新年のご挨拶
「――……あ、あー。テス、テス、マイクテスト、マイクオーケー」
「雅稀、座布団ここでいい?」
「あ、樒さんありがとー」
「殿っ、私は何をすればいいですか?」
「あー、琳は……特にないや。先座っといて」
「えぇっ!? 私だけ何もしなくていいのですか!?」
「だってお前が持てるものって、みかん一個くらいだろ? それじゃ、いてもいなくても同じだし」
「ひ、酷いですぅっ! 私そんなに非力じゃないですよ~っ!」
「うっせぇ。もうちょっとだからあっちいってろ」
「あ、雅稀くん、着物にホコリついてるわよ? さっき棚から座布団下ろした時についたのかな?」
「へっ? あ、マリエさん。ありがとうございます」
「ウィ~っ、馬子にも衣装ってか~ぁ? ヒック、雅稀、黒の着物もなかなか似合ってるんじゃない~ぃ?」
「店長は始める前から飲んでんじゃねぇよ! 新年早々出来上がりすぎだ!」
「そ~んなこといってもさ~ぁ、正月は食って飲んでパァ~っとやるもんでしょ~。そのための正月休みだろ~ぅ?」
「店長、珍しく年末に仕事片付けて今日のために色々用意していたみたいなの。この事務所をここまで片付けて掃除したのだって店長なのよ。だから少しくらい許してあげて?」
「マリエさん……。でも、これは少し飲み過ぎなんじゃ……」
「た、確かにね……後でどうにかするわ……」
「お願いします……」
「ねーアンタ、まだ用意できてないの? もうカメラの設置はとっくに終わってるんですけど?」
「マサキ、遅いよ~」
「叶実に出雲か。いつもの服装に見慣れてるせいか、ちゃんとした着物が新鮮だな」
「なっ、なによ! いきなり変なこと言うんじゃないわよっ!」
「アハハ、カナミ、顔赤くなってるさ~。着物の色と一体になりそうだね」
「うっさい出雲!」
「雅稀ーまだー? 早く終わらせて羊羹食べたいのだけれどー」
「樒さん、さっき食べたばっかりだよね?」
「でもまた食べたいのー。ね、琳?」
「えっ? あ、はい。私もおせちと熱いお茶が飲みたいです!」
「なんで幽霊たちが腹減らして待ってるんだよ。おかしいだろ……」
「雅稀~ぃ、早く始めてくれよ~ぅ。ヒック」
「うわっ! 酒くせぇ! 離れろって!」
「はいはい、店長はこっちです。さっさと酒瓶置いてそこに座ってください」
「あ、マリエちゃん、痛くしないでね~ぇ?」
「足痺れてきたわ……早く始めなさいよっ!」
「殿っ! 準備できました!」
「あーもうっ! みんな自由すぎだろ! もっとこう、正月なんだから厳かに――」
「『雅稀!!』」
「殿っ!!」
「あーはいはい、わかりましたよ、やればいいんでしょやればっ!!」
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「えー、先ずは明けましておめでとうございます。「ユーレイの私が憑いていますっ!」で、一応主人公としてそれなりに頑張ってます、家城雅稀です。新年早々、俺達の番外編に来てくださりありがとうございます」
「雅稀~ぃ、堅っ苦しいぞ~ぅ。いつも通りにもっと気楽にやれよ~ぅ」
「店長は黙っててください」
「い、いひゃひひひ……マリエちゃん、相変わらず厳しいね~ぇ」
「……店長の戯言は置いといて。投稿開始から約八か月が経ちましたが、途中更新が途絶えたりサブタイトルが変わったりと、色々試行錯誤しながらなんとかここまでやってこれました。そのことについて改めて感謝申し上げます。日頃から応援してくださりありがとうございます」
「そもそもこのお話は、作者が寝ている時に偶然見た夢が元ネタになっているわ。最初の三話くらいは夢で見た通りの内容で、その後は完全に自作で作っているのよ」
「ウチの作者、基本的に長続きしないタチなのによくここまで続いているのさ~」
「一度更新止めてたけどな」
「確か、パソコンの買い替え時にデータの移行に失敗して、書き溜めておいたものが飛んじゃったんでしょ?」
「他にも書いてるやつがあったんだけど、そのほとんどが電脳世界の藻屑となって消えたから相当ショックだったらしいな」
「でも、そこからよく立ち直ったさ~」
「作者曰く、『折角軌道に乗り始めてて読者も増えて来たんだから、そう簡単にやめたくない』だってよ」
「へぇ~、ウチの作者もやるときはやるのね」
