寝不足と研究中
夏季長期休暇ってサブタイトル要らないよね
だから外しました。
キーンコーンカーンコーン………
「では、これで前期授業を終わりとします。夏季長期休暇後に、またお会いしましょう!」
リダ先生の言葉通り学園の前期が終わり、今日から夏季長期休暇。つまり夏休み。
半数の者は国に帰ったり、帰らずに学園で研究会活動を続ける。勉学に励む、肉体を鍛える、青春を謳歌する等々……自分の好きなように出来る3ヶ月にも及ぶ休暇だ。
3ヶ月もある理由は、交通整備がある程度されているこの世界でも、故郷が遠い人は遠く、行きと帰りで終わってしまう人が出るからだ。
「それじゃあ。アレク君たちもまたね」
「またお会いしまょう」
ミラノとステラさんはヘルアーク王国に帰国するらしい。俺達は行きに1ヶ月程かけたが、あれは余暇を潰す旅でもあった為、ゆっくり移動した結果だ。本来なら2週間で行けるらしい。
「私も帰るのでな!アレクよ!3ヶ月後に強くなった私と再戦してくれ!」
「気が向きましたら」
フェメロナ先輩も獣王国に帰るらしい。他にも、ティターニア先輩はエルフの里に帰郷する。
ミカエラ先輩は魔王国の祭典に向けて少し早く出立するみたいだし、フィリップ先輩は教会総本山である世界都市の東側に位置するソレイユ大聖堂で教会の仕事を手伝いするらしい。
しかし、実家が此処にあるフリエラ先輩や、魔法学研究所で暮らしていたらしいクロエラは都市に残るらしい。
最初は一切教室に現れなかったマールは、最近出席している為他の特別生達と仲良くなったらしく、特にクロエラと古代魔術について話していた。そして、今季はクロエラが幼少務めていて、休暇中に過ごすという研究所に行ってみるらしい。
「………さて。俺達も予定を消化していきますか」
「そうじゃな……ふわぁ…」
「寝不足か?」
「……お主のせいじゃろう…」
ニーファが寝不足の理由は、ベッドに潜り混んできた彼女の脇や腰や尻尾をコチョコチョしたり摩りまくった結果である。
断じてセクハラでは無い。寝惚けてたんだ。
「お二人共、大丈夫ですか?今日は1日寝る日にでもしますか?」
「………そうじゃな」
「流石メリア。わかってるぅ〜」
「八割程は主様のせいだと思いますが?」
「寝惚けてたから知らなーい」
結果。夏休みの初日は寝て過ごすことが決まった。
自室にて。
クロエラのミラクル兵器による空間拡張によって広々としている俺の部屋のベッドの上で。
やはり寝不足だったのかニーファが爆睡中。
布団に入って5秒で夢の世界に旅だった。
「すぅ………すぅ………」
……………悪戯したいなぁ。
「……んぅ?マシタ?」
抱っこしていたお眠りプニエルをムギュムギュしていたら、目をトロンとさせて見上げてきた。
可愛いは正義ってことがよくわかるよ。
「寝んねするか?」
「するぅー」
そのままニーファが寝ているベッドの真ん中にプニエル置き、ニーファの腕を動かしてプニエルを抱かせる。
良い絵面だね。
「…………よし」
2人が寝ている部屋を出て、扉を閉める。
「? 主様、何処かに行くのですか?」
「ん?あー……研究室に行くよ」
「わかりました」
そのままリビングを出て自分の研究室に入る。中には、様々な魔導具や武器が棚に並べてある。
先日アンテラに教えられた俺の魔法を詳しく知るための実験もしている。
他には、例の如くお遊びで武器を造ったり、大会で潰した武器の修繕修理を行っている。
「《穿て》」
研究室の空いたスペースにはクロエラから拝借した《擬似霊素防壁》を張っており、中にはニーファのパンチにも耐えられるエノムルの粘液を加工した的が設置されている。
その的に向けて、魔力の塊を撃つ。
結果は、的の中心に穴が空き、一点集中攻撃の結果を表している。
今までの言霊魔法では、《○○○○》と四字熟語レベルだったが、レパートリーが増えた。
魔法に対する影響しかないが、《止まれ》と魔法に向けて言えば消滅するし、《穿て》と言えば魔力を凝縮させて固めた塊を対象に撃てる。
他にも何度か試していたら、研究室の重厚な扉が開く。…………気配からしてニーファかな。
「……順調に進んどるかの?」
「まあな。そっちは寝れたか?」
「目を覚ましたらプニエルが居てビックリしたぞ」
「俺の方が良かったか?」
「………そうじゃな」
「………………ふーん」
少し顔が赤くなったのは秘密です。