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魔王の兄は転生者  作者: 民折功利
第四章 夏休みとお兄様
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浜辺のバカンス


「海だー!」

「「うみだー!!」」


 俺の叫びに、プニエルとミュニクの幼女組が元気にあとに続く。

 ここは世界都市の南側に位置する砂浜。一般人が使用出来るのは東側と北側で、西側が港となっている。そして南側は貴族階級のみが使えるよう配慮がなされており、勇者とSランク冒険者の権力で現在はプライベートビーチとなっている。


「海で遊ぶのは幾年ぶりか……」


 準備運動をしている俺達の近くにやってきたニーファは、懐かしむように海を眺める。

 その姿は、白を基調とした生地に黒のラインが引かれたレーストップスつきの水着。角が突き刺さった可愛い麦わら帽子を被り、サングラスを掛けているニーファがそこにいた。


「…………」

「な、なんじゃ」

「……いや、似合ってんなーって」

「そ、そうか」


 ついでに言うと、俺は短パンタイプの黒い水着を履いている。上半身は上にパーカーを羽織っている。

 プニエルは幼児用のオレンジの水着を着ている。そして、後ろに三体のスライムを引き連れて海に向かっては波にビックリして後退りして、また突っ込んでを繰り返している。


「……昔は海で遊んでたん?」

「まぁの。海の上でぷかぷか浮いたり、潜って魚の踊り食いしたり……」

「羨ましい話だな」

「まぁ、ミズガドルに怒られて説教食らったが」

「だれそれ」

「海を支配する神獣じゃ。でっかい蛇」

「へー」


 《神蛇》の事かな?伝承だと深海の底を這いずり周り世界を1周以上できる長さと大きさの体を持つ巨大な蛇。

 まぁ、今はそんなことどうでもいいが。


「お二人共ー浮き輪入りますかー?」


 メリアが小走りで、浮き輪を3つ持ってやってきた。黒のビキニをつけ、スタイルの良い体を見せつけてくれる。


「んー……プリーズ!」

「貰っておく」

「はい、わかりました。主様、ニーファ様、どうぞ」

「うむ」

「あんがと……あれ?ニーファ泳げるんじゃないっけ?」

「本来の姿での話じゃ。人の姿を取って泳いだ事など1度も無いからな」

「なるほどねー」


 他の女性陣も続々と砂浜にやって来たが、その容姿を俺がお届けする訳にはいかない、というか他者の俺が評価すると1番見て欲しいと思っている人に失礼だから、言わない。あえて言うなら、みんな良く似合ってるぐらいである。

 あと、肌面積が広がってウェイウェイ状態。


 取り敢えず。

 楽しい楽しい海の時間が始まったのだった。


「ほーーれ!」

「きゃー!」


 リョーマが嫁のクレアさんやシェーンさん、ルフさんを担いでは海に投げを繰り返して楽しんだり、マサキが《聖剣錬成》で盾をいっぱい錬成した上にそれをくっつけて即席のボートを造ったりと、自由度の高い海遊びをし続ける。


 メリアはソフィアさんやシリシカさんとパラソルの下で楽しくお喋りしているし、プニエルはミュニクとウェパル、デミエルとエノムルを連れて浅瀬で鬼ごっこしている。


 んで、俺とニーファはと言うと………

 砂浜の端っこで、砂を盛っては崩してを繰り返していた。

 お城でも作るかー?


「何しとるんじゃお主」

「…………いや……遊んでるんだけど?」

「砂遊びか?」

「そもそも海で遊びに来たのは良いけどいざってなったら何すれば良いか分からなくなった」

「あー……ほら、安心せい。こっちに来い」

「……わかった」


 海辺での楽しい遊び方?知らんよ。

 行ったことないもん。

 住んでた場所に海は無かったし。


「………はぁ」

「さっきの元気はどうした……まったく」

「いや……うん……」


 流石にこれ以上テンション低いと迷惑か…無理矢理にもテンション上げるか?


「よーし行くぞー!」

「待て」


 ガシッと掴まれた腕は、抵抗虚しくニーファに動かされる。


「は?何して─────────────」


 腕を回され、体の向きを変えられ、ニーファがギューッと俺を抱きしめる。

 …………………!?

 砂浜の端っこに居たから視線がこっちに来ないけど、何してんの!?

 てか、胸が!微妙な膨らみが!!顔に!


「な、なにしてんの?」

「………無理してるなら、二人で帰るか?我は構わんぞ?」

「……珍しいな。お前から抱き着くとか」

「はぁ〜……見てられんわ、まったく」


 ……………………励まされるとか無いわー。


「……ほれ、行くぞ」

「うん」

「………なんじゃ、何時もなら「おう」とか「ああ」なのに、「うん」の返事か」

「るっせぇ。気にすんなよ………………………まぁ、一緒に遊んでやらなくもなくもない」

「めんどーな奴じゃのー」


 拘束を解いてもらい、自由の身になる。

 よく見たら、ニーファの顔は赤面状態。二人仲良く恥ずかしがっていた。

 ……………背後から他者の視線を感じる。

 見られてたな。


「……………おいニーファ」

「なんじゃアレク」

「……恥ずかしさ晴らしして良い?」

「………好きにすれば良いではないか」

「許可を得た」

「ん?」


 顔を赤く染めてそっぽを向いたままのニーファを抱き上げて───────────────海に投げる。


「そーい!!!!」

「ちょ、わ!?」


 ジャボーン!!!

 天まで届く海水の柱。

 魔力を両腕に込めて力強く投げたからな。そらそうなるわ。


「べっ、うぇ、アレク!何を!」


 海水を口に入れてしまったのか、顔色を悪くしたニーファが俺に怒ってくる。


「え?海の遊びだろ?リョーマがやってたし」

「…………いきなりはやめよ」


 さり気なくリョーマのせいにしたら、あいつ何言ってんだこいつって目で見開いてこっち見てきた。うん。良い口実になったよ。


「よーし、次は俺の番だ。戻れニーファ!」

「扱いが荒くはないか!?」


 その後、近場の島まで男3人で泳いで競争してみたり、スライム達と砂の城を造ったりして海辺での楽しい時間を過ごしたのだった。



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