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縛るもの

 『言葉。』


 それは時に人を傷付ける刃物。


 それは時に人を強くする魔法。


 どちらにしろ、人に多少の影響を与えるもの。


 人が人と繋がっている為に駆使する道具、手段。


 人の心を縛るのに一番適している視えぬ糸。


 貴方はそれを意識して言葉という鎖を使ったことがありますか?


 意識して使う人は、意識して使った人はきっと少ないんだと思う。


 無意識が知っていながらにして、なんとなくこうなると解っていながらにして、けど、それを認識していない意識が使う…ことならあるかもしれない。


 だけど、きっと人はそれが他人を縛り付けるものとして放つことはないのだと思う。


 きわめて稀、だ。


 言葉は己との駆け引きだ。


 よく考えて使わないと泣きを見ることになる。


 言葉は他人との駆け引きだ。


 よく考えて言葉の選択をしないと痛い目を見ることになる。


 いわば細い綱をつま先で渡っている状態だ。


 バランスを崩せば転落。


 調和出来なければ真っ暗だ。


 言葉は心を蝕む。


 言葉は己を成立させる。


 言葉は世界を振動させる。


 言葉は弱き人がいつも装備している武器だ。


 人を生かす事もできる最高の。


 人が知らない人だけの能力。


 それが『言葉』。














 ある人は言った。

 

 約束はどうして交わされるのかと問うた僕に言った。


 『約束は守るためにあるのですか?』


 『約束は破るためにするのですか?』


 『約束は人を悲しくさせるために交わすのですか?』


 『約束は人を待たすためにするものなのですか?』


 『約束は人を喜ばせるために与えるものですか?』


 尽きなかった僕の質問をある人は難なく答えた。


 約束は心を通わした者同士が交わす契りのこと、だと。


 それは裏切ることを好としない…と。


 だから、約束は交わすものではないと。


 心がひどく痛むから…――とも言った。


 『では、約束は人を生かすものではないのですか?殺すものなのですか?』


 すると、ある人は困ったふうに笑った。


 『約束は人を縛るためにあるのさ』


 そう言った人も約束に縛られていた。


 言葉と言う音に乗せられて交わした約束に――。


 いつか僕も約束を交わしたのなら、あんなふうに苦しむことになるのだろうか。


 …それも一興かも知れないな。

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