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一秒前と一秒後

未来。


それはいつか必ずやってくるもの。


一秒先だってそれは確かな未来の世界。


いつか途切れるそれは人が悲しみに暮れても、絶望に満ちても絶対にやってくる。


約束された時をリッセトしにやってくる。


何かが始まるのも、終わりが来るのも全て未来があるから。


過去と未来は繋がれているから人は生きている。


振り返る思い出をくれる。


生きた証をくれる。


誰しも持っている可能性が生きる世界。


何も視えなくても判らなくても、手探りであっても進もうとすれば切り開ける。


そこに必ずあるものが未来。


目に映らなくとも、触ることが出来なくとも、その肌でふとしたきっかけでとても身近に感じられる。


ほら、そこにあるでしょ?


感じるでしょ、人を伝って。


空気を伝って、風を伝って…――。


感じようと思えばいつだってそれは感じられるんだよ。


すぐ側でいつも控えている。


時を紡いでずっと永久にあり続ける。


たとえ人が世界から消えて、何も無くなったとしても時が流れる限り未来は無限大の可能性を秘めて、はじめるときを静かに待っている。


たとえ僕がこの世界から消えてしまっても世界に、人々に明日――未来が来るように。


永遠に終わらないそれは無限の可能性。










 






過去。


それは何のためにあるの?


人が生きるうえで常に付きまとうもの。


それが過去。


一秒前だってそれは確かな過去になっている。


可笑しいよね。


全然実感無いのに、それは確かに過去として世界に刻まれているんだ。


流れた時間だから、もう二度と戻ってはこないんだ。


取り戻せないんだ、どんなに悔やんでも。


どんなに欲しても。


もし一秒前に死んだ人がいるとしよう。


その人は一秒前まで確かに生きていて、自我を持って動ける体を所有していた。


だけど、一秒後にはもうそこには居ないんだ。


どこかへ消えちゃってる。


取り戻せないんだ。


終わってしまったことだから。


たった一秒だって命取りなんだよ。


一秒前までは生きていた。


一秒後には死んでいた。


それってほんの少しの違いで世界が変わったってことなんだ。


そう思うと怖いな。


人は未来を知ることが出来ない。


だから、過去に起きたことを嫌なことを一秒先の未来で悔やむ。


過去を一度も悔やまなかった人なんて居ないはずだ。


きっと、一度は悔やんでる。


あの時ああしておけばよかったとか、あの時こうしていれば…とか、あるはずだ。


それが人を苦しめていく。


では、過去は人を苛むものなのか?


それは少し違うと思う。


過去は確かに取り返しがつかないから、くよくよとそのことを引きずって人を立ち直れなくさせるかもしれない。


だけど、それらを乗り越えれば人は強くなれるんだ。


また一つ成長するんだ。


嫌なことであればあるほど、辛いことであればあるほど、忘れずに応用していくんだ。


もう二度と同じことを繰り返さないためにとか、そういうことは少々無理があるよね。


たとえば人の死。


人の死はどうしたって必ず来る。


それは生きている中で、何度か経験することだろう。


止めることはできないだろう、繰り返さないなんて事は出来ないだろう。


だけど、応用は出来るよね。


同じ過ちを犯したくないなら、ちゃんと出来ることをしよう。


したいことをその人が居るうちに、居てくれるうちに止められない死だと判ったのなら、思い残さずやりたいことを徹底的にやる。


未練なんて残らないくらい…。


一秒先だって何が起こるかわからないんだ。


取り戻せなくなったって、悔やまないくらい楽しい思い出を作っておけば良いんだ。


悔やまないように過去を応用して生きればいいんだ。


それが過去が在る理由の全てだとは言わないけれど、少なくとも僕は悔やむ度に応用して上手に生きたいんだ。


過去にあるのは辛い思い出ばかりじゃない。


楽しい思い出だって上手に応用すれば、未来にプラスされるかもしれない。


楽しい思い出だって人を強くする。


不安なとき、振り返れば安心させてくれる。


寂しいとき、思い出せば心を暖かくしてくるれでしょ。


楽しい――明るい思い出は人の不の部分を取り除いて、たとえそれが一時的なものだとしても勇気を与えてくれる。


それが過去。


結局のところ、過去は人の成長を促す風のようもの…なのかもしれない。


毎日の積み重ねが僕等を大きくする。

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