「まあ、そんなわけで十月位からまた書き始めて、二~三日に一話のペースで投稿するようになり、気が付けば総話数三十三、文字数十七万を超えてました」
「文庫にすると一冊と半分くらいよね」
「原稿用紙への換算は……したくないさ……」
「ぶっちゃけ、作者は本とか全く読まない人で、活字は苦手な部類なんです。しかし、よくノベルゲームやRPG等で文章を読み解く経験はそこそこしてきました。なのでその経験を応用して自分の物語をつくろうと考えたのが、そもそもなろうを始めたきっかけでした」
「短編集にある『Prologue』には、初めて作品を投稿するまでの経緯が簡単に書かれているわ。気になるなら覗いてみるといいわよ」
「そうそう、最初は短編のみだったんだよな。それから長編物書こうとちょろちょろやってたら、ある日突然俺達が作者の夢で生まれたってわけだ」
「なんとも不思議な縁さ~」
「その、最初に書いてたやつはどうなったの?」
「あー、ネタが完全に思いつかなくなって更新を止めてるらしい。また機会があったら再開するって言ってるけど、一度やる気を無くしたら次に更新されるのは一体何年後になるやら……」
「もし、この中でその幻の小説の存在を知っている人がいたら先に言っておくわね。多分、この先更新されることは限りなくゼロに近いと思うわ。待ち望んでいてくれた人達には、雅稀が代表で謝罪するわね」
「なんで俺なんだよ! 俺ら関係ねーだろ!」
「一応、作品代表で来てるんだからやっときなさいよ! 言うなれば、私達の先輩にあたるんだから」
「あ、あー……確かに。という訳で、待っていてくれた方々、大変申し訳ありません」
『いつかまたどこかでな!』
『暫くのお別れです。もし、もしも復活を望む声が多ければ、私達に届くかもしれません。その時が来るまで、さようなら……』
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「――……えっ? 今だれか喋ったか?」
「ん? 私じゃ無いわよ?」
「オイラでもないさ~」
「じゃあ、今の声は何だったんだろう……」
「そんなことより、次行きましょ!」
「あ、あぁ……。それじゃ、今までのお話の振り返りを店長よろしく」
「ウィ~っ、任されました~ぁ。ヒック」
「店長っ! あっ、もーっ! 飲んでないで仕事してくださいよっ!」
「仕事は去年に終わらせましたよ~っと」
「……はぁ、仕方ないわね。私が代わりにやるわ。雅稀くん、原稿ちょうだい」
「あ、ハイ、どうぞ」
「えーっと、先ず、最初の頃は一話につき三千~五千文字程度にして読みやすく書いていたのよね。これは作者が長文が苦手で、あとで読み返すときにも辛くならないようにって意味もあったのよ」
「作者、本当に小説書くの向いてないな……」
「まぁ、そう言わずに。それで、書いているうちにいつの間にか五千を超え、気が付けば八千文字近くにまで行くことも増えてきたわね」
「最初の頃に比べて、背景の描写やキャラクターの心情を細かく書くように意識し始めてから、必然的に増えてしまったんですね」
「その分、読み返したり修正をする際に読む量が多くなって萎えることもあったそうよ」
「流石、活字が苦手な作者だな……」
「でも最近はそれにも慣れてきて、文字数も五千~七千文字以上がアベレージになりつつあるのよ。これは書くことに慣れてきて内容も濃くなってきたからなの」
「最近は展開こそ遅いものの、描写や心情がかなり細かくなってきていますもんね」
「そういったところで私達の動きや心情をより読み取ってもらえていれば幸いだわ」
「……でも、最近俺たちの出番無いよな~ぁ」
「うっ……」
「最後に出たのって、雅稀が釣りに行ったときだったか~?」
「あれ以来、十話近く進んでいるのに出番が一向に回ってこない……」
「マ、マリエさんが落ち込むことじゃないですよ! きっと作者にも考えがあってのことでしょうし、ねっ? 店長も何か言ってくれよ!」
「ん~、俺ら脇役だしなぁ~、こればっかりはどうしようもないな! ワハハハハ!」
「うぅっ……負けないもんっ! コーヒー飲んでくるっ!」
「あっ! マリエさんっ! まだ説明終わってませんよーっ!」
「んじゃ、こっからは俺がやるよ~」
「店長、ちゃんとできんのか?」
