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魔王の兄は転生者  作者: 民折功利
第四章 夏休みとお兄様
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魔王と巫女の模擬戦

昨日の夜七時くらいから時間を見つけて書いてたら寝落ちして日が変わってた……


 チュドォォォォオオオオン!!!!


 パラパラパラ………


「よし。上出来だな」

「短時間でこんなに……」


 ユメとメリアの一日特訓日で、夕日が見れる時間帯になった今。

 ムジカに今までの《暗黒魔法》が記述された秘伝書を持ってきてもらい、そこに乗ってる魔法を大体把握した俺は、ユメがこれを知ってる事を確認した上で色々と話し合い、使える魔法を増やした。


 そして現在、ユメの一日の成果を《暗黒魔法》で見せてもらい、数時間前の倍以上の威力を手に入れたことがよくわかった。

 メリアも、ニーファの無慈悲な連撃(当たれば死)を躱し、予測行動が出来るようになった。

 人型形態とはいえ神竜の近距離攻撃を避けるのだ。きっと、いい線いってるだろう。

 まぁ、ニーファが本気で連撃するわけがないのだが。したらしたらで城が更地になる。


「よし二人共。此処で終わりにしよう………ということも無く」


 俺の含みのある言い方に首を傾げて頭にクエスチョンマークを浮かべるユメとメリア。


「2対2のダブルバトルで締めにしようか」


 全員がしかめっ面をしたのだった。


 最後の最後で使う装備は、実戦用。

 つまり、普段から愛用している装備の着用を許可している。

 反対意見を持つロリコン紳士(エルフ)が居たが少女の写真集を渡して黙らせた。ちょろいな四天王。


 実は、最後は2対2にしようと最初から決めていたので、俺とニーファはスムーズに準備が整うが、ユメとメリアはそれなりにかかった。


 メリアは俺の手による魔改造を加えられたクラシカルタイプのメイド服。肩や上腕、脚部に鎧装甲が付けられており、その材料はニーファの鱗。

 硬く鋭く強いの三拍子が揃った神竜の龍鱗を使うことによって桁違いの戦闘メイド服となった。

 ついでに兎の獣人特有の脚力を活かすために脚部の仕上げは頑張った。


 月兎の下婢鎧:魔王の兄が創りしメイドアーマー。神竜の龍鱗を使うことによって全ステータスが向上した。指定所有者の長所を活かせるようにセットされた一級品。ランク-S。


 ユメは漆黒のドレスアーマーで、此方は《暗黒魔法》による永続的な強化を付与され、防御能力や鎧による速度の変化、《魔闘術》を使う際の身体強化、装備破壊をされても瞬時に再生、強化されていくというぶっちぎりのチート性能。

 所々施された黒薔薇がアクセント。

 装備からして魔王感でますわ。

 しかも武器も漆黒の大剣っていうね。


 黒薔薇ノ姫鎧:魔王ユメのドレスアーマー。暗黒魔法によって超強化されている。破壊の神に愛された鎧でありこの世に2つと無い闇の鎧。何時でも最適な鎧となる為に進化し続ける。ランク-SS。


 闇夜ノ破神剣:破壊の神に愛されし闇の大剣。暗黒魔法を使える者に前に現れる古の武器。ありあらゆるものを両断し、ありあらゆるものを突破し世界を切り開き破壊を広げる。ランク-SS。


 どちらもSSランクというぶっちぎりのチート装備。

 SSランクは神造級の存在であり、物によっては神器と呼ばれている。

 ミラノの愛剣『紅陽剣シェメッシュ』やユメの装備がSSランクだが、身近に神造級があるとか普通は無い。

 それに、神化が始まっても未だに鑑定出来ない『魔神杖カドケウス』。SSランクなのは間違いないんだけど……なんで鑑定できないんだ?


