは俺だけかな?

 

「ご、ごほん。話を戻すけど、君たちを呼んだ理由は一つ。図書館に行く前にやりたいことがあるからなんだ」


 ふむ。女神のやりたいことなど、ろくなもんじゃないだろう。


「内容は?」

「君たちに付与されてる僕の加護を剥奪します」

「「………は?」」


 何言ってんのこいつ。

 加護って、アレだろ?夜天神の加護ってやつだろう?メリアにも付いてるやつ。アレとんの?


「な、何故じゃ?我からも取るのか?……まぁ、別に良いが」

「君に加護を与えたのって、主に天父神対策だったんだけど……意味なかったからねー。はぁ…」

「どういうことだ?」


 意味深な発言をしたアンテラに問い質す。

 それにまずソレイユが答えた。


「神竜ニールファリスは元々天父神によって直接造られた五神獣の一体ですから、天父神の力である《神言(しんごん)》に逆らえなくなってしまいます」

「《神言》は絶対なる神の奇跡。世界の秩序を生み出す天なる父の理外の力。それは世界そのものを改変し、理想そのものに作り替えるんだ」


 大したチートだな。流石って言ったところか?


「君の《言霊魔法》は、魔法に干渉する力だけど、《神言》は世界に干渉する力。言っちゃえば君の上位互換能力だね」


 やっぱりチートだった。

 魔法に干渉してあれこれ好き勝手できる……らしい俺の上位互換か。はへー。

 あ、らしいってのはあまりそういう事をしたことないからだ。

 自分で好きに魔法術式組み立ててるだけだし……ん?これが魔法への干渉なのかな?わからん。


「んで、以前神竜ちゃんはその《神言》に支配されかけたんだけど、僕の加護で邪魔をして、強制力を極限にまで下げる事が出来たんだよ」

「じゃあ今もつけといた方がいいんじゃね?」

「そうもいかないんだよね〜」

「天父神の《神言》を受けた今、神竜に付与された加護が希薄になりまして……その効力を失いかけてるんですよ」


 つまり、今ニーファが持ってくる加護は名前だけのゴミと。


「んで、アレク君の場合だと、神化に伴って成長するに僕の加護が邪魔になる可能性があるからさー……問題が起きる前に取っちゃおって話」

「なるほど」


 ん?そうなると……


「加護無くなったら本格的に洗脳されんじゃね?うちの嫁さん」

「むっ……それは嫌じゃぞ」

「あぁ、それの対策は考えてあるよ」


 対策ねぇ……


「まぁそれは後で説明するとして、まず2人から加護を剥奪するよ」

「うむ」

「痛くしないでね」


 俺とニーファの前に立ったアンテラは、手を前に出し、黒い輝きを手に宿す。

 その輝きは大きく広がり、俺とニーファを飲み込む。


「……はい、これで終わりっと」

「…………なんか軽くなった感じ?」

「……ふむ。こういう感じか」


 無事に剥奪されたようだ。

 ……なんかパワーワード感があるなぁ。


「んじゃ、アレク君、神竜ちゃんに契約の魔法を使ってくれるかい?」

「ん?契約?」

「うん。簡単に言えば婚姻書を作って?」

「……婚姻届?」


 この世界にそんな習慣あんのか?


「正確には、2人の魂をより濃く結び付けさせて、天父神からの影響をなるべく受けづらくさせる。どっちかと言うと2人が肉体関係を結べばもっと早いんだけど……」

「んっん。アンテラ。余計なお世話と言うものですよ。それは」

「そ、そうじゃぞ!我とアレクは夫婦ではあるが、まだそうゆうのは先じゃ!」

「はいはい。初な事で……じゃ、早くしてよね」


 その後言われた通りに向かい合い、ニーファと手を繋ぐ。

 まだ少し恥ずかしいのか、顔を赤らめているニーファを横目に見ながら、手に魔力を貯める。


 取り敢えず全身の力を脱力させ、息を吐く。


「ふぅー……」


 身体の中の魔力を循環させ続ける。

 魔力は血液と違って管を通さずに相手に受け渡しができる。

 それを利用してニーファと繋ぎ合した手に魔力を更に流し、此方からニーファの魔力に干渉する。


「んっ…む……」


 勝手に相手の魔力を循環させている為、少し負担がかかるのか、ニーファは少し顔を歪める。

 神竜の強い魔力が循環し、手を通って俺の身体に入り込んでくる。


「っ……」


 身体が蝕まれ、魔力に侵される感触。

 身体の一部はともかく、全身を共有するとなると痛みが生じるのか……


 お互い十分魔力を循環させ、2人の魔力を混沌とさせる。


「……行くぞ、ニーファ」

「うむ。頼む」


 互いに繋いだ手のひらは、俺が上になっている。その俺の手の甲に魔法陣を浮かべる。

 より強力な契約とする為に、より強固な契約とする為に、二重、三重と魔法陣を作っては重ねていく。


「わー……きれー」


 幻想的な光が魔法陣から散らばり、蛍のように飛び交う。ゆっくりと魔法陣の周りを旋回しながら、その光が魔法文字を形成し始める。


 やがて計十三の魔法陣を手の甲に浮かべる。

 その全てが球体を造るかのように重なり、回り続け、一つの球体魔法陣を形成する。

 虹色の光の粒が廻り世界を染めあげる。


「《契約魂陣》」


 魔法を発動。球体の十三魔法陣が大きく回転し、2つの小さな球体魔法陣へと姿を変える。

 2つの魔法陣は反発するかのようにぶつかり合い、やがて片方が俺に、片方がニーファの方へとゆっくり飛んでいく。


 ストン………


 魔法陣が身体に……心臓部へと入り、その効力を発揮する。

 眼に魔力を込めることで、体内を覗く。


 心臓を中心に魔法陣が大きくなり、分裂前の大きさと変わらなくなり、そこに留まり続ける。

 やがて魔法陣は薄く溶けていき、心臓に吸収され、強化した目ですら見えなくなった。


 そこで感じる力。

 ニーファと俺に、何かが繋がれた様な感触。


 それこそが魂の契約で、2人が繋がった証拠であった。


「……終わったのか?」

「んー……多分?」


 2人で身体をペタペタと触り、異常が無いかを確認し合う。

 うーん……大丈夫かな?


