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そのイロ

 目を閉じるたびに瞼の裏に広がる暗闇。


 瞼を開いて様々な色に溢れた世界を眺めているとき、それはどこに隠れているのだと、問い詰めたくなるような濃い…ねっとりとした暗闇。


 漆黒が視界の詮索を防ぐ。


 これ以上を知る必要はないと、知らずともよいと…干渉されるのを拒んで、目隠しを仕掛ける。


 ……何をそれほどに隠しがっている?


 ……何にそれほどまでに怯えている?


 目隠しをする手をゆっくりと解いて開けた視界に、姿を現す。


 醜い心のイロを。


 卑しい人のイロを。


 誰にも見られたくないのだと、知られたくないのだと。


 顔を俯かせて、下ばかりを見て。


 その時点でもう駄目じゃないかって、呆れた。


 瞼を閉じて見える色。


 それが黒なら、それはそれでいいのさ。


 別に卑しいものじゃない。


 それが普通なのさ。


 それが必要なのさ。


 瞼を開いているときは、明るい色に満ち溢れすぎていいるから…疲れるんだよって。


 だから、瞼の裏に広がるのは…せめて瞼の裏の中だけは黒くていいのさ。


 暗くていいのさ。


 明るい色ばかり見つめていると目が眩んできて足元さえままならくなってくるから。


 それでいいのさ。


 暗闇の中で今自分がどこに立っているのかが確認できたのなら、それで…。


 けれど、それも嫌だというのなら……解った。


 それ以上は詮索しない。


 黙って目隠しをされていてあげるから、ねぇ…お願いだからこの瞼の裏から逃げ出さないでね?


 人には静かなイロも欲しいんだから。


 騒がしい世界ばかりじゃ、なかなか肩の荷も下ろせないしね。


 それが必要だという証に、ちゃんとしたスペースも用意されてるんだしさ。

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