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魔王の兄は転生者  作者: 民折功利
第四章 夏休みとお兄様
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魔界祭:前日


 突然だが、『魔界祭』についてお教えしよう。


 五年に1回の周期で行われる魔族全体の行事。

 遥か昔を生きた伝説、初代魔王への感謝や祈祷、慰霊の為の神祭を『魔界祭』と呼ぶ。

 現魔王シルヴァトスは十二代目。

 そして、初代魔王が魔族を統一し、王として君臨したのは三千年以上前、つまり『神魔大戦』の前に存在していたらしい。

 しかし、種族間戦争が絶えなかった昔は、人族と魔族の戦争は両者共に戦火を撒き散らし、世を荒廃させた為、詳しい文献の殆どが紛失してしまっている為、王の名前も姿もわからない。

 全て歴史の闇に葬り去られたが、かつての栄光を作り出し、現在まで続く平和の礎となった初代様を讃える為の神祭が、明日行われる『魔界祭』だ。


「ということでただいま」

「あぁ、遅いぞまったく」


 マサキやリョーマ達と海で遊んだ次の日。

 いつものメンバー全員で実家(魔王城)に帰ってきた。

 既にメリアはウェパルを連れて母さんに連行され、祭りの準備に駆り出された。

 で、今俺とニーファ、プニエルとデミエル、エノムルで、父さんの執務室にやってきた。


「ふむ……毎度の事だが、アレクには開催宣言の時に王族として横に並んでもらうからな」

「良いよ」

「詳しい話はユメに聞いてくれ」

「わかった」


 父さんの執務室を出て、グロリアスの案内の元長い廊下を歩く。

 四天王の1人、《豪》のグロリアスは次期魔王ユメの護衛を務めており、今は俺達の道案内をしてくれている。


「アレク様、学園生活はどうですか?」


 後ろを振り向いて、俺の横を見ながら話しかけるグロリアス。

 しかしその目線はプニエルの方に行っていた。


「………楽しいですよ?あと、話し相手の目を見て質問してくださいよ」

「そんな殺生な……」

「ウチの子見てんじゃねぇよロリコン」


 やはり、ぶれない変態紳士エルフだった。


 ロリコンの事は置いといて、ユメの執務室に着いた。高そうな木の扉を抜けて室内に入る。

 中は父さんの執務室とほぼ同じで、仕事に必要なものだけが置いてある。


「あ、兄様。お帰りなさい」

「ただいま。父さんから詳しい話はユメに聞けって言われたから来たよ」

「……言われなかったら来ないの?」

「いや来るけど」

「……そっか」


 なんか顔色が悪くなったと思ったら一瞬で良くなったんだけど。どゆこと?


「んっん。それじゃ説明するね」


 今回の『魔界祭』では、魔王城前で開催宣言を行い、儀式を行う。

 儀式は、初代役と姫役があり、初代役を選出された男性魔族が演じ、姫役をユメが演じるらしい。

 内容は、儀式場の周りで踊ったり、供物を捧げたり、何やかんやあったりするだけだ。

 最後に初代から姫に冠が与えられるのが見所。


「そうかーユメが姫役かー……カメラ用意しとこ」

「やめてね!?すっごく恥ずかしいんだよ!?」


 まぁ、明日が楽しみである。

 …………主に屋台が。


 表には出さないけど、儀式よりも食べ物が大事なのは当たり前だと思う。


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