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花=愛に素直な種族なのです。

 私に思いやりの水を与えてください。

 

 そしたら、きっと私は貴方だけのために美しく可憐に咲いてみせますから。


 貴方のために生きます。


 貴方に私の全てを捧げましょう。


 決して負担にはなりません。


 だから、そしたら貴方は笑って私の最期を看取ってください。


 ただお傍において頂ければそれでいいのです。


 それが私の幸福へと繋がるでしょうから。


 ただ貴方のその笑顔のために私は存在しているのですから。


 だって、この生命は貴方が育ててくれたものですから。


 貴方が見つけてくれた、私というの名の生命ですから。


 だから、私は貴方の愛に忠実にお応えしてみせましょう。












 咲いて咲いて


 舞って舞って


 散って散って


 消えて消えて


 そして、芽吹いて。


 またお会い致しましょう。














 私に愛を下さい。


 一滴の優しい愛を。


 そうしたら、もう何も望みませんから。


 私に勇気を下さい。


 一握り分だけの勇気を。


 そうしたら、きっとどんな事だって出来てしまうでしょうから。


 私に優しさを下さい。


 ほんの少しの優しさを。


 そうしたら、きっとどんな事にだって耐えられるでしょうから。


 私に私にどうかどうか溢れんばかりのありとあらゆる想いを下さい。


 悲しみも憐れみも優しさも喜びも楽しさも好意も嫌悪も怒りも憎悪すらも。


 私に全て託してください。


 そうしたら、きっと私はそれだけで幸せに咲けるでしょうから。


 私に私に貴方という存在の証を刻み付けてください。


 そうしたら、私は貴方のためだけの美しい花を咲かせられるでしょうから。


 私をかたどるのは全て貴方の愛情なのです。

 

 貴方が愛してくれた分だけ、私は奇麗になれるでしょう。


 この身を以って、この一生を以ってして私は貴方の愛に従順に応えるのでしょう。

 

 貴方が愛してくれるから、私も貴方を愛せるのです。   

 

 愛してます、私を愛してくれる人。


 貴方が私を見放さない限り、私は貴方を絶対に裏切ることなく、傍で貴方を癒すでしょう。

 

 だから、一番目の私が消えた後も私のことを愛していて下さい。


 そうしたら、きっと二番目の私が貴方の愛に報いるでしょう。


 私の愛した私はまた貴方の愛に応えて美しくなるでしょう。


 幸せそうに貴方に笑いかけるでしょう。


 だから、私を愛して下さい。


 貴方の愛がなければ私は生きられないのですから。









 散り際に残るは種。


 その繰り返しの中で私は生まれて、私は受け継がれていくのです。


 私を愛してくれた貴方が悲しまないように次の生命の源を残していきましょう。


 貴方が私のことを忘れないでいてくれたなら、そしたらきっと私はまた貴方のために花を咲かせられるでしょう。


 美しい花を貴方にあげます。


 ご覧にいれてみせましょう。


 愛しい貴方に。


 だから、どうか笑ってくださいな。


 私を愛してくれる優しい人よ。

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