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愛とはなんぞと問いましょう

 貴方に私の心を触らせて、それで私が死んだら貴方のせい。

 

 だから、私に触れてこないで。


 気持ち悪いだけ。


 不愉快なだけ。


 貴方が中途半端に私を愛するから私はそれに応えることさえできやしない。


 貴方が何に惹かれて私を縛り付けるのかがわからない。


 理由も告げずに押し付けられたって、それはただの迷惑でしかない。


 理由を述べられてもきっと私は一生理解しないのでしょうけど。


 愛して欲しいなら私が私じゃなくなるまで待っていなさい。


 もっとも、私が死んでもそんな日は来ないでしょうけど。







 24時間失恋。


 泣いて縋って引き止めたってダメ。


 失恋バイバイ。


 失恋万歳。


 失恋最高。


 あら、失礼さよなら。


 好きだって笑ってみせてもだめ。


 好きだと告げていいなんて言ってないわ。


 さよならバイバイ。


 その泣き顔くらいなら最高だと思わなくもないわ。


 少しも情がわかないけども。


 好きだと思えない。


 いつまでも傍に居たって。


 貴方はいつまでもひとりぼっちのまま。


 寂しい?


 つらい?


 悲しい?


 私は貴方を愛さない。


 愛せない。


 24時間永遠に。


 声をだして泣いてもだめ。 


 愛してなんかやらないわ。


 私をきつく抱きしめてもだめ。


 顔を痛みに歪めるだけで終わるわ。


 無理に抱いたってだめ。


 無効化無効化。


 私の無関心をひどくするばかりよ。


 私の神経を逆撫でするばかりよ。







 病んだ外の景色。


 無色透明の窓ガラス。


 グラスを割って、破片でこの喉を引き裂いて。


 愛を紡ぐ声なんて初めからありはしなかった。


 貴方が欲しいと望んだものを私は与えようとしなかった。


 愛して欲しいなんて、要求した覚えはなくってよ?


 愛なんて要らない。


 そんなものなくても人の身体は動くのだから。


 愛を紡ぐ唇は嘘つきばかり。


 それで私を騙して堕落させるつもりなのでしょう?


 私はあなたの様にはなりたくない。


 病んだ瞳に映りこむ貴方の姿は滑稽すぎた。


 憐れみを誘うような情けなさで私に縋り付いて、助けを求める。


 そうやって私を羽交い絞めにして身の自由を奪ったとしても。


 私は永遠に貴方のものにはならない。


 束縛してこの虚ろな身体を抱いてればいいわ。


 いつかは腐ってしまうもの。


 貴方が愛した私だって。


 所詮、たかが百年ばかりしか生きられない人間なのだから。


 私の身体が腐るほどの時が過ぎたとしても、きっと私は貴方を愛さない。


 ずっと永遠に。


 そう、24時間どれだけ一緒に居たって。


 貴方はひとりぼっちのまま。


 貴方の求めた私は貴方を振り返らない。


 痛みを誘うような愛ばかり注がれても私が傷むだけ。

 

 滑稽すぎて笑いさえもう零れやしない。


 なんて可哀想な人なのでしょう。


 私に愛されたくて愛されたくて堪らないのに。


 そんな私を愛して愛して愛しすぎて今にも狂ってしまいそうな貴方なのに。


 そんな私にまったく愛されないなんて。


 なんてなんて悲しい人なのかしら。  


 24時間さよならバイバイ。


 私のせいで失恋だらけな貴方に。


 貴方のせいで傷だらけな私から。


 24時間失恋バイバイ。





 「もう終わりにしましょう」


 そうして私は初めて私の笑顔を貴方に与えて。


 貴方をきつく笑顔で突き放したの。


 さよならバイバイ。


 24時間失恋よ。

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