表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王の兄は転生者  作者: 民折功利
第三章 特別生のお兄様
105/307

悩める竜の見出す答え


前半は、ほのぼのです。


2020/06/15追記。

我等がヒロイン、ニーファちゃんの表記がこの話から

「カタカナの『ニ』」ではなく「漢字の『二』」だとの指摘を受け、修正を開始。

今後とも誤字報告、宜しくお願い致します。


「え、この娘がプニエルちゃん?本当に?」


 教室に入ってすぐに、ミラノやステラさん、等の先輩陣営に囲まれたので、簡単に説明した。

 俺の腕の中でヨダレを垂らして寝ているプニエル。スライム形態の時と知能指数は変化していないらしい。ニーファ曰く、3歳児レベルだとか。

 ……そのニーファは、現在、何かを悩むかのような顔をしているのだが、いくら問いただしても、なんでもないと言い張っていた。


 話を戻すが、この学園で生活する為に学園長に御説明に向かったら、調べたい興味を何とか隠そうとしながら、理解を示してくれた。

 今まで通りの従魔として扱うが、見た目は幼児なので、他の教師陣への説明も必要になったらしいが……俺には関係の無い話だから割愛。


「うーん…こう見ると、2人はプニエルちゃんの親みたいだね」


 ミラノの何気ない言葉で、プニエルを抱き抱えていた俺と、隣でプニエルの頬をつついていたニーファが固まる。


「「………………」」


 死後硬直とまでは言わないが、俺達は固まる。若干頬が赤くなりそうになるが、根性?で耐える。耐えてみせる。


「……お前……いや、ミラノ先輩、軽はずみな言動は慎むべきだと思いますよ?」

「その言葉を君にそのまま返したいと思うよ。………それに、ほら」


 ミラノが顎をクイッと向けた方を見たら……赤面した上に湯気を出しているニーファ。


「……ニーファ、おい、ニーファ」

「…………はぁっ!? な、なんじゃ?なんかあったのか?」


凄 い 動 揺 し て ら っ し ゃ る


「まぁ、その、なんだ。………席につこうか?」

「……うむ、そうしようか、の」


 その後、ニヤニヤしながらこっちを見る謎共を威圧してから、普段通りの授業が始まる。

 尚、プニエルは授業中に起きて、メリアに引き取られました。






 放課後、研究室に籠る俺は、物を片手に作りながら、次の休日の内容を考える。

 ……久々に冒険しに行くか。


 ということで。


「ニーファー?いますー?」


 我が部屋を占領しているニーファを確保しに行くが………いなぁーい。

 そこには、夕飯の準備をしているメリアと、スライム四衆が楽しそうに遊んでいた。


「……なぁ、メリア。ニーファ何処に居るか知ってる?」

「はい?ニーファ様は……あれ?さっきまでは居たんですけど……」


 うむ。我がパーティの財布を預かるメリアが知らんとなると……何処だァ?


「………《対象探知》《個体名:ニールファリス》…………え、遠っ」


 何故、あんな場所に……いや、アイツの元住処だから別にいいのか?

