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魔王の兄は転生者  作者: 民折功利
第四章 夏休みとお兄様
130/307

巫女の里とキレる奴

今日は胸糞?のような話です。

主人公が軽くキレます。


 メリアの故郷である巫女の里に来た俺達は、誤解で攻撃してきた妹のリニアさんを殴った。


 あ、乙女の顔を殴ったとしても、正当防衛だから大丈夫でしょ。

 さっきは治さないって言ったけど、結局可愛そすぎて治してやったからな。


 そして現在。

 俺とニーファとメリアはリニアの案内の元、神殿から出て集落があふ場所に向かった。


「ここか」


 巫女の里はビストニア大陸の内陸部。

 獣王国のある場所とは距離があり、この里は盆地の中にあるのだ。所謂隠れ里。

 正規ルートで行くには、山の中にある坑道を通らないと行けないらしい。関係ないけど。


 里は柵で囲われており、色んな獣人が生活しているようだ。現に、里に入った俺達を不審気に見てたり、メリアを見て驚いて奥に走っていたり…最初は静かだと思ったけど騒がしいかなー?


「……なぁ、妹さんよ」

「は、はい」

「こっから何処行くの?」


 リニアに里長の場所に案内するとか言われて来たんだけど……里の皆さんが警戒態勢取ってんだけど……


 すると、奥から警備隊みたいな男共がやってきて……


「賊め!メリア様とリニア様から離れろ!」


 戦装備をしている犬耳の男が俺に向けて攻撃してきた。


 は?またこのパターン?デジャブ?


「メリア様、リニア様、こちらに!」

「そこの女子!君もこっちに来なさい!」


 …………なにこれ。俺が敵役ですか?


「ちょ、みんな!この人は……」


 あー……リニアが頑張って止めようとしてるけど、コイツら全員目が血走ってんだけど。

 ……ふむ。


「うおおーー!」


 無数の男達の前に、俺は無抵抗で捕まる……っていうかタコ殴りにされてる。ガチ目に。


 痛い痛い痛い痛い!!


 誤解が凄そうだから収まるまで耐えようとしたけど、コイツら容赦ねぇ!


「下郎め!そのまま死ね!」

「巫女を狙った罪は重いぞ!」

「ガンツの仲間め!死ね!」


 誰だよガンツって。俺の知らない名前出しながら殴んじゃねぇよ。


 ドゴォン!!


 なんか凄い破壊音が鳴ったんだけど?

 ……メリアの戦棍じゃね?


「…………め、メリア様?」


 いきなりの爆発でメリアの方を向いた男達は、凄い後悔をする。



 全員が顔面を戦棍で横凪にされて吹っ飛んだ。



「うわー……痛そー」

「主様!すいません、私のせいで……」


 メリアが心配した顔でいるが、俺は君の無慈悲な行動にビックリしてるよ?


