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魔王の兄は転生者  作者: 民折功利
第四章 夏休みとお兄様
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神の国


 ウルキナの案内に従って『天空門』に入る。

 足場は底の見えぬ夜の世界でありながら、足を踏み出した先には透明な地面が存在していた。


 静寂を保ち、足音すら響かない無音の夜を歩き続ける。


「……こちらです。どうぞ」


 夜の世界に立つ光の扉。

 これが出口と言うことか。


 言われた通りに光扉を潜ると、俺達は雲海と瓜二つの門が立つ()に足をつける。


「皆様、御足労ありがとうございました。こちらが天界……『神の国(カテドラル)』でございます」


 空に浮かぶ無数の岩石群。

 緑が生い茂り、一面の平原が広がり、なだらかな丘があり。

 川が流れ、滝が下界へと落ちていく。

 白く綺麗な石造りの建物が点在し、雲海で見た青く光る大きな水晶が突き刺さっていた。


 地面を歩く天使、空を飛び遊ぶ天使。

 そこかしこに浮いている幾何学的な模様を持つルービックキューブの岩。

 それだけではなく、大陸の中央に一際目立つ青い水晶……で構成された『大樹』。そして、大陸から根のように伸び、島々を繋ぐ水晶の橋。


「……浮遊大陸は想像してなかった」

「久方ぶりに見たが凄いのー…」

「ふわぁ〜!!飛んでる飛んでるー!」


 もっとこう、雲の上の楽園的な……いや、これも雲の上か。


 一番気になるのは、無数に存在する水晶達。

 一番大きな中央の大陸に生える水晶の大樹から根のように広がり島々を貫通させて浮かせている。


「ウルキナさん、あの水晶って何ですか?」

「あれの名前は『天命髄』と言って、浮遊大陸を支える『樹』の一部と言えばいいのでしょうか?」

「樹?」

「……本来なら機密事項ですが、お二人は知っておくべきなので、お教えしましょう」


 ウルキナさんと水晶の橋を渡りながら説明を受ける。この水晶もどうやって存在してんだよ……摩訶不思議な世界だなぁー……


「まず最初に、あの大陸は『神の国(カテドラル)』の中心地であり、そこに立つ水晶の大樹は『天界の世界樹』でございます」

「世界都市のよりデカくね?」


 世界に十本あるとされる世界樹の一本は天界にあったのか……

 授業では世界都市の樹の方がでかいって聞いたんですけど。


「まぁ……地上の民がこちら側に来て帰るなんて普通ありませんし、自分達が知ってる中では一番デカいんですから、あながち間違いじゃないですよ」


 そりゃそうか。

 そんなポンポン地上と天界を行き来できるわけないし。


「そして、『天命髄』は『天界の世界樹』のエネルギーが漏れ出て地上に結晶化したものです。この水晶の力は、物を浮かせたり、生命力を上げたりできます……まぁ、『天界の世界樹』の浮遊力には及びませんが」


 凄いんだな。

 てか、天界にも『世界樹』があるなら、その反対にもあるかもしれんな……


「あ!ウルキナ様だ!」

「ほんとね。ウルキナ様と……お客様?」


 水晶の橋を歩いていると、子供の天使達が空を飛んで集まってきた。


「えぇ。この方達はお客様です。失礼の無いようにしてくださいね?」

「「はーい」」

「お客さんばいばーい」

「ばいばーい!」


 嵐のように過ぎ去っていく幼い天使達は、翼をはためかせて空を飛びさる。


「………天使って意外とフリーダムだな」

「性格にもよるが……まぁ、天使が神格を得ると神になる、じゃったか?」

「はい。現代の天使は生み出された時は天使の状態であり、神格を得ることで神に至ります」

「現代?じゃあ昔は?」

「……忌まわしき神、天父神フォルスガイアの手によって、最初から神として創造されています。古参の神々は全て最初から神でした」

「なるほどね」


 やがて水晶の橋を渡り、島を歩き過ぎ、中央の大陸へと辿り着く。


 そこには白い西洋風の建物が立ち並び、綺麗な水の水路が流れ、真ん中の『天界の世界樹』がとても目立つ場所だった。


「まずは最高神たるアンテラ様、ソレイユ様と会ってもらいたいのですが…宜しいですか?」

「拒否する為にはどうすれば良いですか?」

「右に同じく」

「……ダメです。ついてきてください」


 渋々、俺達は夜天神アンテラと太陽神ソレイユが居る神殿に向かうことになったのだった。


 あれ?俺達って本読むために来たんだよね?


 会う必要なくね?



図書館に行く程度に時間がかかるけど気にしないでね

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