地蔵と半分こ
お地蔵さまからのお願いです。
お供え物は勝手に食べないで欲しいなぁ〜。
お地蔵さまもおなか減っちゃうんだからさ。
そのへん気をつけてね!
って言ったのに、また盗られてしまった。
お地蔵さま、言ったよね?
おなかすくから横からとってかないでって、言ったよね?
あ〜ぁ…もう…。
最近は昔と違ってお地蔵さまにお供えものしてくれる人、余りいないんだよ?
貴重なの。
お地蔵さま、体重くて動けないからなかなか食べ物確保できないの。
…じゃあ、食べないでダイエットすればいいって?
ダイエットしてお地蔵さまの体が軽くなるかって…なるわけないじゃん!
生まれたときからこれだよ?
お地蔵さまが食べるからこんなんになったんじゃないからねっ!
そこらへんご理解頼みます。
…って、聞いてるの?
ねぇ!?
聞いてるならダイエット貢献〜なんて言ってお地蔵さまのお供え物食べないでってばっ!!
お地蔵さまからのお願いです。
お供え物は勝手に食べないで欲しいなぁ〜。
お地蔵さまもおなか減っちゃうんだからさ。
そのへん気をつけてね!
ある日、喋れるはずのないお地蔵さまが自分を見てそう言った。
穏やかに笑った顔のままで。
お供えしてあったみかんを食べていたら、そんなふうに言われた。
…もしかして最近毎日のようにここに供えられていた食べ物を食べてくから、その恨みの念で喋れるようになったんだろうか?
恐ろしい…。
これぞまさに食べ物の恨み!
そういや食べ物の恨みは深いって言うけど、私祟られるのか?
…このお地蔵さまに?
ぷっと笑いがもれてしまった。
おやおや…いけない、いけない。
もっと恨みを買ってしまうではないか。
お地蔵さま、食べ物とってかないでって言ってる。
あれ…怒ってるんだよね?
顔、笑ってるけど内心怒ってるんだよね?
…お地蔵さまだから仕方ないのだな。
怒った顔ができないんだな。
お可哀そうに…って違う。
えー…なになに?
体が重くてなかなか食べ物確保できないからとらないでって?
じゃあ、ダイエットしよう!
それだったら好都合じゃない!
まさに一石二鳥…そうでしょ。
私の胃も満たされてお地蔵さまもその見るからに重そうなボディの軽減ができるし…最高じゃない?
…えー…そういう問題じゃないって?
お地蔵さまの体はそれで軽くならないって…元々そうなってるんだよって?
ん〜じゃあ、今日の分は私の。
次はお地蔵さまに譲ってあげるよ♪
私が食べるのには変わりはないけど、ま…これで解決ってことで。
もぉケチケチ言わないのッ!
そんな顔してるんだから心ももっと寛容じゃなきゃね☆
…ここに供え物してくれるおばちゃんの持ってくるものって全部美味しいんだもん。
食べたくなるのも仕方がないよって許してちょんヨ♪
ね、ねっ。
…『ちょんヨ』が古いよって突っこまないでよ。
お地蔵さまぁぁ…。