「万事屋たるもの、ここぞという時にはちゃんと仕事ができないとな~ぁ。ヒック」
「……大丈夫かなぁ」
「さーて、と。序盤はほのぼのとした日常が主で、途中から雅稀のサバイバル生活編が始まるな~。お前、本当に黒鯛食ったのか~?」
「あー、あれは美味かったぞ。特に味噌汁なんか出汁が出てて最高だったな」
「マジかぁ~、俺はハズレだったのになぁ……」
「因みに、作中に出てくるノビルや明日葉は作者の実家近くに生えていて食べたこともあるらしいぞ。黒鯛も釣って食べたことあるんだと。全部美味かったってさ」
「俺は胃腸弱いからなぁ……サバイバルはやめとくわ~」
「そんで、そのサバイバルで釣り竿を借りた代わりに押し付けられたのが、今絶賛連載中の幽霊退治編だ」
「結局、お前は幽霊退治できたのか?」
「それは、まぁ、色々ありまして……」
「ん~? 何か良くない事でもあったのか~ぁ?」
「その辺はまた後日に。報告書は書くからそれまで待ってろ」
「うぃ~。期待してるぜ~ぃ」
「さて、そんな幽霊退治編で新たに人物が増えました。それが俺の横にいるポンコツ陰――」
「誰がポンコツよ! れっきとした陰陽師の日戸叶実よ!」
「そしてオイラがその式神の出雲さ~」
「こいつらのおかげで、俺は何度怪我をすることになるのやら……」
「うっ……あ、あれは事故って言うか、ア、アンタがあんなところにいるからいけないのよっ!」
「俺達だって仕事で来てたんだっ! それをロクに確認もせず術針ブン投げてきたのはどこのどいつだ!」
「ぐっ……」
「あれは確かにカナミが悪いさ~。だから後でバチが当たったのさ」
「うぐっ……」
「まさにポンコツの名を冠するにふさわしい」
「キーーーッッッ! アンタ達、一体何なのよ! 出雲までそろってバカにして……」
「流石にこれ以上いじると、叶実が本気でいじけるので次に行きます」
「作者に頼み込んであとがきに出させてもらったのに、反応が薄かったから部屋の隅でいじけて泣いてたことは誰にも言わないさ~」
「い、出雲ッ!! それは秘密だってッ!!!」
「アハハハハ~」
「……そんなポンコツ陰陽師と俺達に追われていたのが、今そこで羊羹を頬張っている樒さんだった訳だ」
「ん~、ゴクンッ。だってずっと出番無かったから暇だったのよ~」
「……何しれっと羊羮食ってんだよ。今から出番だから早くこっち来てくれ」
「はいは~い。えー、私が幽霊と噂され、この結ヶ丘町を恐怖のどん底に落とし込んだ張本人の樒沙夜子で~す!」
「嘘と誇張をやめれ。あと両手に持った羊羹の箱も置いて来てくれ」
「え~っ、雅稀はけちんぼだなぁ」
「い・い。か・らっ・!」
「は~い、っと。さて、幽霊として見つかったわたしは、実は生前のみっちゃん、今の琳と面識があって、琳は当時正室候補でわたしは第一側室で上様の愛人だったのよ」
「だからって子孫の俺にまで愛人契約させんじゃねぇよ……」
「それは雅稀が言い出したことじゃない。わたしは関係ないわよ~?」
「うぐっ、確かに……」
「そんなわけで、これから琳と雅稀の家に住むことになるわけだけど、これから私がどうなっていくかは更新されるお話を待っていてね」
「まったく、なんでこんなことになったのやら……」
「さて、お話の回想はこんなところかしらね」
「そうだな。そんじゃ最後に……って、琳はどこだ?」
「琳なら端っこで最初からいじけてるけど?」
「げぇっ!? まさか本当に最初に言ったことでいじけてんのか?」
「『非力じゃないです~ぅ』って、さっきから膝抱えてつぶやいてたわよ」
「あー、これは面倒くさいことになった……。おーい、琳」
「……殿……何のご用ですか」
「(あちゃー、完全にご機嫌ななめだ……) お前の番だぞ。早くこっち来い」
「そんなこと言われても……どうせ私はみかん一個しか持てない非力幽霊ですよ……」
「そんなにいじけてんじゃねぇよ。取りを用意してやったんだからそれでいいだろ」
「む~~~っ」
「……後でお茶淹れてやるから、なっ?」
「ほ、本当ですかっ!? 約束ですよっ!?」
「あ、あぁ、わかった。だから最後を頼む。(チョロイな……)」
「わかりました! 殿のお願いですからねっ!」
「琳、頑張れ~!(チョロイわね……)」
