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風流

 空を見上げる。


 午後11時の夜空。


 真っ暗闇の外の景色。


 都会とは違う自然なままの空。


 ネオンの光なんてないよ。


 ちらちらと僅かな街灯だけさ。


 外を彩るのは、人が作り出した光はここではこれくらいさ。


 田舎だから。


 真っ暗。


 私は空を見上げる。


 部屋の開け放たれた窓から。


 1人の夜。


 静かでとても落ち着くけれど、そのどこかに虚しさが残る。


 わびしい。


 昼間はじわじわとした暑さに死にそうになるが、夜中はとても涼しい。


 何たる不思議。


 だから、冷房はつけずともこうして窓を開けておけばそれだけでほら…十分なのさ。


 作り出されたものではない自然の風はとても心地良く私を癒す。


 優しい風。


 肌に優しい風。


 じっとりした部屋をひんやりと冷ましてゆくよ。


 午後11時半。


 しぃ…んと静まりかえる外。


 徐々に近所の家の明かりも消えてゆく。


 嗚呼…本格的に夜だ。


 そんな中、私はいまだ涼みにふける。


 とても心地の好い風を無下にはできぬのだ。


 団扇を片手に庭を眺める。


 午後11半にしてようやく私の前に姿を現した月明かりだけが照らす庭は少し幻想的だ。


 私のいる部屋は電気がつけられていない。


 節約…という訳でもないが、なんとなく、今はそんな気分だ。


 そう…風流を味わいたいのだ。


 吟味する。


 この今の空間だけを私は見つめて。


 まるでこの世界の時が止まってしまったような錯覚を引き起こす。


 けれど、風は吹いている。


 だから地球はまだ生きているから時は動いているのだ。


 静か過ぎてそんな馬鹿なことを思ってしまう。


 けれど…嗚呼。


 本当にこの世界に私ただ1人が取り残されたようで少し…怖い。


 風鈴が鳴る。


 チリー…ンと、静かに己の存在を私に示す。


 それに対して、はいはい判ってますよと返してしまうのは私も大概年寄りなせいだろうか。


 だとしたらとても心穏やかな年寄りになったものだと思う。


 さて…あともう少しだけこの時間を楽しんでから寝るとしましょうかね…。















 あー…年寄りは腰が重い。





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