表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

英雄

作者: 黒猫ぺろり

ある村に「英雄(えいゆう)」と呼ばれる勇敢な青年がいた。


青年は村を襲う賊を成敗したり、

災害から村を救っていた。


最初は衝動的に誰かがやらねば被害者が出る。

ならば自分がやるしか無いという己の「正義」に基づいて行動していた。


青年にとって「英雄」なんて言葉はどうでも良かった。

すべては皆の為に、皆の安全な暮らしを維持するために「正義」を貫き通した。


ただそれだけだったのだが、結果として青年は村の「英雄」として

崇められることになった。


それから数年、青年は己の「正義」を信じて

「英雄」として村人たちに「救済」を()()続けた。


しかし、ある時、青年は気づいたのだ自分は何もしない村人達に

「利用」されているだけではないかと…。


「英雄」などというもっともらしい言葉で自分を崇める振りをして

「利用」しているだけではないかと…。


大人と言われる年齢になった青年は村の「支配者」となった。

何もしない村人たちを「救済」する代わりに

見返りを求め「権力」と己の「力」に酔いしれていた。


当然、村人たちは困惑した。なかには刃向かって来る者もいたが、

すべてを「権力」と「力」でねじ伏せた。


いつしか彼は近隣の村を賊たちと結託して襲い、支配下に治めていった。

そして、彼は支配した村を統合して「国」を作ることを決意した。


刃向かえば、抹殺されると知った支配下の村人達は従うしかなかった…。

遂に彼は「国王」となり絶大なる「権力」を得た。


「力」こそが全てだった。彼がこうなったのは

「何もしない村人達」への「復讐」でもあった。


どうして自分だけが辛い目に合わねばならないのか

という気持ちが「復讐心」を産んだのだった。


数年後「独裁者」となった彼は

己の「正義」を信じて疑わない「青年」に暗殺された。


彼は息を引き取る直前に勇敢な「青年」にこう呟いた。


「お前にも…いつか…私の気持ちが分かる日が…必ず…来るだろう…」


(了)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