「えー、コホン。新年を迎えまして、これからも変わらずユーレイの更新を進めていこうと考えています。最近では総PVが五千人を超え、ユニーク数も二千人を超えました。これも日頃からご愛読くださっている読者の皆様のおかげです。本当にありがとうございます。ランキングにこそ乗らないものの、ブックマークや評価も徐々に増えつつあり、毎日の確認が楽しみでしょうがないです。そこで、是非一度でも読まれた方は評価やコメントを残してほしいと思っています。もちろん強制ではありませんが、叶実さんが無視されていじけてしまったようにPV数が伸びても何のコメントや評価が入らなければ、これで本当にいいのか、もしかしたら面白くないのでは、と作者まで落ち込んでしまいます」
「作者がいじけると、俺達全員に被害が出るからな。これは俺達じゃどうしようもないんだよな」
「なので、出来ればでいいですから、一言でも、たった少しでもいいので是非読まれた感想をお聞かせ願いたいと思います。酷評も精神を削って受け入れる所存だと作者も言っています」
「さっきも言いましたが、作者は小説を書くのがド素人だから文法の間違いや誤字、脱字は朝飯前、言葉のニュアンスや視点の混雑も多々あると思います。元々ゲームから始めたことなので多少は影響があってそうなっている部分もありますが、これは徐々に直していくように努力している所です」
「だから、そんな拙い部分を第三者の目から見てアドバイスが欲しいのです。もちろん、もらってばかりでは悪いので、評価を頂いた方の作品は出来る限り読んでお返しに行こうとも考えています」
「お互いに評価し合って切磋琢磨していければいいってことだな」
「まだ描き始めて一年も経ってませんが、これからもっとユーレイが発展していくためには作者一人では難しいです。そこは読者に皆様に協力をしていただいて、さらに良くしていきたいと思います。繰り返しになりますが、面白かった、面白くなかった等一言でもいいので感想をください。よろしくお願いします」
「最後まで良くできたな」
「エヘヘ~っ、今回は頑張りましたよっ!」
「あぁ、中々だったな」
「はいっ! 今度は約束、忘れないでくださいね?」
「わかってるって。これが終わってからな」
「雅稀ー、最後の締めをビシッとしちゃって!」
「おし。さて、長々とここまでお付き合いくださってありがとうございました。これからも引き続き、ユーレイの私が憑いていますっ! を、よろしくお願いします。活動報告やTwitterで近状やお知らせなどを随時発信していくので、こまめにチェックしてもらえると有難いです。特にTwitterは、作者がおもしろそうだと思った作品のリツイートもしているのでそちらも是非読んでみてください」
「あと、私達のイラストを描いてくれる人も募集しています。イメージはTwitterに上がってますので、それと作中に出てくるキャラの特徴を混ぜて描いてもらえると嬉しいです」
「作者も自分で何度か描こうと頑張ってたんだけど、全部上手くいかなくって投げ出したんだよね……」
「ノートが一冊無駄になってしまってます。もったいない……」
「クオリティは気にしないので、片手間に書いてくれるだけでも飛んで喜びます。もしかしたら公式にさせてもらうかもしれません。詳しくはなろうのメール機能やTwitterのDMで聞いてください」
「……ふぅ。これで本当に終わりですね」
「あぁ、最後に言いたいことある人いるか?」
「私の出番もっと増やして~っ!」
「雅稀~ぃ、酒瓶もう一本~」
「なんでアタシばっかり……」
「カナミ、元気だしなよ。折角の新年のあいさつなんだからさ」
「あれっ、もう羊羹無いわ。雅稀ー、羊羹まだあるー?」
「……まぁ、こんな自由人ばかりの日常を送る俺達のお話を、今後ともどうぞよろしくお願いします……」
「では、また次のお話で会いましょう!」
『今年も、良い一年でありますようにっ!』
「さて、挨拶も終わったことだし、片付けに入るぞー」
「うぅっ……出番……」
「ウィ~、ヒック。今日は飲むぞ~ぉ!」
「私って……」
「カナミ、それ以上はダメだよ。キャラが変わっちゃうさ」
「え、もう羊羹無いの!? そんなぁ~……」
「殿っ! 早くお茶淹れてくださいっ! 約束ですよっ!」
「……はぁ、俺の平和な日常は、いつになったら帰ってくるのやら……」
おしまい