色チェンジ。
私はイロのなかで生きている。
たくさんのイロのなかで…そう、私は生きている。
与えられた色。
私が背負う色。
ねぇ、それって私の色?
私だけの?
私に合った、色?
宿命だとか運命だとか…そんなものに振り回されるのは正直言って馬鹿らしい。
アホくさい。
決め付けられた色に束縛されて心をかき乱すのも…なんだか嘲笑われているようで気に食わない。
だから、私はいつもドライ。
全て見下して見るわ。
客観的に。
…生意気な私。
大っ嫌いよ。
あの色も…。
見ただけですぐ私だって判るもの。
私は黒が好き。
暗闇にまぎれて生きる者になりたい。
光は私には眩しすぎるから。
だって、私はドライだから。
目立ちたくはないのよ。
白い色でもいいかなって思うの。
白。
白の中の白の本当に真っ白で誰も気づかないくらい白い色を背負った私。
素敵だわ。
けれど、唯一の問題は白は汚れが目立つ…これ。
だから、私は黒がいいの。
多少の汚れなら判らないでしょ。
だから、好きよ。
私が紛れ込んでも判りはしないわ。
けれど、現実は違うわ。
そんなこと、本当は考えるだけ無駄なのにね。
私の色はもう決められてあるんだから…。
「ねぇ、ちょっと。私のこの色どうにかならないの?」
(黒)「いいやないか、その色。いかにも女って感じがして」
「ピンクはたしかにいいわよ。けど、戦隊ものでそれってなんかイラってくるのよ」
(白)「えー、じゃあ、俺はどうするんだよ?」
「何?白が気に入らないなら色々な色をごちゃ混ぜにしたペンキでもかけてあげましょうか?」
(白)「…遠慮しとくよ。俺、白大好きだもん。うん…汚れやすくてさ」
「汚れやすいくせにあんた存在感薄いわよねー。白だからかな、やっぱ。色薄いと存在も薄くなるの?…私、黒がいいー。ねぇ、そこのでっかいの!私のピンクと換えなさいよ」
(黒)「えっ!いややわ。ピンク、だせーもん。」
「…あんたもダサいわよ。大体戦隊ものってなんでカラフル全身タイツなの?」
(黒)「そういえばそうだよなぁ…けど、もう相場が決まってしまっとるし。ヒーローは素顔では戦えないのさっ!」
「カッコ悪。」
(白)「ピンクがそんなに嫌なら赤とか青とか黄色とか…緑もあるけど、それはだめなの?」
「私は黒がいいの!……だって他の色、膨張色じゃない…」
(白)「君、また太ったんだね…」
(黒)「んなっ!そうかぃ…それでな。スリムに見える黒がいいと…けど、それって意味ないやろ。太ったんなら減量やで。誤魔化しは更なる不幸を呼ぶんやでっ!」
(白)「でもさ、君はそれほど太くないじゃん。いたって普通だよ?むしろやせてるほうだと思うけど」
「…もうすぐおなか出てくるのよ…」
(白)「え…それって…」
(黒)「お前…いつの間に…」
妊娠したってことよ、ばか。
父親は敵の親玉よ。
何か文句ある?
(黒)「…黒、譲ってやるよ。俺、ピンクでええから」
(白)「幸せにな…」