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魔王の兄は転生者  作者: 民折功利
第四章 夏休みとお兄様
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魔王と巫女の特訓:後半


「さて。じゃあユメ…これが最後だ。いいぞ」

「はい!」

「じゃあ始めますか………《剛石標的》」


 土魔法で超高密度に凝縮された石の的。

 既に石では無いが、まぁ良いでしょう。


「これに向かって発動してくれ」

「わかりました」


 ユメは右手を前に出し、星型の魔法陣を展開。

 やはりその魔法陣は黒く光っており、闇魔法の更に上の力だと理解出来る。

 常人なら、魔法陣1つに込められる魔力に当てられて倒れてしまうだろう。

 魔法陣は紅き稲妻を撒き散らしながら回転し、ユメの右手から右腕に掛けてゆっくりと後ろに下がる。

 そして、魔法陣が右腕に吸い込まれると、ユメの右手が燃え上がる。圧倒的な熱量を持った紅蓮が輝き、やがて一本の槍を形成する。

 その槍は、燃え盛る異形の怪獣の姿を幻視させる。


「《神突(しんとつ)の牙》!」

 

 紅く旋回する神の槍を、ユメが投げる。

 それは一瞬にして標的を貫通し、超高密度に凝縮された石をドロドロに溶かし焼き尽くす。


「………予想以上に殺傷能力高いな」

「じゃの。今まで見てきた魔王でも上の方ではないか?」


 ニーファのお墨付きのようで兄さんは嬉しいよ。

 ……暗黒魔法は基本的に破壊の為に使われる魔法だな。対軍、対国家用の広域殲滅兵器みたいな扱いになるな。


「よし。一通りわかった。これからユメは魔力量を伸ばす訓練と魔法発動の効率化を目指して訓練させるぞ」

「はい!」


「メリア、お主は基礎的な戦闘能力と有効打になる魔法を覚えることを重点に置くぞ」

「はい!」




◆アレク&ユメの超特訓


 ユメに座禅を組ませ、魔力を循環させる。1度も休憩を挟まず、ただ単純に永久的に魔力を頭の先からつま先まで循環させる。

 それも、何処の部位にも同じ量の魔力を流し続けるという試練を課している。

 これによって魔力の動き方を知り、より早く綿密に魔法行使の効率化を図ることができる。


「うぐぐ……」


 やはり一定量に保つ事は難しいようで、唸りながら魔力を循環させるユメ。

 俺は更に追い打ちをかけてユメの背に手を添える。


「え……どうかしましたか?兄様」

「いや、さらに負荷をかける」

「へ?それはどういう……」

「えい」

「ふわぁ!?」


 ゴリ押しでユメに魔力を注ぎ込み強制的に体内魔力量を増幅させ続ける。

 注ぎ込む量は……最初はこんなもんか。

 注いだ瞬間、淑女に削ぐわぬ声が聞こえたが、心を無心に、鬼にしてシバキ倒す。


「これから五分毎にさっきと同じ量、或いは少し多めにユメに流す。それを全部自分のものにして循環させろ」

「え、そんな無茶な!?」

「問答無用。はいスタート!」

「うへぇ…」


 弱音を吐きながらも、しっかりと言われた事をこなす姿は、真剣そのものであった。

 現に、しっかりと魔力を満遍なく循環させる事が出来ている。

 ふむ。同じ量を何度も注がずに、時間短縮の思いも込めて増やし続けるか。


 現に、俺の魔力……神気が含まれた魔力を取り込んだ為、徐々に魔力量が増えてってるしな。


 チートだよチート。




◆ニーファ&メリアの超特訓


「ふっ……ふっ……」


 所変わってメリアの訓練は。


「ほれ、スピードが遅くなってきたぞ。魔力を込めろ。じゃないと落ちるぞ」

「は、い……!」


 訓練内容は至って単純。

 魔法で重量を上げたニーファを背負いながら、腕立て伏せをしているだけだ。

 しかも、地面に落ちないように両手両足に魔力を込めて、力を増大させた上での辛さ。

 これを100回。休憩五分を入れてから100回。これを5セットやるらしい。

 アレクもビックリで流石に止めようとするレベルの訓練法である。


 しかし、今まで似たようなスパルタ訓練を受けてきた為、メリアにとってこの程度は諦めていることでもあった。慣れとも言う。

 見た目はかよわいメイドの兎っ子だが、いざ戦えば近距離戦で無類の強さを誇る存在……それを2人の主人が考えるもんだから、メリアは凄く強くなっていた。

 筋肉も鍛え上げられ、細マッチョ状態。


 今日もメリアは、主の期待に答えるために体を動かすのであった。



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