「大丈夫大丈夫。無傷だから」


 ひょこっと顔を出せば俺の体は全身無傷。

 常闇の黒衣のフードを頭に被れば異常な防御力でコイツら程度の攻撃は余裕だから。

 それに、神力パワーでも何とかなるし。


 おいこらニーファ。心配なのは分かるが、無言で体をペタペタ触んないでくれ。


「……怒ってる?」

「オコッテナイヨ」

「めっちゃ怒ってるではないか…」


 ダイジョウブだよ!ボクがそんな簡単に怒るわけないじゃないですかー。


「ふぅ……良かったです。ホントにすみません……」

「ま、想定外だったけど……取り敢えず焼くか」

「へ?」


 リニアも安心したようだが、俺の不穏な発言に疑問を浮かべる。


 有言実行っということで、辛うじて重症だが生きている男全員を縄で吊し上げて焚き火をする。


「え、え、え!?ちょ、アレクさん!?」

「大丈夫、大丈夫。今日の晩飯は獣煮だぞー」


 遠目に此方を見ていた非装備の獣人達も、流石にヤバいと感じたのか、動こうとするが、里の奥から兎の爺さんとお供っぽい人がやってきた。


「……スマンが里の者を使って料理を作るのはやめて欲しいんじゃがのぉ…」


 懇願するように話しかける老人の背は低く、大きな杖を持っている。


「………なにか問題でも?」

「……不手際は此方にある。メリア嬢を助けて下さったお方にこのような仕打ちをした我々の問題で御座います故に……どうか…」


 里長の発言で周囲に動揺が走る。


「な……巫女様を助けた人……!?」

「そ、それなら警備隊の人達は………」

「大恩人を……!?」


 おうおう。良い感じに動揺してくれてるね。

 はー……でも流石にキレるわー。


「スマンが解放してくれんかの……」

「え?今日の晩御飯なんですけど……振る舞いましょうか?」


 絶対に許さないからはてめぇとオーラを出しながら睨み付ける。

 上手に焼けましたーをやるんだよ。

 食わねぇけど。


「……ぬ、主様……だ、大丈夫ですから、ね?解きましょ?」

「いや……いざ解いたとして襲われたらどうすんの?そもそも俺の地位的にぶち殺せんだけど」

「うっ……」


 ただの小国ならまだしも、魔王国の発言権は他国でも普通に及ぶ。相手が王族で、それに攻撃をしたのだから、その結果は酷い。

 一応、肩書きと血筋は王族の俺の地位を思い出したのだろう。メリアは顔を青くする。


 ………いや、やらないけどね?

 そんなサイコパス魔族じゃないよ?俺。

 ちょっと怒りで山を終わらせたり経済を終わせたりするだけだから。


「……まぁいいや。面倒いからポイで」


 魔法で火を消して、ぐるぐる巻きの男共を地面に突き落とす。

 大人気ないしね。

 王族だからって他国の民を嬲り殺すほど俺は腐ってないしな。

 ………あれ?なんか……デジャブ?


「ぐぺ」


 一番下に落ちた人、ごめん。

 総重量100kgの重圧が一人の全身に掛かるという地獄。

 俺なら味わいたくないね。

 心の中では自業自得ざまぁwwwwだけど。


「………はぁ。俺帰るわ」


 なんか萎えたわ。


「ちょ、アレク?良いのか?」


 ニーファが驚いて此方に来る。


「いやー……メリア、数日放置するから、帰郷を楽しめよー。あ、ニーファはどっする?」

「……帰る」

「そういうことで、説明はメリアさん宜しくー」

「ええっ!?主さ……」


 はいはい転移転移ー。

 瞬きの瞬間に俺とニーファの視界は瞬時に切り替わり、学園の寮部屋に帰還する。


 夏休みが終わる直前にメリア連れ去って一生此処に立ち入ってやんねぇかんな。


「……流石に良いのか?これ」

「だいじょーぶだいじょーぶ……メリアは強い子だから放置してても大丈夫でしょ」

「………知らんぞー?我は」

「……メリアに通信できる魔導具あるし、なんか会ったら呼ぶでしょ。そう教育してあるし」


 結局呼ばれたら行くことにして、俺はプニエルやスライム達を異空間から出して自由にしてからベッドにinしてふて寝した。






………………………………。


…………………………。


……………………。





「………まだまだ子供じゃのー……」


「まぁ、流石にアレは我でもキレるが……仕方ない」


 次の日の朝に腹を空かせて起きたら、布団の中にニーファが居たのにビックリして硬直してたら抱き着かれて一時間動けなかったとかなんとか。





◆夜天の元巫女メリア=ナイツミデイン


「つまり、我らは大恩人を……?」


 主様がトンボ帰りして直ぐに、無謀にも主様を襲った警備隊(正確には戦えるだけの男手が自称してたのがいつの間にか浸透してた奴)に、里長とリニアが懇切丁寧に説明したおかげで彼等は事実を知った。


 里長が主様が私を助けてくださったのを知っていた理由は、なんでも未来予知というものらしい。……確かに、昔から里長は何かしら的中してたけど……スキルなのかしら?