 まぁ、取り敢えず。


「なぁ、メリア。ちょっと帰り遅くなるわ」

「あ、はい。わかりました。………えっと、何処に向かうのですか?」


 メリアに帰りが遅くなる事を告げ、魔法の準備をし……発動。


「ニーファが昔住んでた場所だよ……《転移》」





 シュタッ。

 魔法による転移をした場所は、イビラディル大陸の秘境が1つ。

 龍泉霊峰。

 俺とニーファが初めって出会った場所……つまり、神竜が住む洞窟内。

 しかし、その洞窟は以前の激闘によって崩壊状態。見る影も無い程穴だらけでありながら、あの日以来荒らされた形跡は見れない。


 そして。

 沈み始めた太陽の光が、洞窟の穴を貫通して地を照らしている。

 そんな場所に、目を瞑ったまま仁王立ちするニーファ。


「………やはり、来たか」


 俺が転移した際の魔力の流れを感じたのだろう。目を開けて、俺を横目に見てくる。


「そりゃまぁ、こんな所に居たら、なんかあったのかなぁー?と、思って来てみたわけ」

「……そうか。まぁ、お主と二人っきりになりたくて、ここで待っていたのだから、結果オーライじゃな」

「………それ、俺が来なかったら、どうすんの?絶対拗ねて暫く口聞いてくれないやつじゃん」

「その通りじゃな!よくわかっておる」


 軽口を叩きながら、俺は無防備にニーファに近づく。

 静かな崩壊洞窟に響き渡る俺の足音。


「で?わざわざ人気の無い場所に連れてきたんだ。何の用?」


 常人の間合いと言える範囲に入ってから、聞く。


「………実はな」


そう言ってニーファは、自分の背丈よりも巨大な武器……天罪紫刀を取り出して、此方を振り向き────……


「アレク……武器を取って、戦え」


 俺の首の横に大剣を近づけて、そう言い放った。


「………………はぁ、なんで?」


 僅かな動揺を悟られないように、聞く。

 まぁ、今更、こいつと戦闘をおっぱじる意味がない。俺はそう思っているのだが。


「………お主には言えぬ事情(・・・・・)がある……じゃが、これだけは言える。我はここで、お主を殺す気じゃ」


 苦虫を潰したような顔で、そんな事をいいやがるニーファを見て。


「どうしてもか?」

「……どうしてもじゃ」


 本当なら、何故俺を殺そうとしてくるのか聞くべきだろう。

 本当なら、わざわざ戦いを選ばずに逃げるべきなのだろう。

 だが。

 こいつは……ニーファが、何を思って敵対してきたのかはわからない。

 わからないからこそ、それに乗る。


 今まで戦ってきたニーファは、本気を出していなかった。ほんの少し力を使っているだけで、本気の全力を見たことを、俺は無い。

 恐らく、ガチの殺し合いと言うのなら。俺は絶対に死んでしまう。

 ………まったく。何があったのやら。


「………最近、ずぅーっと悩んでおってな。奴等(・・)が復活した今、お主の隣に我がいる事で、お主に危害が及ぶのではと」


 なんか、突然語り出したぞ。俺に危害?それなら毎日及んでますけど。何か?


「……そんなふうに、うじうじ悩んでいたのが原因だったんのかのぉ……お主を殺せと言われてしまった」

「……………」


 ニーファが誰かに命令されて、俺を殺す、か。

 かの神竜が従わなければいけない存在……?

 まぁ、つまり………


「そんで、その誰かさんに命令されたから、無視する訳にも行かず、俺を殺すと」

「…………そうじゃ」


 ………はぁ〜〜〜


「馬鹿だな、ほんと」


「………なんじゃと?」


 俺が口に出た罵倒に、目敏く反応したニーファは、大剣に少し力を込めて、首に触れさせる。

 やばい、ちょぉーとヤバいかもしれんが……最後まで言わせてもらう。


「お前が俺に危害を加えるだァ?そんなん日常茶飯事だわボケ。それに、俺を殺せ?なら、何も言わずに殺ればよかったのに」


 俺の言葉に、驚いた様子で此方を睨んでくるが、俺はお構い無しに叫ぶ。


「あのなぁ!!なんか困ったら言え!仲間だろうが!!つか、俺を殺すだぁ!?やれるもんならやってみろ!!うじうじ悩んだままの女に、敗れちまうほど俺は弱くねぇからな!!」


 その言葉に、何を思ったのか、顔を伏せ、


「……そうじゃな。お主と戦うのに、こんな思いを持っていたら、ダメじゃの………」


 吹っ切れた様子のニーファ。まぁ、俺の死亡確率が普通に上がったので、不利になっただけなんどけどね。

 

「まぁ、そんな暗い顔されてると、相棒としてやらなきゃだしな」

「………相棒、か」

「………あれ?声出てた?」

「うむ。普通に」


 ……………………恥ずかしっ!?

 なんか重要な局面なのに、めっちゃ恥ずいんだけど。


「……なぁ、アレク。お主は、運命に付き従うか?それとも………抗うのか?」


 まったく。何を聞いてくるのかと思えば。


 はぁ……………

 普通なら、ニーファを連れて、メリアの作った晩飯を楽しく食べられただろうに……まぁ、いいや。


「そだなぁ………俺は、運命に抗った上に……

作り替える派だね」


 そう言った瞬間、転移でニーファから離れ、戦闘準備をする。

 愛用の2振りの武器を異空間から取り出し、両手に持ち、一瞬で装備を整える。

 右手に《獄紋刀》

 左手に《魔神杖カドケウス》

 学生服の上を纏うように現れる《常闇の黒衣》

 そして、背中から自慢の烏羽を生やす。


「……そうか…………すまんな」


 自分から殺すとか言いやがったくせに、謝罪するニーファは、右手に《天罪紫刀》を持ったまま、俺から離れた場所に立つ。


「……終わったら全部聞くからな」

「……それまで生きてたら、な」


 そして……突然始まった戦いの火蓋が切って落とされた。





後半は、やばいです。

前話との差よ。

プニエル回じゃないのかよっ!と思ったアナタ。


行き当たりばったりなんだ。この作者は。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