オオカミ少年≠嘘をつく子供
ふふふ…
――みんなみんなみーんな、大っ嫌いだよ!――
そう言って笑うと、振り返った先の君は泣いていた。
――君には私のことも映らないのね――
『可哀そうな人』
そう呟いて君はクスッと口元に笑みをたたえた。
その瞬間、ぞくっ…と背筋を冷たいものが駆け下りた。
貫かれた、僕の度肝。
ねぇ、ねぇ…君も僕と同じじゃないか。
そして、僕もクスッと微笑んだ。
――君には僕のことも映らないんだね――
『可哀そうな人』
そして、僕は泣いた。
嘘をついた。
君にもみんなにも。
たくさんの嘘をついた。
優越感に浸っていた。
その快感に打ち震えていた。
嘘をつくのは気持ちよくはなかったけれど。
そのとき感じた背徳感が、たまらなく気持ちよかった。
クセになりそう…。
みんなみんな、知らないんだ。
嘘をつくのが悪いことだと思ってるから、この快感を知らないんだ。
けれど、僕だってそれが悪いことだって思ってるから感じられる快楽なんだけどね。
あーぁ…勿体無い。
けれど、誰にも教えないんだ。
独り占め。
僕だけ知ってればいいんだ。
それが僕の嘘だって知らないときのみんなの顔。
それが真実だって信じきってるあの顔が。
しばらくして嘘だって気づいたときの、あの裏切ったなって言わんばかりの表情を見るのが好き。
たまらなくぞくぞくするよ。
そんな僕の頭が、とてつもなくイかれてるっていうのを知ってる。
僕は知ってるよ。
ちゃんと自覚してるんだ。
けれど、やめられないよ。
もう最高さ。
世界に1人。
君はひーとり。
いつだってひーとり。
今日だってひーとり。
明日だってひーとり。
明後日だってひーとり。
ずっとずっとひーとり。
嘘つきだから嫌われた。
嘘に酔いしれたから嫌われた。
みんなみんなきーらい。
…違うでしょ?
みんなみんなきーらい。
けど、それは君がみんなを嫌いなんじゃなくて。
君の事をみんなが嫌いって意味だよ。
嘘つきはきーらい。
嘘しか言わないから。
何も真実なんて伝えてくれないもの。
みんなみんなきーらい。
嘘をつく君がきーらい。
みんなみんな泣いた。
みんなみんな、君が泣かせた。
謝っても許さない。
どうせそれさえも嘘なんだろ?
取り返しのつかなくなった世界に君はひーとり。
孤独を噛み締めて生きる。
嘘つきの対価さ。
嘘に快楽を求めた君は一人ぼっちになったんだよ。
それを自分自身で自覚してるなんて。
それでもやめられないだなんて。
もう最高だね。
けれど、嘘をつきすぎた嘘つきは、もう嘘をつけなくなった。
だって、周りに人がもう誰も居ないから。
嘘つきが嘘をつけなくなったら、あとはもう孤独しか残ってないのさ。
『可哀そうな人』




