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魔王の兄は転生者  作者: 民折功利
第三章 特別生のお兄様
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スライム天国

 

 学園生活が終わってから早3ヶ月。


 俺は、スライムの乱獲と枕作りを週に一回のペースで行い、授業をしっかりと受け続けていた。


 ニーファも人間の生活に少し興味があるのか、たまに街に降り、メリアを連れて散策している。


 プニエルは、俺の横でクッションに封されたスライムの上で跳ねたり、口元を開けてじゃれついている。………どうも仲良しができたらしく、プニエルと仲の良いスライムは俺の手元に残してある。


 無論、俺の魔力を少し分けてみたりと実験をして、スライムの変化を調べているのだが…….三匹ほど結構変化があった。


 俺の魔力を加えたところ、一匹は活発に動くようになった。

 気づいたらクッションから抜け出してプニエルとお菓子をつついている。

 そして、こいつは薄紫の体に黒い羽が生えている。

 うん。プニエルとは相対的な小悪魔だね。

 使える魔法も、見た目通りの闇魔法。

 たまに小さな悪魔羽をパタパタ動かして、ちょっとだけ浮いて、すぐ力尽きて落ちるのを見る。


 二匹目は念話などは出来ないが、ある程度の意思疎通が可能となった。なんというか、体の一部を伸ばしたり変えたりして何かを伝えようとしてくる。まぁ、完全には理解できないため、プニエルを介してやっと理解できるのだが。

 そして、耐久力が強い。ニーファが力強く殴ってみたら、ムニッと凹んでプヨンって衝撃を吸収してポンポン跳ねていった。

 …………ニーファの殴りだと、爆散すると思うんだけど……凄いな、このスライム。

 言っちゃ悪いが、この子は気がきくことも、よーくわかった。メリアが料理しているときに、必要な道具を手渡ししていたのを見た。凄い。


 この二匹は、クッションに入れても気づいたら外に出てプニエルと仲良くしているので、枕化はしていない。スライム友達を強制的に使いたくないしね。


 さて………三匹目のスライムだが。

 こちらは、俺の魔力だけでなく、ニーファのヤバイ魔力も詰め込まれた為、凄いことになった。


 巨大化。


 160cmほどの身長の俺より少し小さいサイズながらも、普通のスライムよりもデカい、ビッグスライムに進化した三匹目。

 最初は危険と考えて、原因のニーファと排除しようとしたのだが、何故かニーファに懐いており、現在はニーファのスライムベットとして存在している。

 スライム特有の粘性は何故かない……と思ったら、ビッグスライムの核……心臓部付近に粘性の塊があった。どうやら、自分で表面の粘液を凝縮して内側に固めたらしい。

 ………ニーファが教え込んだとの証言が聞こえるが、もう気にしない。神竜の奇行なんて気にしない。


 さて。


 俺の……ニーファとメリアとプニエルが同居している寮室に、三体のスライムが増えたのだが……狭かった。

 いかに広い部屋の中でも、流石に人数オーバーである。


「流石に狭いぞ……研究室に住んでもらうか?スライム三匹」

「なっ!?このデカいのに寝そべる為に、態々隣に行かねばならんのか!?めんどいぞ!?」


 そんな風に困っていた俺達に救いの手を差し伸べてきたのは……若き超天才魔法学者のクロエラ。

 スライムの変質に興味を持った彼に、数匹スライムをプレゼントしたのを代償に、彼に新魔導具を無料で手に入れた。


『空間拡張くん』


 ネーミングセンスの欠片も感じないが、俺達の部屋の空間を捻じ曲げて異空間を生み出す……というか、俺達の部屋が異界となる謎兵器。

 うん。もう兵器だよ、これ。


「この『空間拡張くん』は、迷宮内で起こる構造変化を調べ、ボクの可愛い魔導具(子供達)によって攻略して手に入れたダンジョンコアを解析分析して手に入れた術式に改良を加え………」

「うん、凄いことはわかった!あんがと!」


 なんか、さりげなくダンジョン攻略をしたと聞こえたが、まぁ、凄いことはわかった。

 クロエラ様にはお帰りになってもらい、感謝の気持ちを込めて菓子折りを追加で渡した。


 そんなわけで、現在の俺の部屋は広くなった。

 具体的には、魔王城の自室よりも広い。

 鬼ごっこしても大丈夫なレベルである。


 …………異空間同士を繋げて、魔王城の自室と繋げられないかな……?





 新たなペット組である三匹のスライム。


 小悪魔は、デミエルという名を。

 超頑丈は、ウェパルという名を。

 巨大化は、エノムルという名を。


 由来は、デミエルは、デビルを可愛くした感じ。

 ウェパルは、72の悪魔から。

 エノムルはフランス語の『巨大な』をもじった。


 特徴は、三体とも、最後を『ル』で統一したことだ。……我ながら、良いと思っている。ニーファからも好評価を受けているしね。


 そんなスライム達に、プニエルを含めた四匹と俺達はじゃれついている。

 スライム天国である。

 ニーファはエノムルの上で寝っ転がり、更に頭の下にスライム枕を置いている。

 メリアは座った状態でウェパルを足に乗せ、その感触を楽しんでいる。弄ばれているウェパルは、メリアの片腕をマッサージするかのように触手で揉んでいる。有能なスライムだな。

 んでんで、俺は、自分のベッドに寝っ転がったまま、プニエルとデミエルの動きを眺めていた。


 プニエルが跳ねると、デミエルも跳ねて、互いに体を擦りあったりしている。


 ………スライムには性別という概念は無い、が。

 プニエルにはあった。エンジェルスライムという特異性からかはわからんが。

 もし、三匹にも性別があったら、どうなんだろうか?


 兎に角、スライムが増えた。以上。


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