「俺はなんということを……」

「メリア様、申し訳ございません!」


 私に頭を下げる男達。

 もうちょっと事実を突きつけましょうか。


「ついでに主様は魔王国の第一王子ですからね」

「「「「えっ!?」」」」


 里長は別段驚いてはいなかったが、リニアや男達は顔を歪ませていた。


 それほど魔王国の権威……いや、王族に攻撃をしたのは不味いことなのだ。

 下手したら連帯責任で里の者が全員処される可能性もあるのだから。

 ……前例はあるようですし。


「……まぁ、主様なら面倒事を嫌って報復行為などはしないでしょうが……私を思って此処に連れて行って下さった主様に面目が立ちません」

「……申し訳ない」

「姉さん……」

 

 主様の事ですから、通信用の魔導具を使えば転移でひとっ飛びでしょう。

 ……あ、私も転移すれば帰れましたね。


「で?何故このようなことを?何かあったのではないのですか?」


 感動の再会なんて彼等のせいで無くなってしまったので、もう期待しません。

 えぇ。主様の脳にうちの里の者は勘違いで人に喧嘩をする奴等だと知られても、私は知りません。

 私は既に主様のものですから。


 私が話すよう里長に促すと、彼は苦虫を潰したように語り出す。


「……裏切り者のガンツとその一味が先日逃げ出した」

「「えっ?」」


 ガンツ。ガンツ=ナイツミディン。

 多数ある分家の一つであり、この里の中でも里長の次に権力があった男。

 私から全てを奪った男だ。


 ………て、それよりも。


「………なんでリニアも驚いてるんですか」

「えっと……聞いてませんでした」


 はぁ……この子の事だから別の事を考えてる内に聞きそびれたんですね。


「……リニア様が神殿に向かったと話が来てな?流石にガンツの一味に攫われたとなると我らの面目がたたん……故に警戒態勢をひいたんじゃが…それが裏目に出た」


 ……つまり。


「私とリニアを連れてきた主様をアイツの仲間だと勘違いして貴方達は攻撃したのですね?」


「「「…………」」」

「返す言葉がない……」


 リーダー格の男以外は黙りこくっているが、下手に発言すれば首を撥ねられると恐れているのだろう。

 私の予想だと、黙ってると主様は逆に虐めてくると思うのですが……


「……ガンツの居場所は?」

「………サンオン山に向かった事だけはわかっておる。追跡した者は深手を負ったので、今は休ませておる」

「……そうですか」


 サンオン山。

 里を囲む山の一つで、人が立入りやすい山だ。

 これと言って特徴は無い。


「……じゃあ、ちょっと行ってきます」

「え?姉さん、何処に…」

「大丈夫です。一夜で元凶潰して主様の元に帰るので」

「で、でも……」

「あぁ、戦力の話なら大丈夫ですよ?あの程度の敵は私一人でやれますし……今の私なら」


 里長やリニアの静止を振り切り、私はサンオン山に向かう。


「……《ダークブレイブ》」


 闇属性の身体強化魔法を発動する。

 兎の獣人特有の脚力を強化し、大空に飛び跳ねる。地上での進軍は時間が掛かりますから、空を飛んだ方が早いです。……正確には滞空時間と風を利用するだけだすけど。


「……えっと、これですね」


 異空間と繋がった鞄から空を飛べる……正確には滑空できる魔導具を取り出す。

 主様の同級生であるクロエラ様の作品だ。


 見た目はただの大きな布だが、それを空中で広げてみれば、空を飛べる。

 最初は疑ったが、飛行手段のない私にはそれなりに役に立つものです。



 こうして、私は親の仇のために、サンオン山に空から向かうのだった。


次回、スピード決着の予定。


アレクは出ません。


多分(その日の気分で変わる物語だし)

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