 そうこうしているうちに2人の準備は終わり、今日の最後を締め括る模擬戦(ガチ戦闘)が始まるのだった。


「はぁぁ!」


 ユメが破神剣を振り下ろし、俺を斬り裂こうとするが、俺が避けながら魔法を撃ったことで空振りに終わり、地割れを起こしただけに終わる。

 追尾する魔法を寸前で躱し、時には破神剣で壊して俺に肉薄するユメ。


 俺の武器─────今日は魔神杖カドケウス─────がユメの破神剣と激突し、衝撃波を発生させる。


「なんで、壊れないの!?」

「俺の杖がユメの剣と同じ価値ってことだ」


 言葉と同時に魔神杖の魔力を増幅させて破神剣を跳ね飛ばす。


「くっ……!」

「《螺旋廻弾》!」


 土魔法と風魔法の融合により生まれた螺旋回転をする鋼の礫が十。

 十の弾丸がユメを襲う。

 それを危なげなく破壊して前に進むユメの姿は、正しく魔王であった。


「《死を誘う闇》!」


 ユメの周囲に十三の魔法陣が浮かび、そこから頭大の闇の球体が出現し、俺の方に迫ってくる。

 直感的に触れてはいけないと悟った俺は、それを避け続け、時には魔法を撃って接触を拒む。


「その程度じゃ俺を………ってはぁ!?」


 未だに浮かぶ魔法陣からは、止まることなく暗黒球が出現し、ゆっくりと空間を埋めていく。


「弾幕か!シューティングゲームじゃねぇんだぞ!」


 無数の暗黒球をどうにかするには、根源たる魔法陣を破壊するのが手っ取り早いか。


「《封竜偽結界》!」


 以前ニーファが使った竜言語魔法の一つである《封竜結界》を自分なりに研究、開発して造った劣化版の魔法封じ結界。


 ユメの《暗黒魔法》も魔法である。

 故に、魔法を使えなくする結界によって魔法陣が消滅し、暗黒球が崩れるように無くなる。


「なっ!………こんな事も出来るんですね。流石です兄様」

「模倣品の欠落魔法だけどな!」




 その頃のメリアとニーファは、俺達と同じように斬り合い打ち合いをしていた。

 ニーファは俺が作ってあげて気に入ったのかよく使ってくれる『天罪紫刀』を振るいユメの『轟砕の爆戦棍』と衝突し、小規模な爆発を起こしながら戦い続けていた。


「ほれほれ……隙が見えるぞ!」

「くっ……はぁ!」

「おっと………やるではない、か!」


 メリアがニーファの予想を上回りながらメイスを横凪にして攻撃する。

 本来ならニーファの大剣で脇腹を直で行くところを、メリアは腕の切り替えと身体強化のゴリ押しで持ち替え、攻撃を防いだのだ。


「《影絵》!」

「む?」


 メリアの闇魔法で彼女の影が独りでに動く。まるでそれは意志を持っているかのようで────


「はぁっ!」

「なに!?」


 メリアが戦棍をニーファに振るうと、メリアの影がニョキっとニーファの背後に伸びて影の戦棍を振るう。

 流石に予想していなかったが、ギリギリで避け切ったニーファは、主にメリアの影から離れるように移動する。


(………魔法によって影に意志を持たせた?いや違う。それでは生物創造と同じではないか……ではなんじゃ?……いや、深く考える必要はなかったかの)


 ニーファは思考を纏めて、その考えが正しいと確信する。


「成程!影を操作して1つの生物に見させたか!我を騙すとは、やるではないか!」


 普通の人間なら精密に精巧に生物のように動かすことは不可能。だが、メリアは主である2人について行けるように修行する中、アレクの手で撮影されたメリア自身の動きを見せられたことがある。


『現段階の自分の姿を見れば、何処が駄目で、何処が違うのかがよくわかると思う。その自分の動きを学習し、改善し、次に活かすのが戦闘ってもんだよ』


 その日から、撮った自分の戦闘風景を見直して、自分の動きを覚え続け、改善し続けた。

 特に、影絵の魔法を使えるようになってから、他人の動きをよく見続けた。生物の様に、ありのままに動かせるように。

 そんな濃い生活をしてきたメリアは、自分の影を………実際は他の影も操れるが………自由自在に操る事が出来るようになったのだ。


 ニーファはメリアの進化と、その努力を知っていたからこそ納得した。

 努力以外に勝るものはないのだから。




 現在では2対2ではなく只のタイマンだが、これも最初から決まってたこと。まず1対1の戦闘方法の進化を見極め、次に2対2でペアとの即時的な連携を見る。

 殺傷力のある武器を使うのは、模擬刀では味わえない戦を自分の目で見て、体で感じることで動きを忘れずに体に覚え込ませるため。

 まぁ、ガチで戦いたいっていう理由もあるが。


 そして、此処で対戦相手がチェンジする。

 結界を消去した上でユメから距離を取る。

 俺とユメ、ニーファとメリアの戦闘域が近くなったところで俺とニーファが瞬時に入れ替わり別の相手との攻防を開始する。


「なっ!………マジですか!」

「マジだよ!神徒戦から何処まで変わったか見せろ!第二ラウンドの始まりだ!」


「魔王としての力を我に見せよ!」

「はい、わかりましたぁ!!」


 俺の魔神杖がメリアの戦棍に触れる前に魔法を撃ち出し近づかせない。

 ニーファの大剣がユメの破神剣と激突し、龍鱗を使った大剣によって拮抗する。


 その戦いは、父さんが呼びに来るまで続き、母さんとグロリアス、ムジカは訓練所から離れた所で俺達の戦闘を見ていたらしい。


 そして、魔王城内にいた兵士や騎士達から模擬戦と指導を頼まれて大衆の前で非常勤訓練指導者になったのは想定外であった。


 やり過ぎだったね。


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