「…うん。2人ともお疲れ様。にしても、一発で成功するとは思わなかったなー」

「同感です。……というか、失敗したら危険でしたよね?あれ」

「まぁそうだけど……結果オーライだから」


 不穏すぎるんだが?危ない橋を渡らされていたのか……まぁいいけど。


「これで君たちは《神言》の影響を受けずらくなった……と言いたいのだけど」


 なんか含みのある言い方だな。


「アレク君の契約が強力すぎて想定外」

「まぁ。そうなんですか?」

「流石俺。最高だわ」

「流石我が夫」

「マシタすごーい!」


 ニーファと再び手を繋ぎ、握っては握られてを繰り返す。


「……これの何処に婚姻届要素が?」

「それは我も思った」

「ん、んー……た、例え話だよ?」

「2人をからかう為の口実ですよね?」

「ちょ、ソレイユ姉さん!?」

「「ほー…」」


 聞き捨てられない事を聴いたなー。


「あ、ソレイユさん、一緒にやります?」


 手をワキワキとさせてアンテラに近づきながら、ソレイユを誘う。


「………そう、ですね。偶には息抜きも必要ですしね」

「待って!?三人とも?ね?その手をやめよ?ね?」

「こちょこちょー!」

「プニエルぅ!?」


 プニエルも参戦して四人でこちょこちょ地獄を女神に味合わせた。

 無論、俺は足の裏をくすぐって、ニーファが首元、ソレイユが脇、プニエルが腰を攻撃した。

 あと何故かウルキナさんも乱入し、背中に指をゆっくり添わせて微妙に辛いやつを食らわせていた。


「ぜぇー…ぜぇー…よ、よくもやってくりぇたにぇ……」


 息も絶え絶えになり、頬を紅潮させるアンテラは、あまりにも女神らしくない姿だった。

 うん。まぁ、ご馳走様です。


「ぜぇー…ぜぇー……はぁ、んっん。一応補足を、入れるけ、ど。君たち2人が、契約で、繋がったから、お互いの、状態とかが鮮明に、わかりやすく……なったから!わかったかな!?」

「おう。わかった。……少し休んだら?」

「君たちのせいだよ!?」


 アンテラが倒れ、ソレイユが心配そうに背中を優しくさすっているが、敏感になったアンテラの身体には毒だそうで身を悶えさせていたが、それに気づかないソレイユは素直に優しさで撫でてあげでいた。健気っ。

 ウルキナはそれを見て見ぬふりをしてこちょこちょ地獄の末に倒れた家具などを元の位置に直す作業をしている。


「……行くかの?アレク」

「それもそうだな。じゃあ、俺達行くから、じゃあね」

「プニエル、他の3匹も早く来るんじゃ」

「はーい……みんないくよー?」


 仲良く来たスライム勢……特にプニエルはおネムの様子なので異空間に連れて行ってそこで寝かす。入れてすぐに寝息が聞こえてきた。


「あー……ウルキナ、2人の案内よろしく」

「畏まりました」


 そのままウルキナの先導の元、俺達はやっと天界図書館に向かうことができるのだった。


「うぅぅ〜〜、久しぶりにダメージ入ったぁ」

「自業自得です」

「ちょ、姉さん、そろそろ辞めて……割とキツい」

「私の愛情が通じない……!?」

「いや、そういう事じゃなくてね?」


 2人はいつもあんな感じなのかな?





◆ニーファ


 天界図書館に向かうはずだったのに、フォルタジア神殿に向かって、夜天神の加護を剥奪され、アレクと魂の契約を結んだ我。


 身体を暖かいものが包み込むような感触を持ったが、不思議なものじゃの。


 アレクの魔力が突然全身を駆け巡るのだから、最初はビックリしてしまったわい。


 ………ふむ。


 これもこれで良いの。





 我は一人の少年との繋がりに胸を躍らせ、楽しげに微笑みながら彼の背を追う。

 かつての荒い世界から掛け離れた平和で、長閑な時間を過ごす中、我の世界は色づいた。

 きっとそれが、永遠に続くものだと信じて……








「……っていう心の声がダダ漏れなんだが」

「ぬぅわんじゃと!?!?!?」


 アレクの唐突な一言で、不覚にも我は頬を紅潮させ、驚いてしまう。

 いや、これはすっごく恥ずかしいんじゃが……なんとかできんのか?


「……これがテレパシーか。いや、さとり妖怪っぽい奴かな?」


 アレクはよくわからんことを言っておるが……ん?何故じゃ?何故我には奴の心の声が聞こえんのじゃ!!不公平!不公平じゃ!


「いや、多分俺が魔法を発動したからじゃね?主導権はこっちにあるとか」

「なんじゃそれ!……なんとかできんのか?」

「まぁ……頑張る。ウルキナさん」

「はい、待ってますのでご自由にどうぞ」


 ウルキナの許しを得て、アレクは《契約魂陣》の改良を初めて契約者同士の心の声が漏れでぬように設定してくれた。


 流石我が夫。優秀じゃな!





「………(まだ聴こえるなんて言えない……結構難しい魔法だったんだなぁ………どうしよ?)」


 無論、ニーファの知らない内にアレクが徹夜で頑張って完全に修正したとか。





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