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私という人

 大好きだった匂い。


 消えていく後姿。


 遠ざかる足音に。


 冷めていく温もり。


 聞こえていた騒音に、いちいち心を揺さぶられるな。


 私は私。


 それだけでいいの。


 それだけでいいはずなの。


 それだけでよかったはずなの。


 それなのに。


 私は私?


 誰が私?


 私は誰?


 大好きだった香り。


 見えなくなっていく後姿。


 遠ざかる話し声に。


 なくなっていく体温。


 聞こえていた騒音に、いちいち心を揺さぶられる。


 ねぇ、ねぇ…。


 私、泣いていいの?


 私、泣いているの?


 私、泣きたいの?


 零れていく涙が私を混乱させる。


 けれど、それによって私が明確になる。


 あやふやだった私が他とくっきりと境界線を引かれる。


 私は私。


 それでいいの。


 それがいいの。


 そうでいたいの。


 それが当たり前なの。


 他とは違う。


 私はわかる。


 私が私であるという事を私はちゃんと知っている。


 この声も、このカラダも、この涙も、この足音も、この影も、この匂いも、この体温も。


 私だけのもの。


 私に与えられたもの。


 私の所有できるもの。


 他の誰も私にはなれない。


 他の誰かに私はなれない。


 どんなに姿形を似せて作っても…。


 同じ遺伝子を持っていても…。


 私は私だけ。


 私だけが私。


 私はこの世にただ1人よ。


 ただのひとりしか存在しないわ。


 私は私。


 私は私でずっと生きるのよ。


 私のままで私であることを貫いて。


 それが私なの。


 私が私であるということはそういうことなの。

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