ざわめき
うまくいかないなぁ。頭の中では過程から結果まで組みあがってるのにどうしてなんだろうか。そういえばの中で見えている作業する手というのは、本当に僕の手なんだろうか。そういわれてみると、実際の手よりも爪がきれいに整っている気がする。おい見てみろよ。俺の爪なんて奥まで油がしみ込んで地層みたいになってるぜ。それに比べりゃ洗ってりゃ落ちる手前の爪なんて十分に整っているよ。俺がお前の時分には、ただ波に飲まれてふらふらしてたわけだから、お前が俺くらいになった頃には山脈みたいな経験になってるよ。波?あれは波だったよ。俺の意思なんてものはなくて、抜け出すことを許されないうねりみたいなものが確かにあった。別にだれも強制とは言ってないのに。諸君、明日はいよいよ決起の日だ。我々のイデオロギーはこの全体主義の監獄を打破するこの上ない薪となるのだ。一旦、我々の灯したデモクラシーの蛍火は瞬く間に燃え広がり、劫火となってこの帝国的な支配を焼き尽くすのである。事をなした後、戸惑うものも・・・。え、まだやってないのかよ?そんなこと言ったって、できる雰囲気じゃないだろ、俺だって終活にとっとと取り掛かりたいんだけどな。